昔、江州の商人と他国の商人が、二人で一緒に碓氷(うすい)の峠道を登っていた。
焼けつくような暑さの中、重い商品を山ほど背負って険しい坂を登っていくのは、本当に苦しいことだった。
途中、木陰に荷物を下ろして休んでいると、他国の商人が汗を拭きながら嘆いた。
「本当にこの山がもう少し低いといいんですがね。世渡りの稼業に楽なことはございません。だけど、こうも険しい坂を登るんでは、いっそ行商をやめて、帰ってしまいたくなりますよ。」
これを聞いた江州の商人はにっこりと笑って、こう言った。
「同じ坂を、同じぐらいの荷物を背負って登るんです。あなたがつらいのも、私がつらいのも同じことです。このとおり、息もはずめば、汗も流れます。
だけど、私はこの碓氷の山が、もっともっと、いや十倍も高くなってくれれば有難いと思います。
そうすれば、たいていの商人はみな、中途で帰るでしょう。
そのときこそ私は一人で山の彼方へ行って、思うさま商売をしてみたいと思います。
碓氷の山がまだまだ高くないのが、私には残念ですよ。」
〜ものの見方が変わる『座右の寓話』No.18より〜
この寓話を読んで皆さんは何を思いますか?一見最後まで読んで見ると江州の商人の意見がごもっともだと思いますよね?
私はどちらもが正論の様な気がするのです。
決して逃げ出すことに賛同するという訳ではなく、ここでは「リーンスタートアップ」の理論からここは自分の土俵ではない、又は改善が必要と判断したならば素早く改善、又は撤収するという考え方です。
事業であれば、違和感を持ち続けながら取り組み続けることは更なる悪化を招きます。
寓話の中で考えて見るとすれば改善、それは体力アップと精神力アップにあたると思われますね。
しかし人には向き不向きがあります、すなわち撤退。自分に合った道を見つけ出す方に力を注いだ方が効率的ではないかと思うのです。
それにより、自分に合った幸せな人生が待っている様な気がします。
一方江州の商人はどうでしょう?先ほどの考え方をするとまるでウサギとカメの話の様ですね。
そう、険しい道をひたすらに進む結果、成功が待っていることはしばしばだと思います。
誰もが屈する様な道を走り続ける、周りからの信用も厚いものとなるでしょう。
周りを見渡せば成功者に多いのは地道に一つの事をやり抜いた方も少なくありませんね。
尊敬します。
ひとえにどちらが正しいと言えないと考えています。手を変え品を変えて成功を手にする人もいますし、一つのことを遣り抜き幸せを手にする方も居ます。
必要なのは自分自身が向いているのはどちらなのか?を見分ける力となります。
それは人生の中でたくさんの経験を積み、自分自身が判断できる様になるまで迷い続けることにあるのではないでしょうか?
私もまだまだ人生の中でたくさんの分岐点に立ち、その都度選択を繰り返しています。
一つのことに集中できず、これまであの手この手と手法を変え、まだ成功を手にしている訳ではありません。
しかし、40代半ばにしてやっと成すべき事、やるべき事が見えてきました。
50代を迎える準備をすべく全力で走り抜けたいと思っています。
若くして道に悩む方も多いかと思いますが、こんなオジサンも居ます!
まだまだこれから!お互いに自分と向き合っていきましょう!