
ビットコイン(BTC)の急落が続いている。5月19日には4万ドルを割り込み、2月の6万4,000ドル超の史上最高値から40%近く下落した。
ここ最近は、ビットコインをはじめ暗号資産市場全体に強い向かい風が吹いている。
米電気自動車企業テスラのCEOイーロン・マスク氏は2021年3月、ツイッターで「ビットコインでテスラ車を購入できるようになった」と発表。さらに、同氏は「テスラに支払われたビットコインはビットコインとして持ち続け、法定通貨(ドルなど)には換金しない」とも投稿した。
しかし、同氏は5月12日、ツイッターで「ビットコインの採掘(マイニング)や取引に使用される化石燃料が急速に増えていることを懸念している」と述べ、テスラのビットコイン決済受付の停止を発表。これを受け、ビットコインは13日のアジア時間の取引で一時15%の急落となり、5万ドルを割り込んだ。
さらに5月16日、Crypto Analystと称するMr.Whale氏の「ビットコイナーは次の四半期、テスラが保有するビットコインの残りを売却したことを知れば、自身を責めることになるだろう」とのツイートに対して、マスク氏は「確かに」と返信。テスラが保有するビットコインの売却を示唆した。これを受け、ビットコインは一時4万5,000ドルを割り込んだ。
なお、同氏は5月17日、ツイッターで「テスラはビットコインを売却していない」と投稿している。
ステーブルコインのテザー(USDT)の発行及び管理を行うテザー社は5月13日、これまで謎に包まれていた担保資産となる準備金の内訳を公開する。
テザーは米ドル資産を担保に「1米ドル=1USDT」で等価発行されるステーブルコイン(価格が安定した暗号資産)であるが、今回初めて公表された担保資産となる準備金の内訳は、多くの市場参加者を不安にさせるものであった。
※左図
75.85%:現金及び現金同等物、その他短期預金、コマーシャルペーパー(CP)
12.55%:担保貸付金(関連会社への貸付はなし)
9.96%:社債、ファンド、貴金属
1.64%:その他投資(デジタルトークンを含む)
全体の75.85%を占める現金及び現金同等物に関しては、以下の内容で構成される。
※右図
65.39%:コマーシャルペーパー(CP)
24.12%:信託預金
3.87%:現金
3.6%:リバースレポ・ノート
2.94%:短期国債
テザーの問題点
①約25%のUSDTは米ドル資産の裏付けがない。
②現金比率が低過ぎる。
③準備金の過半数が発行体不明のCPで占めている。
このテザー社の準備金内訳の公開が、暗号資産市場全体の下落に繋がったといわれている。
なお、米暗号資産メディアThe Blockによると、テザー社は担保資産の内訳において現金が一部に過ぎない理由について、「現金及び現金同等物の中で、現金だけに着目するのは誤解を招く恐れがある。現金ではないものも流動性の一部として考慮する必要がある」とコメントしている。
中国の国家機関である中国インターネット金融協会、中国銀行協会、中国支付清算協会は5月18日、暗号資産を人民元や外貨に交換する業務、暗号資産に関連する金融商品の販売、暗号資産を使ったオンライン取引などを禁止する事項を発表。また、投資家に対し、暗号資産を巡る投機的な取引を行わないよう警告した。この中国の金融業界団体による規制強化が嫌気され、5月19日の取引でビットコインは一時3万ドル付近まで急落した。
さらに、中国の国務院金融安定発展委員会は5月21日、金融リスクを制御する取り組みの一環として、ビットコインのマイニングと取引を取り締まる意向を改めて表明。これを受け、21日の取引でビットコインは3万3,550ドルを付けた後、一時3万7,620ドルまで値を戻すなど、荒い値動きとなった。
なお、ビットコインのマイニングの75%以上は中国で行われている。
ビットコインは4万ドル台を回復するか3万ドルを割り込むか、非常に目が離せない相場となっている。ビットコインの買い場を探している個人投資家は、もみ合い(レンジ相場)からの上放れをしっかりと確認して買うことをお勧めする。「相場は明日もある」という心持ちで、機会をじっくり待つことも大切だ。