都営三田線の行き先で知った高島平。
どんなところだろうと思っていたら、旧粕谷家住宅の修復が終わりましたという記事を見かけ、高島平に行ってみる理由ができた。
街歩き好きな母を誘った。
高島平って、どういうところかな。下町っぽいお店があったりするのかなと思ったが、
駅前は、道路と、団地の下の大型スーパーという風景。
世田谷の先の、狛江の不便なほうなどに似た、だだっぴろい地面と、団地の街という印象を得た。
駅から15分ほど歩く。激しいのぼりもある。
普通の一戸建ての屋根に並んで、茅葺の屋根が見えたときに、ああ、失敗したかもと思った。
わざわざ遠くまで、しょぼいものを見に来たのかと・・・
いや、せっかく来たんだ、気を取り直して、よく見てみよう。
関東で古い民家のひとつであり、300年ほど続いているおうち。
最近修復したてで、綺麗に整っている。
ずっとこの家を支えている大黒柱のひとつ。どれだけの人を見てきたのだろう。
建具や柱、場所によって木材を使い分けている、まさに適材適所だ。
生まれつき、得て不得手があり、いいところをいい場所に使う。
人間を思った。
まっすぐだけでなく、湾曲した梁が、柔軟性を持ち、震災にも耐えてきた。
茅葺の屋根の困ったところは、風が吹いたときに、家の中に、ほこりやら塵やら、たくさん降り落ちて来て、床や畳が真っ黒になるということだった。
足の裏が汚れる方が、普通なのか。
建物の周りの庭はそれほど広くなく、やはり長くこの家を見守ってきた槇の木が、ひょろりと伸びて立っている。
その木の横に、蕎麦屋がある。もとは、粕谷家のものだったらしいが、今はほかの人が経営している。
来る途中に「そばいなり」の言葉が書かれた看板見た。粕谷家の説明の方が、その蕎麦屋では、ちょっと珍しいそばいなりがあると言う。
そば いなり?
行ってみようかなと、店の入り口の方へ回った。
ここ・・・車に突っ込まれそうな!
(ちなみに、写真は、暖簾を片付けた後)
結構中は広くて、窓から粕谷住宅の庭が見える。
そばの種類色々と、組み合わせ様々なセットがあり、単品の蕎麦は安くない。
しかしお得なセットが色々あったので、そばいなりのセットを頼んだ。
千円でこれなら、いいじゃない?ミニ天丼とお蕎麦と、そばいなりと、
漬物、短冊切りの油揚げ。
蕎麦は、更科とそば粉率たっぷりの蕎麦の間位の感じか?固すぎでも柔らかすぎでもない。汁もあっさり目。天丼は激しく見えたが、意外と優しい味わいで、美味しかった。
そして、主役のそばいなりであるが、
稲荷の中身が、蕎麦!
ごはんではなくて・・・油揚げも甘辛いのにほんのり酢の味がした。
酢の味、そばにつけているのか、油揚げなのか、悩むところだが、
私は、油揚げにかなぁと・・・
なんだか不思議食感。
旧粕谷家住宅だけだとインパクト薄かったが、そばいなり食べてよかった。
セットで思い出という形になったから。
いきあたりばったりで、このような店に出会えるものだな。
高島平から徒歩15分くらいです。「槙」