正解というものはないに等しい。あるとき正しかったことが次のときには間違いであることはよくあることで人生を悩ませるもとである。特にそれが数学的な答えではなく個人の感覚なら一定であることのほうが難しい。
正しさと同時に維持できないものは旨さである。個人の感覚であり体調にすら影響され加齢でも変化する。暑い日の鍋や寒い日の氷など味に関係なく美味いと言いたくない気分すらあるのである。
しかし、今私はこの焼きカスタードファッションを食べて美味いと思っている。ミスドのカスタードは控えめであるしファッション生地の濃厚さと相まって存在は薄い。焼きとは言えどカリカリでもなければ香ばしさを感じるほどでもない。
それでも美味いと思うのである。過去焼きカスタードドーナツを食べたときと同じように。
なんとも恥ずかしながら既に食べた感想を述べてしまっているではないか。しかし語らねばならぬ。それが私なのだから。
言ったように焼きカスタードの存在は薄いかもしれぬ。それでも美味いのは馴染みがいいからであろう。オールドファッションはケーキに近い存在であり言ってみれば揚げケーキなのである。揚げケーキとはなんともカロリー極悪人の香りがするがカロリーは美味い。そしてケーキは卵やバニラなどと既に既知のカップリングであり珍しくない。つまり味として馴染みがいいのはもちろん経験的に既に知っている存在でもあるのだ。まずくするほうが難しいだろう。
ただやはりファッション生地はそもそも存在が強くドーナツの特性上揚げ香などもありとっくにミスドでは匂い物が負けがちである。チョコやココナツでもやはりそれらの香りを楽しめることは少ない。香りを楽しむためには口に入れたドーナツをワインを楽しむときのようにじっくりと呼吸し噛み混ぜて行く必要がある。それもまた面白いだろう。
ミスドの楽しみ方として重要なことはミスドはメチャクチャ美味しいものを提供しているわけではないという前提がある。
私はミスド専門の探検家として長いがそれでも別にミスドが至高だと思っていたり最高に美味しいと思っているわけではないのだ。
ミスドは甘党のジャンクフードである。塩見ならポテトフライを食べに行くかもしれない。しかしカフェインと糖分を得ようと思えばミスドである。
またコーヒーやカフェオレもおかわり自由である。時間を潰して作業をするのに糖分とカフェインが取り放題はジャンク界隈最強であると言える。
またそうでなくてもミスドは憩いにもってこいである。食事ではなく軽食もあるので軽い打ち合わせなどにもよく利用されている。女性ばかりで苦手であるとしても持ち帰りはいい手になるだろう。コーヒーはお変わりできないがその変わり少し大きめのカップに入れてくれるしドーナツが詰まった箱というのは意味なくテンションをあげがちなのでおみやにもちょうどいいのだ。
営業期間の長いミスドはおそらく相手の記憶にも引っかかっているだろう。いいか悪いかどちらにしても相手の懐の話をするのにもってこいである。