(無料部分として掲載したいところの直前で切ると、連載一回分がどうしても短くなり、計画の二〇回で終わるが、危うくなってきたので、今回より一回分を5ALISに値下げします)
(話は、遺骨をどうするかという部分に進んでいく。『蝶を放つ』には多くの感想をいただいた。そのかなりの部分はアマゾンレビューを検索していただけると見られる。が、「散骨の海」という素晴らしいレビューは、ALISでも公開している。)
(今回の小説本文)
やがて身内でのよもやま話は、父の遺骨の埋葬先の相談に移った。どこにも墓の用意はできておらず、父の遺骨はまだ実家の床の間に置いたままだった。
「家の裏庭にでも埋めて墓碑を立てるのはどう?」僕は言ってみる。
「そんなこと、法律違反ちゃうのん?」母は言うのだった。
「まあ、庭に散骨するとその土地が売れにくくなるという問題はあるみたいやな。そやけど、国は遺灰を自然に還すことについては『節度をもって』とかいうわけのわからん留保をつけて黙認してるようやで。葬送の自由を進める会というのがあって、海や山へ散骨する運動もしてるそうやし」僕は俄か知識を披露した。