高速でスケーラブルなブロックチェーンプラットフォームのニューカマーが、多くのパートナーシップと大きな投資家のサポートを獲てビッグウェーブを巻き起こす
先週も、そして今日も、どこかのプロジェクトのメインネットがローンチされる。これは、今や珍しくもないブロックチェーンの日常となっています。現在、全てのプロジェクトが速度、スケーラビリティ、セキュリティ三者のトレードオフのバランスに苦労しています。更には、多くのプロジェクトは、開発活動がほとんどない「やるやる詐欺」「書き始めだけ上手な馬」「アーティスト気取りのチャーティスト」「過去の栄光を引きずるだけのポエマー」「大根屋」「サトシ依存」「尻軽BCH」など悪いキャッチフレーズには事欠かないような状態となっています。
そのような中で、目の肥えた既存プレーヤーや投資家の間で久方ぶりの興奮を引き起こすような新たなプロジェクトが出現したとしたら、一度真剣に検討する余地があるでしょう。現在まだテストネットの段階ですが、Solanaはそのようなプロジェクトの1つです。
Solanaは現在、Bison TrailsやChainlinkとパートナーシップを締結しており、過去には500 StartupsやMulticoin Capitalなど著名ファンドから2,000万ドルを調達しました。また、3月中旬の超ベア市場の中において、CoinListによるダッチオークションで全トークンを完売しました。
業界に新風を巻き起こしているSolanaでは一体何が起こっているのでしょうか?
The background
2017年、Solana CEO Anatoly Yakovenkoは、グローバルな採用に向けて柔軟な拡張が可能なブロックチェーンプラットフォームを構築するという野心を持ってSolanaを設立しました。彼は以前、大手通信メーカーのクアルコムでOS開発チームを率いていました。
彼はコインテレグラフにこう語っています。「私は完全なパフォーマンスオタクです。ハードウェアが持つパフォーマンスの全てを絞り出すことに12年間を賭けていました。」その他にもMesosphereでは分散型OSの設計を、その後Dropboxでも経験を積みました。
Solana設立時に、彼は彼と同様に非常に豊富な経験を持つ専門家をチームに集結させました。最高技術責任者兼シニアアーキテクトのGreg Fitzgeraldもまたクアルコムに勤務していた経歴があります。最高執行責任者のRaj Gokalは、General Catalystでベンチャー投資家として過ごし、彼自身のスタートアップであるSanoとOmada Healthにおいてプロダクト管理や財務の経験を得てきました。主任科学者のEric Williamsは、バークレー博士号を取得した素粒子物理学者です。CERNと呼ばれる欧州核研究機関でヒッグス粒子の研究を行っていました。
Solanaチームは、今後のメインネットローンチに向けて、多くの投資家やパートナーを惹きつけてきました。マルチコインキャピタルは、2019年7月に2000万ドルの資金調達ラウンドを主導し、最近のコインリストでのオークションでは91か国から176万ドルの調達に成功。合計で、Solanaは1億8600万SOLトークンを販売し2560万ドルを調達しました。
また、インセンティブテストネットプログラムとしてTour de SOLを開催し、既に複数の企業がここに参加しています。最も知名度の高いのはBison Trailsで、彼らはLibra協会の一員でもあります。 Bison TrailsはSolanaテストネットのバリデーションノードとして機能し、Solanaのサポートをサービスとしてのインフラストラクチャサービスへの統合も果たしています。
The issues at hand
既存の多くのブロックチェーンプロジェクト同様、Solanaはプラットフォームの開発においてスケーラビリティの課題を念頭に置いた取り組みを行っています。ただし、Solanaは、セキュリティや分散化に妥協せずにスケーラビリティを実現することを目的としています。
Solanaはまた、ブロックチェーンのコンセンサス固有の問題である「時間の合意」の解決にフォーカスしています。どの元帳でも、元帳の履歴のバックボーンが形成され、エントリが作成される「時間」は重要な要素です。元帳が中央サーバーに保持されている場合、システムクロックは記録時にエントリにタイムスタンプを付与します。分散システムでは、全てのノードが独自のクロックで動作しており、「時間」はトランザクション自体と同じくらいネットワークノードの合意が必要なものです。
ビットコインやその他のPoWブロックチェーンでは、マイナーがナンスを解くのにかかる時間により難易度が決定されます。したがって、ブロックチェーンのコンテキストでは、時間の経過を正確に記録することが非常に重要です。様々なブロックチェーンがこの課題の解決法を探っていますが、「時間の合意」の達成には、ネットワークノード間のメッセージングに大きな負荷がかかってしまいます。
例えば、Hedera Hashgraphは、Solanaと同様のプロセスを踏むプラットフォームであり、ネットワーク上の多数のノードからタイムスタンプを取得してその中央値を計算します。これにより、Hashgraphネットワークは、この部分においてはEthereumをすぐに追い越しました。Hedera Hashgraphの最高マーケティング責任者クリスチャンハスカーは、コインテレグラフに次のように語っっています:
「2019年9月にプラットフォームにオープンアクセスして以来、Hederaはネットワーク上で8千万を超えるトランザクションを実行しています。ちなみにEthereumは同じマイルストーンに到達するのに2年半ほどかかっています。」
Proof-of-history
時間の記録という課題を克服する為、SolanaはProof of History(PoH)と呼ばれる独自のプロトコルを使用し、特定の入力やネットワークノード間のメッセージングを必要とせずに、時間の経過をブロックチェーンデータ自体にエンコードし,検証可能な遅延関数またはVDFと呼ばれる機能を使用します。
Solanaプロトコルは、各VDFの結果を後続ブロックにエンコードします。これによりコンセンサスが行われる前の時間の経過の不変のログが提供されます。時間ベースのメッセージング負荷を除去することにより、Solanaは毎秒50,000トランザクションを達成できるとしています。
Yakovenkoは、ブロックチェーン環境内で「時間の合意」に達することの重要性を簡潔に説明し、Cointelegraphにこう語りました。
「PoHによって時間に関する強力な仮定を行うことができるようになり、実装の複雑さを大幅に低減することができました。」
さらに、将来のブロックチェーンの実装におけるVDFの役割について、Yakovenkoは実装の複雑さについて詳しく説明しました。
「VDFはかなり新しい産物であり、実装には新しいASICSなどの検証ハードウェアが多数必要となります。スケーリングアプローチは最新のシステムに依存しているため、VDFはネットワークに対し非常にうまく機能します。メインネットでは、現在の技術を飛躍的に向上させ、ブロックタイムが400ミリ秒で毎秒50,000トランザクションのスループットを維持できるようになります。」
Tower Byzantine fault tolerance and proof-of-stake
Solanaは、Hyperledger Fabricで使用されているタワービザンチンフォールトトレランスと呼ばれるモデルを使用しています。このコンセンサスモデルは、ネットワーク参加者に常にネットワークに対して有益な行動をするようなインセンティブ設計がなされています。
pBFTと同様、特定の投票後に確認されるハッシュが多いほど、その投票のロールバックには時間がかかります。バリデーターは、ペナルティなく特定のハッシュに投票した場合フォークに投票できません。 Solanaはまた、誰がバリデーターとしてネットワークに参加するかを決めるために証明を用います。バリデーターとして参加するために必要なハードウェアを持たないトークンホルダーは、バリデーターに委任することができます。
要約すると、proof-of-historyはネットワークの時計として機能しますが、tBFTはバリデーターを動機付けしてペナルティを課し、ネットワークの利益のために機能します。 PoSにより、トークン保有者はデリゲーターとして機能し、誰がバリデーターとして機能するべきかを委任により決定することができます。
Taking on scalability
Solanaチームは、スケーラビリティの課題を克服するための新たなコンセンサスの発明にとどまりません。
「並列トランザクション処理からリアルタイムブロックストリーミングに至るまで、他のスケーリング問題の課題を解決するために、8つのイノベーションを引き起こしました。」
これら8つのイノベーションは、処理時間の高速化、効率化に寄与するものです。例えばSealevelは、複数のスマートコントラクトの並列処理を可能にする機能です。 Turbineは、BitTorrentに匹敵する方法で機能し、データを小さなパケットに分割してノード間のスケーラビリティを実現し、Solanaが同時に実行する数千のノードをサポート可能にします。
Developers needed
最近、SolanaはオラクルプロバイダーのChainlinkと協力して400ミリ秒ごとに更新する超高速オラクルを構築しました。 YakovenkoはCointelegraphに、この動きはネットワークの混雑から生まれる市場の失敗に対応するものであると語ります。さらに、彼は時間をかけてより多くの開発者やパートナーを巻き込んでいくとCointelegraphに伝えました:
「Solanaのアクセラレータープログラムには既に450を超える応募者がいます。彼らの多くはコンシューマーグレードのアプリを構築したいと考えていますが、既存のインフラストラクチャでは不可能です。構築に対する需要が高まるにつれ、開発者の関心が今後Solanaに集まり、dappの移行が促進することを期待しています。dApp開発者は、アプリケーションに必要なスケーラビリティとセキュリティに加えて、Solanaの使いやすさとコストを採用の為の主な要素として高く評価しています。さらに、プラットフォームが長期にわたり安定した存在であり、ビジネスに必要なものを真に理解している信頼できる評議会によって管理されていることが何よりも重要であり、Solanaはそれを有する数少ないプロジェクトであると確信しています。」
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