どうもこんにちは。
新米心理カウンセラー・あぶです。
先日の記事(【033】「不謹慎狩り」はなぜ起きる?)で、「不謹慎狩り」が起きる原因について、『シャーデンフロイデ』(中野信子 著/幻冬社)という本のネタを基にご紹介しました。
今回の記事では、書名になっている「シャーデンフロイデ」について、ご紹介しようと思います。
「シャーデンフロイデ」は、誰かが失敗した時に、思わず湧き起こってしまう喜びの感情のこと。
シャーデンフロイデ(Schadenfreude)はドイツ語で、Freudeは喜び、Schadenは損害、毒を意味する。
この「シャーデンフロイデ」という心の動きは、実は、誰にもあるそうです。
例えば、あなたの同僚に恋人ができたとします。
その恋人は容姿もよく、仕事もできる。あなたから見て、その恋人は同僚にはもったいないくらい素敵な人です。
最初は祝福していたあなたですが、やがて同僚を「妬む」ようになります。なぜ自分ではなく同僚が、そんな素敵な人とお付き合いできるのか、と。
その後、同僚が恋人と何らかの理由で別れてしまった、と聞いたとします。この時に生じる、ややうしろめたい喜びが、シャーデンフロイデです。
事例を読むと、納得する人もいるのではないでしょうか。
この他にも、有名人が些細な失敗を犯して世間から叩かれる、嫌いな人がトラブルに巻き込まれる、といった時に、この感情は強くなりがちです。また、先日紹介した「不謹慎狩り」も、その基礎にはシャーデンフロイデがあるそうです。
ではなぜ人は、こうした感情を抱いてしまうのでしょうか?
それは、 「オキシトシン」と深い関わりがあるようです。
オキシトシンとは、ストレスを抑えたり、自律神経(体の機能を維持・調節する神経)の働きを整えたりする、脳内物質です。幸福感や愛情と深い関わりがあることから、「幸せホルモン」「愛情ホルモン」などとも呼ばれています。
このホルモンは、人と人との「つながり」を強める一方で、ネガティブな感情である「妬み」も強めます。ざっくりまとめて言うと、「愛情が強すぎるあまり、シャーデンフロイデが生まれる」、ということです。
以上のことから、次のことが言えるかと思います。
他人の不幸に対して、「いい気味だ」「ざまあみろ」などといっている人は、その人のことがとてつもなく大好きだということです。
もし、そういった言葉を投げかけられる側の人であれば、相手には「可愛さ余って憎さ百倍」という心理があるのだととらえ、少し冷静になれるかと思います。
一方、辛辣な言葉を投げかける側の人は、自分が「目立つ人の失敗を望んでしまっていること」「愛情が強すぎて、オキシトシンのバランスが乱れていること」を、一度立ち止まって冷静に受け止めてみるといいかもしれません。
ではまたー。
【PROFILE】
あぶ(新米心理カウンセラー)
滋賀県生まれ。修士(公共政策)。2018年、心理カウンセラーの資格を取得。書籍を年間約200冊読み、ブクログでレビューを書いている。LINEスタンプも不定期に作成し、販売している。