異議申し立てにより正式裁判となるようですが、論点がどうなるのか気になります。
ネット上意見が対立している状況ですが、今回の件ついて、有罪・無罪の両方の観点から論点について検証してみたいと思います。
※この記事については私の持論です。
1 HP上で閲覧者の許可なくJavaScriptを使うことの違法性
これに関しては、違法性については阻却されるものと思慮されます。
JavaScriptそのものはHPの作成・運用に必要不可欠であること
すでに社会一般に浸透しているものであること
これによって自らの電子計算機等が侵害されているという認識はないこと
が考えられます。
coinhiveが閲覧者のCPUを勝手に使うことのみを捉える、つまりJavaScript自体が違法とする事は強引だと思いますし、これだけ社会に浸透しているものを違法とする事はないでしょう。
違法とされたら日本でインターネットだけ、昔に逆戻りです。
2 coinhive自体の違法性
警察庁も、その使用を明示せず使用した場合、犯罪となる恐れがあると記載していた事を捉えても、coinhive自体に違法性はないかと思います。
過去のWinny事件の裁判でもソフトウェア開発者の金子勇氏は無罪判決を勝ち取っています。
この点から考えてもcoinhiveは犯罪目的ではなく使用方法によって犯罪に活用できる犯罪インフラとして捉えられると思慮されます。
coinhive自体が犯罪と認定される可能性は低いと思われます。
3 通知なくcoinhive使用方法自体の違法性
最も論点になるのは、ここになると思います。
① 違法とされる場合
本来JavaScript等のプログラムは、閲覧者が快適にインターネットを行うために活用されるべきものである。
例えcoinhiveが電子計算機の動作に影響を与えない程度であっても、通知なく動作することは、その事実が判明した時に、社会一般的な使用者に対し、不快を与えるものであり、与える精神的な苦痛は一定程度に強く、受忍義務があるとは言えない。
社会通念に照らし合わせても、他人の電子計算機を無断で借用して、仮想通貨をマイニングし利益をあげる事は、少額であっても許されない。
② 違法とされない場合
閲覧者の許可なくcoinhiveでマイニングをする行為は、その行為自体が閲覧者の電子計算機の処理に影響を及ぼさない程度であれば、広告等と同じく受忍義務がある。
ただし、電子計算機の性能によってその程度については一概には言えない部分であることから、影響を与えるような使用方法で使用する場合は違法となる場合がある。
coinhiveというソフトウェアが電子計算機の使用者の情報を盗み取ることが目的で開発されたものではなく、その正常な動作に影響を及ぼさない範囲であれば、閲覧者に通知し、許可を得ることが望ましいが、通知しなかったからと言って直ちに違法となるわけではない。
両方の意見について思うままに書いてみましたがどちらの意見もありそうです。
現在の取り巻く環境や警察庁が出したcoinhiveに対する注意喚起、winny裁判から考えても、ソフトウェア自体の違法性やJavaScriptの違法性問題ではなく、裁判官の自由心証がどちらに傾くかで、裁判の結果は大きく左右しますね。
となると検察側が違法性、弁護側が無罪性を証明できるか、その資料を集めて証拠化できるかの部分だと思います。
んー難しい。私の意見・想いは前回記事の通りですが、検証すればするほど、どっちもあり得るなぁ。
言い方は悪いですが、裁判官の心を掴んだ方が勝つということでしょうね。
冷静に見守りたいと思います。