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夏の読書感想文「記憶に眠る恋」

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  • ノリさん@スカイリープ
  • 2019/08/02 18:15

大街さん(yaco)主催「ALIS夏の読書感想文コンテスト」に参加します


https://alis.to/yaco/articles/3Gqz6epPqG6D

 

まずはこの本を選んだ理由です 
作者のひまわりさんとは5年前に某SNSで友達になった方なんですが、その某SNSは残念ながら4年前に消滅。その後はFBで今も時々交流させていただいているお友達w 

当時から言葉の選び方のセンスが、ずば抜けていて、なんなのこの子は!って感じで、色々聞いてみると作家さんだったということで、思わず納得しちゃった記憶があります(笑) 

そんな彼女のデビュー3作目の作品「記憶に眠る恋」をもらっていたので、感想文として今回再度読み返して、記事にさせていただきました。 

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それでは早速始めましょう 


「記憶に眠る恋」を読んで 
 

最初に気になったのは、帯に書かれているこのメッセージです。 

・・・身内の入院患者を見舞う若い男女のミステリアスな過去 
・・・記憶喪失となった2人は15年前の過去に気づかない 
・・・だが、運命の赤い糸にいつしかしっかりと結ばれることに 


なるほど・・・15年前に何があったのか? 
普通の恋愛小説ではないんだなと感じながら、最初のページを開くと 
 

「目の前が一瞬のうちに真っ暗になった。立ち眩みでもしたのかと思ったが、私の足はしっかりと床を踏みしめている」 


ん?どういうことなんだろうと思いながらも、読み進んで行くと、母のお見舞いに病院に行く途中に車の前を横切った一匹の黒猫。 

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「デジャヴ?」 
私は妙な感覚に囚われて、その猫から目が離せなくなった。 
私がじっと見ていると、猫が「ニャァ」という形に口を開けた。 
その時私は、物音としてではなく「待ってるよ」と言われたような気がした。


この黒猫があとあと登場してくるのですが、 
小説に登場するのは、 
主人公の広野由香とその母親。そして運命の人:東川敏広とその妻 
学生時代に通った喫茶店のマスター。空白の時間への案内役:黒猫 

さらに読み進んで行くとそこは病院の中。 
由香と母。そして運命の人となる東川との出会い 
日常の何気ない会話による自然な空気感と夜の病院という設定がどこか不思議な空間を作っているようにも思えました。 


全体に通して言えることは、すべての場面におけるこまやかな描写が、登場人物のいでたちや服装。その場所の情景を再現するには、十分すぎるほど巧で、この小説を読んでいる私も、いつのまにか登場人物になっている気がしてしまうほどでした。 


主人公の広野由香と運命の人となる東川敏広の二人は、偶然にも同じ高校に通っていたことがわかるんですが、高校時代の記憶が事故の後遺症によりほとんどないという共通点もありました。 

この小説の中で、主人公の広野由香が感じたこころの中の声が、このあと急速に二人を引き寄せることになる展開からは目が離せなくなりました。 
その文章がこちら 

「東川の声を聞いた途端、私から抜けていたパワーが戻ってきた気がしたのだ。見えないエネルギーを感じていた。」 

「あまり人を信用しない私が会って二日しかたっていない相手に気を許すということなど、普段ではあり得なかった。」 


そしてふたりを乗せた車。突然の大雨と停電! 
気が付くと15年前に二人が通っていた高校の前 


なんと15年前にタイムスリップした二人が目にするのは、15年前の自分たちの姿。 
そこで見たのは仲の良い恋人同士だったふたりではありませんか! 
そして交通事故があったこと。 
交通事故が原因で記憶を失い、その後二人は、残酷にも別々の人生を歩むことになるわけです。、 

私のこころに一番響いたセリフがあります。 
広野由香のセリフ 

「うん、生きてる中で一番覚えていそうなことを忘れちゃってる」 

そうなんです。 
一番忘れちゃいけないことを忘れてしまってる。・・・なんとも悔しく切ない気持ちになります。 

記憶を取り戻した二人ですが、決して結ばれることが出来ない現実に直面します。 
この切ない時間が、物語を読んでいて一番悲しくなりました。 

せっかく時間を取り戻したのに、その時の二人には戻れないなんて・・・残酷すぎる 
知らないほうが幸せだったんじゃないかとも思えました。 

しかし運命の人との再会は偶然ではなかったわけで、この後も必然的な運命が二人を再度結びつける展開になります。 

最後はハッピーエンドに終わるので、あ~良かった!本当に良かった 


小説を読んでいくうちに、気がついたら私も一緒に主人公とともに15年前にタイムスリップしていました。 

せつなくもあり、純粋でもあり、作者 たなかひまわりさんの生き方が重なるような一冊でした。 




120ページあるのですがとても読みやすく、あっという間に最後まで読んでしまいました。 
とても素敵な小説ですので、機会があればぜひ読んで欲しい一冊ですね 


小説を読むのは本当に久しぶりでした。 
こんな貴重な機会をくれた大街さんに感謝です(^^) 
 

 


最後までお読みいただきありがとうございました。 

 

追記

今回ご紹介させていただいた「記憶に眠る恋」を読んでみたい!という方がいらっしゃいましたら、お貸ししますのでTwitterのメッセージでお知らせくださ~い。

 




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