教育・子育て

魂の螺旋ダンス 改訂増補版 (1)

あび(abhisheka)'s icon'
  • あび(abhisheka)
  • 2019/06/24 03:05

私の代表作のひとつであるこの本の旧版(製本書籍 第三書館刊)は売切れ絶版。
当該第三書館は破産、無期休業のため、増刷はなし。
Amazonマーケットプレイスでは古本が高値でしか入手できない。

そのため、36000字加筆した改訂増補版(合計17万字)をNOTEでリーズナブルな値段で販売し始めた。
(著作権については第三書館社長と話がついている。)
売れ行きはまずまず。
書籍よりも筆者取り分の率がずっといいのが強みである。

しかし、NOTE版はページがなく、ひたすら続き、栞機能もないため、読みにくいという声が寄せられている。
一方、ALISでは、一冊まるごとをコピペすると固まるため、機能が向上するまで販売できないと観念していた。

ところがカテゴリー総選挙中、神仏分野応援のため分割発表をしていて、フィードバックしていただいたのが、「この方が読みやすい」というご意見だ。

そこで思いついて、小説『蝶を放つ』を分割販売してみた。
売れ行きはそれほどよくないが、方法的にはよいと感じた。

連載期間中にアクセスする人が限られていても、ここに残しておけば、いつでも誰かがALIS払いで購入できる。

紙の本にすることも大事だが、そうしておけばALISが続く限り、半永久的にアクセス可能な原稿となる。
よって、ALIS内で分割連載で販売を開始することにした。

NOTE版一気購入は以下より。円払い。1500円。

 

魂の螺旋ダンス ~遥かなる今ここへ~  改訂増補版  

目次

序章

魂の螺旋ダンス
超越性と大地性
ナショナリズムを越えて
螺旋モデル素描

第1章 部族シャーマニズム

太古から存在するシャーマニズム
シャーマニズムの二つのタイプ
シャーマニズムの技法
動物霊の重要性
個人の守護霊としての性格
部族シャーマニズムにおける至高存在
私のシャーマニズム体験
シャーマニズムの生態学的広さ
部族社会と個人の発達
部族社会の限界
イマジン

第2章

国家神話と祭司の登場
民族国家宗教の神
部族社会を選択した人々
神道の位置づけ
日本の国家デザインと宗教
聖なる表象の変遷
『古事記』神話における男性神支配
天孫降臨と聖なる表象
「死と再生」の三態
「日本神話は存在するか」
「古神道」という幻想
わが国固有の精神文化とは何か
民間信仰弾圧の系譜
本来の聖域
民族国家宗教の位置づけ

第3章 超越性宗教

超越性宗教誕生へ
ギリシア哲学における超越性原理の萌芽
個人史における超越的契機
死と再生の質
超越性宗教のパラドックス
悔い改め(メタノイア)の真意について
念仏もうさんとおもいたつ心
超越性宗教の垂直的超越運動
解放の方向性
日本における超越性宗教
親鸞の神祇不拝・国王不礼
空海における即身成仏
空海の蝦夷観
親鸞の蝦夷観
親鸞に聖徳太子信仰はあったか
朝家のための念仏とは
日蓮思想の絶対性への傾斜
マルクスによる自己疎外からの解放論
軌跡 アニミズムから超越性宗教まで
超越性次元の探求
自己受容を通しての自己超越 

第4章 絶対性宗教

「超越性」と「絶対性」
絶対性宗教とカルト
キリスト教における正統と異端
キリスト教の世界侵略
一神教の系譜
イスラームにおける「超越性」と「絶対性」
螺旋モデルにおけるイスラームの位置
中国の思想における「超越性」と「絶対性」
日本における絶対性宗教
浄土真宗のアイヌ侵略
浄土真宗の戦争責任
カルトと絶対性宗教の狭間
絶対性宗教の問題

第5章 内閉的カルト

グルイズムからシャーマニズム復興運動へ
カルトとは何か
オウムとライフスペースの共通点
高橋弘二とシャクティパット
高橋弘二の転落とグルマイ教団の安定性
クンダリニー上昇
「空中浮遊」の正体
ハートチャクラの爆発
オウム真理教の構造
ニューエイジに潜むグノーシス主義

第6章 さらなる螺旋へ

超越性の探究からの回帰
湾岸戦争を契機に
ディープエコロジーとの出会い
「生命の織物」は仏教思想か?
ケン・ウィルバーによるフラットランド批判
生命の織物の側から
退行への歯止め
超越性宗教と部族シャーマニズムの縒り合わせ
文明の衝突?
神々の対話
プロセス・ワークの可能性
ワールド・ワークと悪人正機
臨死体験を語る
心肺停止~事実としての死~
彼岸の光景~量子論より~
蝶を放つ~詩的イメージより~
浄土と臨死体験~浄土教の深部より~
この世に投げ返されて 
空なる世界と業の中にある世界
この星の上で

初版あとがき
主要参考文献リスト



序章 


魂は螺旋状にダンスしている。

円環状のダンスでもなく、直線上のダンスでもなく、螺旋状のダンスだ。
ぐるぐると同じ場所を巡っているように見えながらも、すこしずつ階層を移して上昇している。
魂は、踊りながら、渦を巻いて、舞い上がる。

私はこの書物で、人類の魂の歴史を螺旋モデルでとらえた上で、未来の精神文化についてのヴィジョンを描こうとしている。
「魂」という多義的な言葉を仮に用いたが、それは私自身の個人的な魂、この島の人々の魂、この星の人類の魂を漠然と指している。

「魂の螺旋ダンス」というヴィジョンは、人類の魂の構造と運動をトータルにとらえるためのひとつの「方法論的モデル」である。
魂が螺旋状にダンスしているとする見方から、私は数々のヒントを取り出してみたいのだ。円環状にくり返すでもなく、直線的に進むでもない、螺旋状のモデルだ。

螺旋「ダンス」と言い、螺旋「進化」とは言わないのは、「進化」では、ものの見方が一方的であり、むしろ直線的なモデルに近づいてしまうと考えたからだ。
あらかじめお断りしておきたいのだが、私は、この螺旋モデルが歴史的に唯一の正しいモデルだというつもりはない。螺旋という図形の特質を最大限に生かすことによって、様々な領域を結びつけるバランスを獲得したいのである。


超越性の視座・多元性の抱擁


螺旋という図形モデルの特徴は、円還の性質と直線の性質の両方をいくぶんかずつ合わせもっている点である。

精神文化の発達の歴史についての、代表的な直線モデルは、キリスト教・仏教等の世界宗教を頂点とする史観であろう。(歴史を神の位置に置く史的唯物論もその支流である。)

そういったモデルでは、歴史は直線的に発達していく。
アニミズムから、多神教へ。
そして多神教から、一神教へという具合に。(キリスト教やイスラームの場合。)
あるいは、多神教から、すべては縁起生であり、空であるという、唯一の法(ダルマ)へといった具合である。(仏教の場合。)

一方、代表的な円還モデルは、部族シャーマニズムへの回帰を至上のものとする立場である。
そういったモデルでは、歴史は繰り返す。
キリスト教などの一神教が、侵略と破壊の限りをつくしたこの星は、未曾有の危機を迎えている。
今こそ、原初のアニミズムに帰ろうというわけだ。
歴史は円を描いて、もと来た場所に帰るべきだとするのである。

螺旋モデルは、その両者を統合しようとする。
いわゆる世界宗教が持っている「超越性」と、部族シャーマニズムの持っている「大地性」の両方を生かし、結びつけようというのである。

私個人の遍歴に重ねていえば、一〇代のころよりインド系宗教を憧憬し、悟りや解脱を求めて瞑想し、あるがままの自己に帰着したというドラマが一方にある。
これは広い意味での「超越性」を求めての旅であった。

後に詳しく触れるが、インド系宗教の解脱思想は、キリスト教などの天の神への信仰よりも、さらに徹底して「超越性」への志向性を持っている。

だが、一方には幼少期からの、周囲の自然とのアニミズム的な交流の「大地性」があった。
そして、なぜかその「大地性」は、「超越性」を求めての長い旅のあとでもう一度、私をつかまえた。

子どもが生まれて父となり、足を地につけた生活をはじめることとなったといった個人的事情もあったかもしれない。
が、それだけではなく、時代全体がもう一度、「大地性」を深く求めはじめたようでもあった。

折りしも、一九八〇年代後半には、オショー・ラジニーシによるオレゴン州のコミューンの崩壊をはじめ、インド系宗教の「グルイズム」の終焉が語られていた。(九〇年代に入ってから、オウム真理教の露呈した問題は、この国では大騒ぎとなったが、これはかなり遅れてやってきた最後の余波にすぎないのではないか。)

そして、精神文化を求める人々の中には南北アメリカなどの部族シャーマニズムに注目する人たちも増えてきていた。
チェルノブイリ原発事故を契機に人々のエコロジーに対する意識も高まり、スピリチュアリティとエコロジーを深いレベルで融合させたディープエコロジーも欧米から日本に紹介された。

アメリカの軍事的・経済的覇権主義は高まり、湾岸戦争が勃発した。爾来、アラブ世界への残虐な攻撃は強まるばかりである。

一九九〇年代、バブル経済は崩壊し、精神世界(特にその表面を無反省に撫でていただけのニューエイジ思想やいわゆる「スピ」)は、その横っ面をはたかれた。
超越性志向だけでは解決しない、社会や生態系の問題が禅スティックのように私たちを打った。

また、二〇〇一年九月一一日のアメリカ合州国本土へのテロリズムに始まり、西側諸国も常にテロリズムの恐怖に脅かされている。
しかし、そのどこまでが、本物のテロなのか、あるいは自作自演なのかには諸説がある。
混迷は深まるばかりである。

このように時代の危機が深まる中、精神文化の分野では、大地と共にあった元始のシャーマニズムを至上のものとする立場も現れた。

近代国家や資本主義がこの地球の生態系を破壊することで突き進んでいる危機的状況に対して、初めにあった自然と調和した人間のあり方を理想と考える円環的な歴史観の復興である。太古への熱いまなざし。

具体的にこの島の上では、それは縄文回帰の思想として現れた。

一方、そのような回帰思想を「退行である」と批判する論客も現れた。

その代表はたとえばケン・ウィルバーである。
しかし、そんなウィルバーこそ、結局、直線的な発達論に陥ってしまったのだという反論もまた登場した。

この論争は、宇宙は進化しているとする立場と、宇宙のすべての存在は等価値であるとする立場の対立を鮮明にした。

ここにもまた「超越性」と「大地性」をいかに統合していくかという問題が横たわっていたのである。
そこで、「螺旋」である。

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10代より世界放浪。様々なグルと瞑想体験を重ねる。53歳で臨死体験。31年の教員生活を経て現在は専業作家。https://note.mu/abhisheka

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