衝撃をもって迎えられた炎上ワード
「人生再設計第一世代」
よくこんな失礼なネーミング思いつくものだな、と半笑いしながら記者会見全文を読むと「この就職氷河期世代、あまりそういった呼び方が良いとは思いませんが」とあり、まてまて、、、就職氷河期はだめで人生再設計は良いその感覚What!?という疑問でいっぱい、該当世代の人もそうでない人も気持ちは
で一致しているのでは?と存じ上げております。そんなわけで、少しばかり「人生再設計」を掘り下げてみましょう。
まず、このワードがどこから飛び出してきたかというと、、
平成31年第5回経済財政諮問会議
ですね。
その中でも民間議員と呼ばれる
・竹森俊平氏 (慶應義塾大学経済学部教授)
・中西宏明氏 (日立会長・経団連会長)
・新浪剛史氏 (サントリー社長)
・柳川範之氏 (東京大学大学院経済学研究科教授)
の4名が提出している資料「就職氷河期世代の人生再設計に向けて」が該当していると思われます。
"同世代を「人生再設計 第一世代」と位置付け、今後3年程度で集中的に再チャレンジを支援する仕組みをつくる"
↑この部分ですね。
具体的に、誰に、なぜ、何を提案しているか、見てみましょう。
◆誰に:就職氷河期世代
バブル崩壊、不良債権問題が生じていた1993-2004年に学校を卒業し就職した世代のこと。約1700万人が就職できず、景気回復後も(雇用流動性が低く)就職困難、またはパートタイム労働など不安定な職を続けざるを得なかった世代、とされています。このたび見事に「人生再設計 第一世代」の異名をいただきました。
◆なぜ:生涯現役社会にむけて
人生100年、といったキーワードを見るに
・企業の人材不足対応
・社会保障制度の維持
が目的でしょうか? つまり、労働力足りないから再教育して使えるようにしたい、社会保障制度破綻しそうだからもっと働いて自力で生きて、納税してほしいということかと。
◆何を:再教育・再就職・配置転換
物凄く簡単にまとめると、今後3年間で
1)対象者の状況把握、計画、KPI設定
2)人生再設計に向けた専門部署・専門家の配置、支援提供
3)民間事業者の協力による取組加速
4)企業側へのインセンティブ付与
5)地方への人材移動促進策との連携
を実施するという提案になっています。
※KPIとは評価指標のこと
読む限り人生再設計とは、「産業界からのニーズが高い分野へ人材の再就職・配置転換を促す」、という意味のようですね。
資料にも書かれていますが、これらの提案は「人生再設計 第一世代」のみならず全世代に有効とされています。雇用の流動性を高めようとする昨今の政策とも一致しますし、中西会長の発言「終身雇用は守れない」ともリンクしてくるでしょう。
というのも、就職氷河期が不景気を引きずってしまった根本原因は、大企業で顕著な「新卒一括採用」と「年功序列」だったから。そしてこの2つにより支えられていたのが「終身雇用」という幻想でした。
解雇が難しく終身雇用が大前提の大企業では、氷河期に新卒採用を絞ることで雇用調整していました。新卒採用=調整弁を正さない限り、不景気になれば同じことが繰り返されるはずです。
ここにこそ「人生再設計」という言葉への苛立ちが煮詰まってくるのでしょう。
調整弁としてつかわれ
中途採用対象にもならず
家庭を持つタイミングも過ぎたかの時期に
ってことなんじゃないですかね?
あ、違います?
とまあ、、、ネーミングには色々思うことはあるのですが、提案としては理解はできるかなと思います。第一世代とつけたことからも、第二世代、第三世代、てゆっか全世代、となりそうですしね。ようは雇用制度の話だろう、と思うのです。
一方で、成果報酬を強調する割に、非正規社員の正規化、といったコメントもでてくるなど未だ議論が煮詰まっていない印象も受けます。
(本質的には正規化よりも、雇用形態に関わらず職能に応じた賃金を提供すべきと私は思っています。企業側としては安く旨く使えている有能・非正規社員のコストが跳ね上がるため、自らは出してこないのでしょう)
今後、具体的な政策に落とし込めるよう、より幅広い関係者で議論を進めてほしいですね。
あと、
二度と人生再設計って言わないほうがいいよ?
MALIS