警察小説。片田舎の交番での出来事。その中身たるやなかなかのもの。なんというか、読み心地まんてんで、ミステリーとしてぐいぐいと引き込まれる。次は何ぞやと思いながらの読書探訪は、読んでいて一向に飽きが来ない。いつの間にか語られる真実に、頭が背筋がじんとくる。色々な感情がそこには内包されていて、一言ではとても表せられない、どころかなんという名前をつけたらいいやら分からん感情が唸りをあげる。
田舎ならではのしがらみ。人々の密接な絡み合い。清濁併せのむどころか濁濁を呷ってのむかのような。人としての汚いところをさらしながらも、大きな何かに対抗するために這いつくばってでも生きる。生き抜く、ではなく。生き意地をさらす。これでもか、これでもか、と屈辱に塗れようとも。守るもののために。
生きるってしんどいよな。でも生きてるんだよな。踏ん張るところは踏ん張んなきゃな。そんなことを思わされました、のです。