先日、大阪市にて開催された「お金とコミュニティ」というパネルディスカッションに参加した。SPOTSALE代表の鶴岡が登壇させていただくことと、SPOTSALE会員権を発行していただいているbillageOSAKAさんが主催されていることが理由だった。
その時のログミー > 日本に独自経済圏は生まれるか? トークンエコノミーをめぐる海外との格差
・株式会社Asobica 代表取締役 今田孝哉 氏
・株式会社ALIS 代表取締役 CEO 安昌浩 氏
・イジゲン株式会社 代表取締役CEO 鶴岡英明 氏
・bacoor株式会社 代表取締役 奥田雄馬 氏
・株式会社Personize 代表取締役CEO 清水篤彦 氏
の5名のFintechスタートアップ起業家によるパネルディスカッションをbillage OSAKAの柿木原明良 氏がファシリテーションするという内容で、各人の話される内容のスコープはバラバラながら、ブロックチェーンやSNSによる情報伝達の変化の波に乗った、ワクワクするビジョンをお持ちの方々である。
そのパネルディスカッションの最後で、質疑応答ができると聞いていたので、どうしても一つだけ質問したい内容があった。
『トークンエコノミーなどで市場が細かく分担されると、ちいさな村がたくさん発生するだけで、ネットワーク効果などの経済規模に応じたエネルギーが薄れ、小さなおもしろいものはうまれても、影響力の大きなものがうまれにくくなるのではないか?』
いまSPOTSALEの事業展開をする上でICOスキームやさまざまなブロックチェーンスタートアップをリサーチする際に、なんとなくモヤモヤと感じていたことだ。そう考えていた矢先、ALIS代表の安さんが以下の質問をされたのである。
「独自の経済圏をつくっていくというのは、実はけっこう難しいなと思っています。ブロックチェーンで信頼は不要になったかもしれないんですけど、それってイコール"価値が担保される"という話じゃないと思うんですよ。
信用が不要だからといって、価値が勝手に出てきて、独自の経済圏ができるわけではなく、そこの課題はまだありますと。それが独自になって、小さくなっていけばいくほど、やっぱり経済圏をつくるのが難しくなっていく。なぜなら、取引が少なくなっていくから。」
このあと、各サービスの代表からそれぞれの(また思い思いの)回答が寄せられたが、正直ぼくはピンとこなかった。安さんの質問には"世界規模の影響を与えるためのスケール"というニュアンスが含まれていなかったせいだろうか。
トークンエコノミーやスマートコントラクトなどの仕組みになぜ、初期のインターネットのような時代を変革し、新しい価値変容の可能性を感じるのか?
【信頼性】
ブロックチェーンが生み出す最大の価値はこの信頼性なのではないだろうか。銀行や国家などのだれもが信頼する(していた)ブランドを頂点とするヒエラルキーを作らずとも、フラットなネットワークによる信頼性が担保される。オープンソースの浸透によるコモディティ化がおこれば、さらに誰にでも信頼性の高い台帳システムの提供が可能になる。
【希少性】
無限に札束をすればインフレが起きるように、トークンの絶対数には何らかの制約が必要そうである。金[gold]も地球に存在する総量が決まっているため、高額な投資対象となっている。誰かがデータベースを改ざんし、自分の金[gold]の持ち分を増やすようなことがあれば、価値の暴落につながるが、こちらも非中央集権型のシステムにより担保可能だ。
【提供価値】
ビットコインはインターネット上の匿名決済のデファクトスタンダードになる可能性がある。すでにもうなっているかもしれない。イーサリアムはトークンエコノミーを生み出したい技術者たちのプラットフォームとなった。各コミュニティが発行するトークンにはその発行目的や思想に付随する、利用対象が存在する。その価値が高ければ高いほど、また前述の希少性も高ければ高いほど、そのトークンの価格は高くなる。また、スマートコントラクトの実装により、価値とトークンの変換をシステム的に保証することもできる。
以上が、独自のエコノミートークンに可能性を感じたり、一時的な投機目的でトークンを購入している人々の動機になるのではないだろうか。
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記事の途中ですが、上記技術を駆使して会員権の取引所を展開するSPOTSALEでは、一緒に新しい仕組みを普及してくれるメンバーを募集しています!
そもそも理論価格のようなものに正解はないはずで、世の中の多くの人が取引すれば価値は安定し、取引量が少なく時価総額が低ければ、市場をコントロールすることも可能なはずだ。一時的な時価総額に対して実体価値が大幅に低いことが立証されれば、それは"バブルがはじけた”ことになる。ライブドアは自分たちの価値を大きく見せることで影響力を高めた。ICOスキャム(詐欺)とよばれている製品も、もしかすると一つの壁を乗り越えた途端に実体価値が時価総額に追いつくのかもしれない。
結局、なにが独自の経済圏がスケールする方法になるのかはまとめられてないけど、ローカルとグローバル、ミクロとマクロをピンポイントでマッチング効果の高い線によりうまくつなぐことではないのだろうか、と個人的には考えている。
馬車のあとに鉄道がつくられ、飛行機がうまれたことで点と点がつながる数が増え、線の長さがながくなり世界経済が発展したように、【デジタル化と情報伝達量/速度の向上による1ユーザーの複数コミュニティへの横断参画とレイティング】が鍵になっているような気がするが、それはまた別の機会に。