教育・子育て

思い出「芸術のプラモデル」

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  • 鈴木穣
  • 2020/08/17 04:00

 

【シンナーテラピー】

9歳の時。

ガンダムのプラモデルがはやてっていた。

当時の値段は、1/144スケールで300円。

子供のお小遣いでも十分買えた値段。

俺は、このガンプラをたくさん持っていた。

色は付いていないでの、プラカラーで塗るのが定番。

このプラカラーは、シンナーを使っていて凄く臭い。

でも子供の俺には、そんなの関係なかった。

このプラカラーを使い、家でよくプラモデルに色を塗っていた。

両親には、凄く臭くて心配されて、あまり使うなと言われていた。

でも禁止はされていないので、遠慮なく使っていた。

筆を洗う時も、うすめ液と言う、きついシンナーを使う。

プラモデルに色を塗る時は、部屋中シンナーの臭いが充満していた。

でも体には、何も異常が無かったので気にせず使い続けていた、

それ処か、少し気分が良かったかもしれない。

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【神のありがたいお言葉】

俺は、プラモデルに色を塗るのは、あまり得意ではなかった。

いつもどこか、少しはみ出して塗っていた。

それでも必死に塗って、1つ1つ自分なりの最高の物を作った。

でも同級生が作ったプラモデルを見てみると、見劣りする。

そこで、みんな色をどんな風に塗っているのか聞いてみた。

そうしたら色を塗るのが上手な子は、組み立てる前に塗っているらしい。

俺は、その情報を聞いて早速その方法を試してみた。

結果、凄く上手に塗れた気がする。

でも、まだ何かみんなと比べると下手くそだ。

俺は、自分で作ったプラモデルを友達に見せて、何が悪いのか聞いてみた。

この時、頼った子の名前は「星まさひろ君」

その時ほし君は、テーピングをすれば良いとアドバイスしてくれた。

テーピングとは、色を塗り分ける境目にテープを張るやり方。

この方法を使えば、色がはみ出してもテープがガードしてくれる。

俺は、早速この方法をやってみた。

結果、かなり上手に塗る事が出来た。

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【世界を作る人】

俺は、このテーピング作戦でプラモデルの塗り方がだいぶ上手になれた。

この方法なら、プロ並みに上手に塗れる。

そう思い、教えてくれた星君の家にプラモデルを持って報告しに行った。

星君には、中学生のお兄さんがいた。

プラモデルを見せに行った時、ちょどお兄さんがプラモデルを作っていた。

俺は、そのお兄さんの作り方を少し見せてもらった。

そのお兄さんは、プロ並みの作り方をして俺は、目を見張ってしまった。

ガンプラの色の塗り方がもの凄くリアルで、まるで本物の金属みたいだ。

上手にガンプラに傷をつけ、ライターで焦げ目をつけ上手に塗装していく。

もの凄いテクニックだった。

俺は、そのまま1時間くらい見入ってしまっていた。

そして、だんだんジオラマらしき物が完成していく。

ジオラマとは、プラモデルに合った風景を作りそこにプラモデルを飾る物。

この時俺は、本物の芸術を見た気がした。

人は、ここまで進化できるのだと凄く驚いてしまった。

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【神秘に満ちた魔法の本】

俺は、星君のお兄さんのプラモデル作りにずっと見入ってしまっていた。

その時、星君は暇そうに本を読んでいた。

それに気が付き俺は、お兄さんのプラモデル作りを見るのを一旦やめた。

そして星君と遊ぼうとしたら今度は、星君が読んでいた本に目が行った。

その本は、ガンプラのリアルな作り方の本だった。

俺は、その本をを見せてもらったら、また夢中になって読んでしまった。

そしてまた1時間位夢中になって読み始める。

そうしたら星君は、もうその本あげるよと言ってくれた。

この時、星君は俺の行動を見てだいぶ呆れてしまっていた様子だ。

でも俺は、この本を貰えた事が凄く嬉しくて、ありがたく受け取った。

俺はこの後、習字塾があったので帰る事にした。

そして、習字の道具を持ち習字塾に向かって行った。

でも、星君からもらった本をまだ読みたくて、習字塾をさぼる事にした。

近くの公園に行き俺は、親には内緒でもらった本をずっと読む事にした。

そして気が済むまで読み、気が付いたら夜7時。

普通に習字塾に行って帰れば、夜6時には家に着く。

でも夜7時を回ってしまい俺は焦って家に帰って行った。

そうしたら習字塾をさぼったのがばれていて、めちゃめちゃ叱られた。

何故ばれたのかと言うと、俺が公園で本を読んでいたのを目撃したらしい。

この時丁度、親が買い物に行く時間だった。

そして、あえて声をかけずに帰ってきたら叱ってやろうとしたみたいだ。

子供の悪い事など、いくら知恵を使ってもすぐばれるものだった。

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