廣尾稲荷神社(東京都港区)を参拝しました。
社号 稲荷神社
祭神 倉稲魂命
慶長年間徳川二代将軍秀忠公の勧請と伝えられる。此の頃麻布広尾辺は萩の名所で当社の俗称「ハギナメ稲荷」は可憐な萩が地をナメル様に咲き乱れていたことによる。
社殿は木造明神造り、御神体は木造翁の立像。商売繁昌、五穀豊穣、火伏の神として信仰を聚めている。東京都神社庁より
麻布御花畠富士見御殿の鎮守。太平洋戦争後、富士見稲荷を合祀。当社の拝殿天井墨龍図(高橋由一筆)は港区有形文化財に指定されています。
拝殿を除いていたら、どうぞ中を見学くださいと拝殿内に上がらせてもらいました。
拝殿天井のほぼ全体にわたる大きな画面に、水墨の線と濃淡のぼかしを巧みに活かし、頭から尾の先までを円状にくねらせながらその姿を現わす一頭の龍が生き生きと描かれています。図中には、「藍川藤原孝経拝画」の著名と「藍川」の印章(朱文方印)が見られます。
「藍川」の号は、西洋からもたらされた油絵の技法をいち早く取り入れ、近代日本洋画最初の画家として歴史的な評価をうける高橋由一(一八二八-九四)が、絵画学習の基礎として狩野派の様式を学び、その画法によって水墨画を描いていた時期に使用していたものです。由一が狩野藍川孝経の落款を残す現存作品は極めて稀です。
広尾稲荷神社は、弘化二年(一八四五)一月二十四日、青山から麻布一帯を焼いた「青山火事」によって社殿を焼失しましたが、同四年に再建されました。拝殿の墨龍図は、このときに描かれたものと考えられます。製作年代がほぼ特定できる作品としても貴重なものです。(港区教育委員会)
境内の外側には「広尾の庚申塔」がありました。
すぐ近くに有栖川宮記念公園があり、またNational Azabuスーパーマーケット、ドイツ連邦共和国大使館などもあります。外国の人たちも多くグローバルな生活感のある場所で私の好きな地域の一つです。
江戸時代にはこの一帯は萩の名所だったようですね。有栖川宮公園の辺りの小高い丘からは、富士山も拝めたのでしょう。可憐な萩が地をナメル様に咲き乱れていたことに由来する「ハギナメ稲荷」。麻布御花畠富士見御殿の鎮守という表現からも萩の花が綺麗だったのでしょうね。偶然観ることのできた拝殿天井墨龍図も迫力があって素晴らしかったです。