ルールは僕をゆっくり殺す。

僕はルールや規則というものが苦手だ。

その理由は、だいたいにおいてルールや規則というものが理にかなっていないことに端を発する。

例えば、「赤信号の横断歩道を渡ってはならない」というルールは理にかなっていない、「車が来ているときに赤信号の横断歩道を渡ってはならない」が理にかなったルールである。見通しの良い直線道路で全く車が見えない状態なのに赤信号だからといって渡ってはならない理由は何もない。

しかし、そうなると見通しの悪いカーブの先にある横断歩道で、だって車が見えなかったから、という理由で轢かれてしまう判断能力がどうかしている奴が現れるに違いない。

したがってルールというものは判断を任せると絶対に失敗する奴がいるという前提で作られている、その結果、ルールは理にかなわないものになり、全ての人間は自分で判断するということを奪われるのである。

この、自分で判断することを奪われている、という感覚が僕はとても嫌なのだ。

「男性はスーツを着用しネクタイを締めること」こんなルールはおかしいのだ、「男性は取引相手からみて仕事を任せる上で問題ないと思われる服装をすること」これが理にかなったルールだ。真面目そうに見えるならスーツである必要は何一つない。

ネクタイなどもう完全に論理が崩壊している、僕はガリガリで首も細長いのでネクタイをしていて苦しいとか暑いという感覚がわからないし夏は社内で常に寒い。でも８月はクールビズでネクタイは外すルールだからネクタイはしない、暑くもないのに暑い時のルールだからという理由で、通常のルールではだらしないとされているノーネクタイをする、もう意味が分からない。

これに、お前何言ってるの？って言う人は暑いって言うかどうかもルールを作れば良い、２９度以上を暑いと言うルールだ、いやぁ今日は暑いですねぇ、いえ今日は２８度なので暑くないですね、って会話をロボット同士ですれば良いんだ。

「朝９時に出社すること」なんでだ、僕が９時１分に来ても何一つ仕事に影響はない、９時３０分ならちょっと困る人がいるかも、１０時ならだいぶ問題だ。僕は馬鹿じゃないんだからそのくらいの判断はできる、９時ぴったりにタイムカードを切ってないと遅刻だなんて言われる筋合いは全くない。

こんな具合にありとあらゆるルールが僕から人間らしい生き方を奪っていることが不愉快でたまらないのだ、とても窮屈である、息苦しい。生きている気がしない。

だから会社には務められない。

ニートシリーズ。