クラウドファンディングにはいくつか種類があることは、こちらの記事で軽く触れました。その中で融資型のクラウドファンディングでは不動産投資との相性が良く、よく不動産投資を専門とするソーシャルレンディングの企業もあるほどです。
ではなぜこの不動産投資にソーシャルレンディング(融資型)は使われるのでしょうか。
不動産投資とクラウドファンディング
そもそも、不動産投資にはかなりざっくり分けると3つある、という見方があります。
1.不動産をローンや現金を使って購入する方法
これはごく一般的な、世の中に認知された不動産投資ではないでしょうか。私もワンルームマンションの購入を検討している時期がありました。その際は主にローンを組むか、自分の資産から購入することになります。この場合自分に社会的な信用があればローンは組めますし、不動産を購入するだけの財産力があれば現金で買うことになります。しかし巨額の不動産ローンを組むには精神的ハードルや、そもそもローンの審査が下りないなんてことは座らにあります。まだ不動産のオーナーとなった場合は自己管理として自分で入居人を探したり、募集をしたり、修繕をしたりと手間がかなりかかるという側面もあります。この手間を代わりにやってくれ、さらに毎月の家賃収入を保証するというサービスがサブリースですね。
一時期かなり問題にもなったこのサブリース契約ですが、家賃収入の改定が2年に一回あるなど、ほとんどのケースはサブリースの会社が有利な仕組みになっています。不動産を自分で購入し、運用、転がすという人はある程度勉強してカモられないようにしないといけません。
2.REIT(Real Estate Investment Trust)
REITとは投資信託における不動産投資の一種です。多くの投資家から集めたお金で、オフィスビル、商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。法律上の扱いでは投資信託という部類に入ります。
REITは投資法人という形態をとっている点を理解することがポイントです。投資法人はその名の通り、投資家からの資金をもとに不動産を購入、運用することを目的として法人のことを指します。
REITは、投資証券を発行し、投資家はこの投資証券を購入します。投資家から預かった資金をもとに、REITは不動産などに対して投資し、購入した物件の賃料収入や、物件の売買で得られた収益を投資家に分配します。
REITの優れた点は投資信託ですので、すぐに売買が可能であるという流動性にこそあります。物件を直接購入しオーナーになるような1つ目の方法では流動性は非常に悪く、すぐに現金に換えにくいという点があります。REITはその点投資信託の一種なので流動性は高いです。
3.クラウドファンディングと不動産投資
クラウドファンディングの形態の1つにはソーシャルレンディングというものがあります、これはお金を借りたい人と、お金を運用したい人をマッチングするサービスのことです。
このソーシャルレンディングですが、日本では不動産投資の発展とともに成長してきたものなんです。もともと不動産バブルを誘発したノンバンクの後釜という考え方もできます。
このソーシャルレンディングでは「不動産物件の購入や建築、運用を行いたい。でも銀行から融資が下りないよ・・・」みたいな人にはうってつけのサービスなんです。銀行は融資にリスクを取りません。必ず回収できると見込んだ不動産案件には首を突っ込んできますが、リスク性のあるものには手を出さないものです。しかしソーシャルレンディングはその点各段にお金が借りやすいというメリットがあります。仕組みは以下のイメージです。
不動産オーナー 「不動産買いたいな、でも審査おりない。ソーシャルレンディング使おう」
ソーシャルレンディング会社 「お金を貸します。その代わりに不動産信託受益権を担保にしますね」
ソーシャルレンディング会社 「2年で利回り10%の案件です。投資家を100人集めますよ~」
投資家A 「投資しまーす」
投資家B 「ぼくも~」
ソーシャルレンディング会社「お金が集まりました。不動産のオーナーさん、15%の金利で返済してくださいね。デフォルト(返せないとき)のときは受益権もらいますからね」
こうしてお金がソーシャルレンディング会社の手によって集められ、不動産を買いたいといったオーナーに融資が実行されます。
しかし、このソーシャルレンディング、最大のデメリットというのが、融資した側は自分のお金が何に融資されたのか確認することはできない仕組みになっているという点ですね。みんなのクレジットという会社が融資先が非公開なのをいいことに、関連会社に資金を流していた。しかもお金は返せませんごめんなちゃい。みたいなことをしてしまい、かなり問題になりました。
ソーシャルレンディングはハイリスクとまではいかないにしても、ミドルリスクミドルリターンの投資モデルであると言えます。不動産オーナーにとっては利息がやや高くつきますが、投資チャンスは拡充するので願ってもない話かもしれません。
おわりに
ソーシャルレンディングは不動産投資を活発化させるうえで凄まじい効果を発揮していることは事実です。この不動産投資におけるソーシャルレンディングが流行りすぎた場合は不動産バブルを誘発し兼ねないという懸念もあります。個人の資産が投資に流入するきっかけになるという点では喜ばしい点もありますが、これを機にお金を失う人も一定数いることは事実です。今後の展開にも注目が集まります。