(台北駅地下にある不思議なオブジェ…顔が鳥で身体が人って、「鳥人」?)
ALISに投げ銭機能が実装されて、トークンを介したコミュニケーションが少しずつ展開されるようになってきましたね。
「トークンエコノミー」の一端を体感することができているなぁと感じますが、これはあくまで小さな小さな一端にしか過ぎませんね。
トークンを介したエコシステムがどれほど大きいものになり、どれほど自立的な生態系ができるかということは、世界中のブロックチェーン開発者がいろいろなアイデアを出し、実現に向けた動きを展開しています。
今回はすでに動画サービスで多くのユーザーを抱えている企業が、そのサービスを中心とした「トークンエコノミー」を構築しようとしているような動きを目にしましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・「GIFTOMON」が台湾上陸⁉︎
・「GIFTO」や「Uplive」といったオンラインサービスの展開
・トークンを介した総合的なプラットフォームの構築⁉︎
台湾の経済紙「經濟日報」のウェブサイトに2018年9月11日付で掲載された記事によると、ブロックチェーンを使ったデジタルコンテンツへの投げ銭サービス「GIFTO」を提供している「亚洲创新集团(AIG)」が、ブロックチェーンを活用したスマホゲーム「GIFTOMON」の台湾リリースを発表したそうです。
記事中、ブロックチェーンを活用したスマホゲームというところについては、「基於以太坊智能合約開發的區塊鏈戰鬥手遊(イーサリアムのスマートコントラクトを基に開発されたブロックチェーン戦闘スマホゲーム)」と説明されています。
また、アプリをダウンロードするという形ではなく、現在はTelegram上で遊ぶことができるということです。
ゲームの特徴については、台湾のテック系ニュースサイト「INSIDE」に詳しい記事が掲載されていて、以下のように説明されています。
Giftomon 表面上看起來是款「寶可夢+以太貓+卡牌」的手遊,也並不是市面唯一一款類似型態的 Dapp 遊戲,但它很多環節內涵了區塊鏈遊戲下個世代的指標原型。
(Giftomonは一見すると「ポケモン+クリプトキティーズ+カードゲーム」のようなスマホゲームで、世の中にたった一つのDAppsゲームというわけではないが、ゲーム内の多くの要素は、ブロックチェーンゲームの次世代のプロトタイプを含んでいる)
基本的な特徴は、キャラ育成にRPG要素とカードバトルを組み合わせたような形で、キャラ生成にはERC721が利用されているようです。
こうしたゲーム要素以外に特徴的な部分として紹介されているのが、「遊戲還提供「挖礦」挖取虛擬貨幣 Gifto 的機制(ゲームには「マイニング」によって仮想通貨Giftoを獲得することができるシステムが提供されている)」というところです。
ゲームキャラがイーサリアムのスマートコントラクト上に生成され、そのトレードができるばかりではなく、ゲーム内の「挖礦(マイニング)」によってトークンも獲得することができるということのようですね。
ちなみに、GIFTOMON自体については既に昆布森ちゃんさんの記事で紹介されていますので、こちらの記事もご覧ください。
「GIFTO」については冒頭に、「ブロックチェーンを使ったデジタルコンテンツへの投げ銭サービス」と書きました。
この点について、GIFTOの公式ウェブサイトには以下のようなキャッチフレーズが掲げられています。
你是網路紅人嗎?快來使用Gifto,為你的內容創作賺取更多獎勵,享受更好的線上生活!
(あなたはネットの人気者ですか?だったら早くGiftoを使って、あなたのコンテンツにたくさんの投げ銭をもらって、より良いオンライン生活を送ろう!)
「網路紅人(ネットの人気者)」に呼びかけていることから想像できるように、GIFTOは既存のプラットフォームと結びついて展開される投げ銭サービスなんですね。
その既存のサービスとは、ホワイトペーパーによれば以下のように説明されています。
我們希望它能成為一個自我監管的生態系統,通過此系統虛擬禮物可以在任意內容平臺,如YouTube、Instagram、Facebook和Uplive上被創創作、審核、追蹤、購買、贈送、交換。
(私たちはGIFTOが、このシステム化されたヴァーチャルプレゼントが、任意のコンテンツプラットフォーム、たとえばYouTube、Instagram、Facebook、あるいはUpliveでおこなわれる創作、評価、追っかけ、購入、プレゼント、交換を生み出すことを通じて、自立したエコシステムを構築することを望んでいる)
著名なSNSの名前が挙がっていますが、公式サイトのFAQを見ると、GIFTOのhtmlタグを埋め込むことによって投げ銭やプレゼントを受けることができるようです。
また、「Uplive」とは日本語版アプリもある動画ライブアプリで、台湾のテック系ニュースサイト「Knowing新聞」に掲載された、創業者の田行智さんのインタビュー記事によれば、2016年5月のサービス開始から2年で5,000万人を超えるユーザーを獲得していると書かれています。
(リンクの中の写真が、田行智さんです)
ちなみに、田行智さんについては以下の記事で少し触れましたが、Googleで働いていた経歴があり、Androidの中国進出という役割を担った人物として知られているようです。
実際にUpliveの公式ウェブサイトを見てみると、日本も含めて世界各国にたくさんのユーザー(「Upliver」と呼ぶそうです)がいて、投げ銭やプレゼントも含めて、様々なコミュニケーションがおこなわれていることがわかります。
GIFTOには既にウォレットも実装されていて、ウォレット内のGIFTOトークンは上場されている取引所に送金することが可能だということです。
GIFTOはBinanceをはじめ、多くの取引所に上場されていますので、投資対象としての流動性も比較的高いように感じます。
このあたりも、GIFTOのサービスを活用するインセンティブとして働いているのかもしれませんね。
上に挙げた「經濟日報」の記事は、GIFTOが以下のような将来像を描いていると指摘して記事をまとめています。
GIFTO未來也將與好樂迪、音樂、美妝平台、服飾通路、茶葉飲品等進行深度合作,讓GIFTO成為全球最大的虛擬貨幣落地運用平台。
(GIFTOは将来、Holiday、音楽、美容プラットフォーム、ファッションチャンネル、お茶やドリンクなどと密な協力関係を進め、GIFTOを世界最大の仮想通貨をベースとした運用プラットフォームにしていく)
「好樂迪(Holiday)」は台湾のカラオケボックス(KTV)運営の大手企業ですが、こうした企業を含め、「衣食」やエンターテインメント業などとの提携を進めていくことで、トークンを介したプラットフォームを構築していこうとしていることがうかがえます。
UpliveやGIFTOMON のように、オンライン上では着々とサービス展開を進めているように見えますので、ここから実体経済へとどのように事業を広げていくことができるのかがキーポイントになりそうですね。
今はオンライン上でおこなわれている投げ銭やプレゼントが、現実の世界でより気軽に展開されるようになっていくのか…
ブロックチェーンが実際の社会の中にどのように実装されていくのかということにもつながるサービスだと思いますので、これからもコツコツと動きを追いかけていきたいと思います!