ミレニアル世代とは、現在の10代後半~30代前半の若い世代を指す言葉です。
この世代はリーマン・ショックによる不況の中で育ち、前の世代とははっきりと異なる価値観や消費行動を持ちます。また、この世代を特徴付けるもう一つの重要な要素は、幼少期からデジタル・デバイスが存在していた最初のデジタル・ネイティヴ世代であることです。
言葉自体はアメリカで生まれ、アメリカの若者を指して使われていますが、日本のミレニアム世代にも似たような特徴が見られます。ちょうどここに当てはまるのが日本でいうゆとり世代、さとり世代です。
このように、グローバリゼーションの進行により、若者が国境を越えて価値観を共有するようになったのもこの世代に特有の性格でしょう。
今回は、この世代に共通する価値観を紐解いていき、その価値観とブロックチェーンの親和性について考えていきましょう。
まず、この世代はリーマン・ショックに直撃し、不況の中で青春期を過ごしました。そして、生まれた頃から周囲にモノが溢れ、大量消費に価値を感じません。
不況の中で過ごしたこともあり、物質的なモノよりも、そのモノの価値を大切にします。
このような背景から、大量消費のバブル世代とは打って変わり、若者の○○離れという言葉が流行ったように、彼らは所有の意識が薄く、シェアを好みます。
その中で出てきたのがAirbnbやUberといったシェアリング・エコノミーです。余剰物に流動性を持たせるという意味では、メルカリも同じ流れを受けたサービスであると言えるでしょう。そして、これらのサービスの提供する価値はそのサービス以上のものがあります。
例えば、Airbnbの提供する価値は宿泊施設の提供だけではありません。
ユーザーは、憧れの部屋を選んで泊まれます。そして、部屋だけでなくホストのホスピタリティも評価要素となります。
お礼の手紙書いたり、メッセージやりとりと、よりクロースなコミュニケーションをユーザーとホストが取り合うことおもよくあります。それが普通のホテルなどに泊まるより充実したユーザー体験に繋がります。
このような、モノをシェアする過程での思わぬ人との交流もこれらのサービスに付随する価値であったりするのです。これはSNS育ちのミレニアルズの、人との繋がりを大切にする性格が現れているといえます。”エモい”ですね。
また、この近年流行している90年代ファッションのリバイバルもその影響を受けていると言えるのではないでしょうか。両親の若い頃の服を着て、ファッションを楽しむ。ミーハーはイケてない、”イイモノ”をたくさん持っているより好きな物を大切に使う方がイケてる。
このように、モノよりも自分自身の価値観や個性、人との繋がりを大切にするというこの世代の特徴は彼らの消費行動やトレンドによく現れています。
今や時代のメインストリームを形作ってきた老舗ブランド達がストリートに寄せてくる始末です。
ルイヴィトンとシュプリームがコラボするなんて数十年前は誰が考えたでしょう。グッチがTシャツを出すなんて。
それほどに世代間の価値観の変動は大きいといえます。
言わずもがな、SNSもこの風潮をブーストする大きな要素として外せません。SNSにどっぷり浸かり、誰もが情報を発信できて、マスメディアの影響が前世代に比べ薄くなっている彼らは、画一化された憧れを追うより、自分らしさを大切にします。
その証拠に、彼らの購買行動は、憧れのテレビスターでもムービースターでもなく、身近なインフルエンサーに刺激されます。”憧れ”よりも”共感”が動力となっているのです。
彼らのトレンドや消費行動の特徴から、ミレニアルズ は自分自身の価値観や人との繋がりを大切にすることがわかりました。
この特徴は彼らのキャリア観にも現れています。
公益財団法人日本生産性本部と一般社団法人日本経済青年協議会によるとキャリア選択の際に何を重要視するか調査では
昭和50年頃
1. 会社の将来性
2. 個性、能力が生かせる
3. 仕事が面白い
4. スキルが身につく
であったのに対し、現在は
1. 個性、能力が生かせる
2. 仕事が面白い
3. スキルが身につく
4. 会社の将来性
というように移り変わっています。
働くことの目的も、約30年前には40%近くが選んだ”自分の能力を試したい”と答える人は今や10%未満となり、”楽しい生活がしたい”と答える人が40%を越えています。
このようなデータから、ミレニアルズは自分自身の個性や価値観に沿ったライフスタイルに合わせたキャリアを好むことが分かります。ガツガツ仕事で成長するよりもワークライフバランスや、私生活の充実を重要視します。いや、むしろ仕事とプライベートを完全に切り離すことすら前時代的かもしれません。仕事ですらライフスタイル選択の一貫として捉え、好きなことを仕事にしたい、という風潮が強まっていると言えます。端的にいうと、労働とプライベートがブラーになってきているということです。
また、プライベートの充実を優先した結果、SNSを駆使し、共感を軸としたコミュニティを作ります。それはアイドルのファンコミュニティやオンラインサロンから、ユーザー同士の繋がりが更にフラットな思想的なコミュニティまで、多岐に渡ります。最近、アメリカのティーンの中でSad Girls Club という”悲しみ”の感情を軸としたコミュニティが大きな拡大を見せ、インスタグラムのフォロワーは50万人を越え、ナイキがスポンサーにつきました。
ミレニアルズのこの自分自身の価値観と人との繋がりを大事にする特徴はトークンエコノミーととても相性が良いです。
トークンエコノミーとは、これまで可視化が難しかった価値を可視化し、流動性を持たせることができる経済です。
トークンエコノミー の子の特徴は、ミレニアル世代特有の現象である
- 労働とプライベートがブラーになってきている風潮
- ”共感”という曖昧な概念で繋がるコミュニティ
ととても親和性が高いと言えます。
その上、ブロックチェーンに基づくトークンエコノミーは親和性高いだけでなく、この風潮を更にブーストさせます。
現在のこの現象の広がりを妨げる問題点は以下のものがあります。
- 結局発言権、影響力が一部のインフルエンサーに集中している
→それぞれが自由に情報を発信できても情報の質や信頼性を担保するものがない
- 労働以外で収入を得るのはやはり難しい
→評価されるべき行動をしてる人はいっぱいいるのに、報酬が支払われるシステムがない
それに対し、ブロックチェーンの以下の特徴がこれらの問題を解決していくと考えられます。
- 情報の信頼性が担保される
- 評価軸が増え、様々な価値が可視化される
これにより、コミュニティ内での様々な活動に対し報酬が支払われるようになり、コミュニティごとの経済圏ができます。
ブロックチェーンという技術ミレニアルズに特有の価値観出会いが経済と労働のあり方が大きく変わるかもしれません。
情報の発信や影響力が更に分散化されていき、更に多くの軸で様々なコミュニティができていきます。そして、あらゆる営みの価値が可視化され流動性を持つことができれば、究極的には労働とプライベートの境界は完全に取り除かれ、労働という概念がなくなる未来が来るかもしれないのです。
このような意味で、ブロックチェーンはまさにミレニアルズのための技術であると言えるのではないでしょうか。
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