2020年5月18日、Ethereum上のDEXであるUniswapがV2をローンチしました。
V1からの変更点はこちらにまとめられていますが、ただの取引利用者として一番影響のある新機能はトークン対トークンのプールが用意されるようになったことです。V1ではETH対トークンのプールしかありませんでした。
例えば今までUSDCからMKRに交換したい、というときには下の図1-(2)のようにUSDC-ETHとETH-MKRのプールをETHで跨いで交換されていました(図が出てくる順番が悪くてすいません)。
それがV2では、もしUSDC-MKRプールがあれば(さらにそのプールが最適なレートを提供しているならば)直接交換が行われます(下図1-(1))。
このことの何が嬉しいかというと、手数料の壁が引き下げられたことです。Uniswapではプールを使うごとに0.3%の手数料が徴収されるので、ETHを経由する今までの方式では、どんなに潤沢な流動性があっても0.3 x 2 = 0.6%のスプレッド下限値がありました*。それが直接のペアがあれば0.3%になるのです。
*買い->売りで考えればさらにこの2倍で1.2%。
ということで、普段の取引規模がプールサイズより十分小さいようなトレーダーは、ETH以外での取引に関してV1よりも良いレートで取引できる可能性があります。
逆に、プールサイズに対して1%以上という大きな取引をする人は、流動性が分散することで不利益を被る可能性もあります。しかし実際のところ、大口トレーダーは1inchexchangeなどのアグリゲータを使って複数DEXの流動性を利用することができるのであまり問題ないかもしれません。
ちなみに1inchexchangeの開発者に聞いたところ、1inchではUniswap V2内の複数プール利用もサポートしているらしいです。例えば図1の(1)と(2)を合わせる、といったような。
ちなみにちなみに、Uniswap公式のUIで提供されている交換機能では最大3プールを跨ぐ組み合わせ(図1-(3))の中からベストレートな経路が選ばれるようになっているということです*。"直列"のみで、"並列"はありません。
*具体的にはUniswap SDKのbestTradeExactIn/OutでmaxHops=3になっています。