あなたの知らない世界企画記事
これは、私がまだ小学校低学年だった頃の話です。私には兄が二人いました、当時は仲が良く三人部屋で夜中まで遊んでは母親に怒られる毎日を送っていました。
ある日、そんな私たち家族に転機が訪れました
私「あんぶりぃ~」
何を血迷ったのか、私は独自言語を使い始めてしまったのです。当時の私は何故か謎の言葉を発するのがカッコいいと思い込んでしまったのです。
「あんぶりあんぶり~」
さながら気分はペラペラ英語を喋る外国人でした。
レオナルド・ディカプリオならぬナンヤコイツ・アタマオカシインチャウカです。
最初のうちは兄二人も仕方のないやつめとため息をつく程度でしたが次第にエスカレートする私のアンブリーに兄たちはangryでした。
アンブリーVSアングリーです。
いまでこそ筋骨粒々、放たれる正拳突きは音を置き去りにする私ですが何せ当時は小学校低学年、怒りにまかせて拳を繰り出してくる兄二人に敵うはずもなく、毎日ぼろ雑巾のようになっていました。
特に夜中はヒステリックになるブラザー達に私は怯え「あんぶり~」と言いながら両親の寝室に逃げ込みました。
そしてその日は暴力に怯えることなく存分にあんぶり~を楽しみながら寝たわけですが、何故か夜中に目が覚めてしまいました。
「あんぶり~(おしっこしたい)」
時刻は見ていないので正解な時間は分かりませんが恐らく3時24分56秒くらいでした。
猛烈な勢いでオシッコをしたい私は重い腰をあげました。
しかし、気づいてしまったのです。
「なんの音だろう?(あんぶりぃ)」
シャッ
シャッ
シャッ
シャッ
なにやら奇妙な音が聞こえたのです。今だったらなんだキヨスイさんかで終わる話ですが何せ当時は小学校低学年、キヨスイさんもまだシャッ言ってない時代ですからこれで話は終わりませんでした。
耳をすませてみると音はリビングから鳴っているように聞こえました。普段の私なら怖いからとまた寝る所ですが猛烈な勢いでオシッコをしたい私、そしてトイレにはリビングを通らなくてはたどり着けないとなれば話は別です。
お得意のアンブリー精神で音の正体を探ります。
「これは、、、カーテンか?」
そう、音は恐らくカーテンを開閉する音でした。
何度も
何度も
何度も
何度も
何度も
何度も
怖くなった私はトイレを諦めようとしました。が、しかし、窓、カーテン、夜中というワードでもしかしたら泥棒なのではないだろうか?という疑念が生まれていました。
もしそうだったら寝てる場合ではありません。私は隣で寝ている父を起こして見てきてもらおうと考え、父を見ました。
父はデカイ口を開け、臭い息を撒き散らしながら寝ています。よくよく見るといびきもかいていました。
父「シャーッシャーッシャーッシャーッ」
変ないびきかいて寝てんじゃねえぞこのくそ親父と思ったところで私は気がついてしまいました。
「まるでカーテンを開閉するような音のいびきじゃあねえか」
ん?
まさか
私は実の父にある疑念を抱いてしまいました。決して抱いてはいけない感情。
だが確かめずにはいられない。
私は父の鼻をつまみました。するとどうでしょう。先ほどまでリビングのカーテンをシャッシャッやってる音が突然鳴りやんだではありませんか。
そして父の鼻を離すとまたリビングのカーテンをシャッシャッする音が始まります。なるほど、つまりはそういうことだったのです
すっかり恐怖心の無くなった私は、トイレに向かいながらぽりぽりと頭を掻きむしりました。
「あんぶりぃ(やれやれだぜ)」
完