・弁護士コインって?
・市場規模
・提供するサービス内容
・運営面
・将来性
・類似コインのTrial Tokenと比較
弁護士コイン(BENGO COIN)とは、詐欺や悪意ある企業等の行為によって被害を受けた被害者と、事件を解決に導く弁護士とをつなぐ、日本初の集団訴訟マッチングプラットフォームである「enjin」で使用されるトークンのことです。
集団訴訟というのは、多数の被害者が集まって原告団として訴訟を起こすことを言います。最近でいうと、成人式の日に急に社長がバックレて着物を全部持って行ったという「はれのひ」事件なんかで被害者が集まって訴訟を起こそうとするのが集団訴訟です。
この集団訴訟というのは、なかなか裁判を起こすのが難しく、というのも、事件が大規模な割に個人個人の被害額が少ないため弁護士費用の方が高くついてしまい、裁判を起こすことができないケースがほとんどなんです。
こういったいわゆる少額被害者をはじめ、泣き寝入りしている被害者事件を他の被害者とともに「シェア(集団化)」することで、一人当たりの費用負担額を減らし、「すべての被害者が救済されること」を目指したトークンエコノミーの形成に役立つのが、この「enjin」であり、弁護士コインなわけです。
え、約16兆円もあるのww
あくまで被害総額であって全部訴訟を起こせば必ずこの額分だけ勝ち取れるわけではないにしてもすごい額です。たとえば、東電の原発に関する訴訟では寄付金だけで1500億円もあつまったそうです。原発に関しては、メディアの力と人の主義思想を反映させやすい訴訟だった分、額がかなり大きいですが、このように訴訟に必要な額を集めるためのプラットフォームとして機能すれば、かなりの資産が集まりそうです。
また、マネタイズ方法として弁護士ユーザーの課金システム導入や、弁護士と一般の方をつなぐQ&Aコーナーの設置、弁護士や被害者の方への投げ銭機能を考えているそうです。
一般ユーザーの課金制も書いてありましたが、ビジョンに「すべての被害者が救済される」と書いてある以上、一般ユーザーの門戸は広くあってほしいので、この点は遠慮してほしいです(笑)
提供されるサービスは、集団訴訟の被害者・支援者・弁護士をつなげることがメインです。訴訟費用の足りない被害者、弁護士にトークンを通して支援をした代わりに、支援者は勝訴や、和解した際にリターンを受け取ることができます。また、弁護士に対する謝礼をトークンを通してすることもできます。
ほかにも弁護士に対して質問すること、自身の受けた被害について掲示板へ書き込みもすることができます。これってすごい日本人に沿ってるシステムですよね。
被害にあった人が不安になって掲示板に書き込み、同様の被害者を探す。その被害者に対してコメントを送り、そうして同様の被害を受けた人のコミュニティーが形成される。集団になれば、費用面でもそうですが訴訟をおこして救済を図ろうとする集団心理が働くので、被害者が行動に出やすくなることが考えられます。
また、集団訴訟の際の手続き等の円滑化ツールも導入するそうです 。集団訴訟のデメリットの一つとして、当事者の人数が増えることによる手続きの煩雑さにあり、いままで弁護士事務所がそういった煩わしい手続きを処理していたのを、「enjin」上では、電子契約・電子決済、事件の書面・証拠の一元データ管理、当事者間のチャットルームなどの機能により円滑に行えるようになります。
イマイチ当事者にならないとこの円滑さがどうなのかわからないかと思うんですが、事務所によってはいまだに費用の決済を手渡し&手書き領収書で行っているようなところもあるレベルなのでこのように電子化できる部分をとことん電子化していくのはとってもいいことだと思います。
さらに、政策献金システムも導入が考えられているそうです。よく日本では、裁判で法律の問題点が指摘された結果、法律が改正されることがあります。
たとえば、尊属殺人の規定廃止なんかが有名だと思います。尊属殺人とは、いわゆる「親殺し」のことで、昔の刑法では尊属殺人は通常の殺人よりも罪が重かったんです。裁判で、同じ殺人罪でも親を殺した時だけ罪が重くなるのは平等原則(憲法14条)に反すると主張され、みごとその主張が認められました。その結果、尊属殺人の規定は廃止されました。
このように、訴訟を通して話題を集めたうえで立法や改法を国民から政治家に直接促せるようになるのは、三権分立にポジティブ・アクションを加える点でおもしろい試みだと思います。それに、ブロックチェーンを使えば政治献金の透明化も図れますしね!まさに一石二鳥です。
集団訴訟という機微な法律問題を扱うため、 ①弁護士が代表を務めていること、②元弁護士ドットコムで営業戦略・新規事業・マーケティング等を担当していた者、③監査法人トーマツ出身の会計士協会所属者など法律業界に親和性の強いメンバーでチームで構成されています。また、運営母体である株式会社クラスアクションについては、事業スピードを加速させ一刻も早く被害者の方々を救うべく、「enjin」のプロダクトをリリースするにあたり、シリコンバレーに本社を置くVC(ベンチャーキャピタル)500startups(代表James Riney)やエンジェル投資家から合計6,000万円の資金調達を受け入れています。運営面は他のコインに比べかなり強く作られていますね。
また、集団訴訟はともすれば、相手側から訴訟を起こされることを理由に名誉棄損等で反対に訴えられることもあります。そういったリスクを避けるためにIBA日本保険と連携して集団訴訟リスクに特化した保険を設計して被害者保護の仕組みを整えていくことも考えられています。
集団訴訟が活発化する土台作りがしっかりしていることがうかがえます。
2017年11月1日 株式会社クラスアクションが東京都港区南青山の地に設立
2018年 3月1日 500startupsとエンジェル投資家より6000万円の資金調達を実施
2018年 5月21日 「enjin」β版をリリースし、日経をはじめ各種メディアに取り上げられる
2018年6月初旬 事前エアドロップの申請開始、LPの公開
2018年6月中旬 弁護士コインコミュニティの形成を開始
2018年10月末日 コミュニケーションを円滑化する機能の実装を予定
2018年12月末日 「現金」での寄付機能を実装予定
2019年2月末日 「弁護士コイン」による投げ銭機能を実装予定
2021年12月末日 マザーズ市場へのIPO(Initial Public Offering)を予定
ベータ版リリースの早さ、資金調達額からかなりの成長スピードです。
今の段階ではトークンの上場が未定なのですが、上場の際の資金調達予定額もかなりのものです。
このようなサービスはユーザーが継続的に利用するわけではないので、コアユーザーが生まれにくいです。そのため、サービス認知の拡大がかなり重要になっていきます。初の弁護士コインを利用した集団訴訟で勝訴すれば認知はかなり広まるはずなので、話題性のある訴訟(ICO詐欺や、取引所のハッキング事件なんかがいいと思います)を扱うことが最初は重要じゃないでしょうか。
Trial Tokenとは弁護士コインと同じように、トークンを利用した訴訟プラットフォームの形成を目指すコインです。若干位置づけが違うのは、Trial Tokenは集団訴訟に特化しているわけではなく、個人による訴訟でも構わないという点です。
また、弁護士コインにおける支援者の役割を果たすのが、Trial Tokenでは投資家(Investor)になります。訴訟に対して投資家はトークンを通して投資をし、勝訴すればユーザーはその分の配当を受け取ります。つまり、トークンの投機としての位置づけがかなり強いということです。カナダ発のコインなのですが、欧米では個人訴訟でも勝訴すれば多額の賠償金を得ることができるので投機の対象となり得やすいことがうかがえます。
ロードマップからわかるように弁護士コインの開発のスタート時点は同じではありますが、ベータ版のローンチはまだです。Trial Tokenの公式ツイッターでの情報の発信量は少なく、teleglam上ではair dropの配布の遅延によるユーザーの苦情であふれています(笑)
開発の進捗に関する透明化は不十分と言えます。
また、プラットフォームとしての機能については言及されていません。あくまで投資としての機能を補助するため、投資した訴訟の追行状況などについて確認できる機能がTrial Token上にあるのみです。今はベータ版のモデルもわからないので今後どのような機能が備わっていくのかは様子見する必要があります。
訴訟文化の違いもあるので、どういったプラットフォームの形成が優れているのかは断言できませんが、少なくともTrial Tokenは訴訟を好まない日本人にとってはあまりなじまないサービスと言えそうです。
以上、ふくねこでした!
ちなみに弁護士コインは今エアドロップやってるそうなので見てみてください。
弁護士コインのサイトは【こちら】
Trial TokenはICO中ですね。
Trial Tokenのサイトは【こちら】
過去記事まとめは【こちら】
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