※このお話はしまりすというとある公務員の方の体験談を元に作られたフィクションです。実際の人物や団体とは一切関係ありません。
ちょっと蒸し暑い朝、チャイムの音で目が覚めた僕。あぁそうか、今日は土曜日仕事は休みだ。
再び鳴るチャイムに僕は重い腰を上げ玄関に向かう。扉を開けるとそこには少しだらしない格好の配達員。
仏頂面の配達員にサインを促され僕はハンコを取りに行くのが面倒なのでボールペンでサインをする。どうだい?達筆だろう?
配達員に渡された黒い小箱を持ち部屋に戻る僕、配達予定日には昨日の日付、まったく……昨日来なかったくせに謝罪すらないとは。。僕のような高スペック公務員を待たせた罪は重いぞ庶民め。
そんなことを考えたがしかし今はそんなことなどどうでもいい、今は目の前の黒い小箱が優先だ。僕は焦りからかうまく小箱のテープが剥がせない。思わず小箱を噛む、これでもかと噛む。3分ほど噛み続けたら小箱は跡形もなく無くなった。何故だろう?少し僕の胃袋も満たされた気がする。
しかし今はそんなことなどどうでもいい。さっきも同じセリフを放ったがそんなことなどどうでもいいのだ。
僕の手に握られる物体。赤いボディーに黒いラインが入った少し細長いシルエットの物体。
「君の名は?」
少し戸惑いながらも君が答える。そうか、君はTENGAって言うのか。とっても可愛い名前だね。
僕はTENGAにまずはお茶を出す。ごめんね、烏龍茶しかないんだ。今日は暑いから麦茶の方がよかったかな?今度用意しておくよ。
しかし君は嬉しそうに烏龍茶を飲み干した。いや、正確には飲み干したような気がした。
どうしよう、会話が続かない。恋愛に関する情報は嫌というほど頭に叩き込んだはずだ、こんなとき何を話せばいい?
頭が回らない。僕は気がついたらズボンを下ろしていた。僕のミニしまりすは既に臨戦態勢た。
僕は君を力強く掴みミニしまりすへ押し当てる。しかしそこで気づいてしまった、君が震えていることに。
僕は君を離し、謝罪した。あぁ、なんてことをしてしまったんだろうか。出会ったばかりの君に僕は…
うつむく僕に君は、それが私の仕事だからと呟く。それを聞いた僕の頬には涙が流れていた。
これが、これがTENGAの宿命なのか?そんな悲しいことって……あるのかよ?
いても立ってもいられず君を連れて家を飛び出る。
最寄りの駅についた。私電車初めてなのと嬉しそうに微笑む君の笑顔を守り抜くと、電車に揺られながら強く自分に言い聞かせた。
電車を降りると人、人、人。それもそのはず、ここはディ○ニーランド。日本一のテーマパークだ。
君とはぐれないよう僕は君をしっかりと握り直す。痛いよと君が言ったが僕は握る力を弱めない。僕は君とはぐれたくないんだよ。
パーク内部に入る。今はイースターだからだろうか?卵のキャラ「うさたま」が至るところに置いてある。
うさたまを見つめる僕に君は言った。
「いま、EGGTENGAのこと考えてたでしょ」
少しムスッとした顔の君に思わず僕は吹き出す。笑っていると君はさらに怒る。こんな時間が永遠につづけばいいのに。
続く