最近、目覚ましのアラームをセットしなくなった。寝る時間はまちまちだけど、目覚めるのは、いつも決まって7時30分だ。
7時30分に起きるとまずは布団を片付ける。床派の私。ベッドではなく布団で眠る。万年床にはしない。掛け布団を上から順番にたたみ、クローゼットにしている部屋の隙間に積み上げていく。
几帳面なところがあって、布団の端をピシッと揃え、決めた手順でたたんでいく。毛布は、縦に二つ折り、そこからさらに縦に二つ折り、そして横に二つ折り。厚みのある布団は、縦に二つ折り、横に二つ折り、縦に二つ折りの手順だ。
冬は布団が多くて、これが朝の一仕事になっているのだけど、体温がほんのり上がってちょうどいい。
仕事のスタートは、たいてい10時だ。職業はフリーライター。流行りの在宅ワークである。
ここは以前経営していたお店用に借りた部屋で、以前は通って仕事をしていたのだけど、フリーランスが本業になってからはすっかり自宅になってしまった。店は、コロナ禍がきっかけで、閉じている。再開する予定は今のところない。
このタイミングで毎日考えることがある。
「7時30分に起きてから10時までの間に何をしていたっけ?」
2時間と30分。
朝の時間としては、長い時間のような気がする。以前お勤めをしていたころに、同僚や友人からよく聞いていた朝のタイムスケジュールは、7時に起きて8時に家を出て、9時から勤務スタートというものだった。
では私がお勤めしていたころどうだったかというと、5時30分に起床して8時に家を出ていた。
やはり、2時間30分かかっている。
私は朝の時間に、一体、何をしているのだろう?
ちなみに、私はメイクをほとんどしない。軽く整えはするけど、メイクにかかる時間は2~3分程度だと思う。さらに、服の種類がほとんどない。服選びは秒で終わる。しいて言えば、「着替えるのが面倒くさい病」を患いがちで、着替えるまでに少し時間がかかる日はあるけれど、それでも着替え自体はすぐに終わってしまう。
自分で不思議だったので、意識して朝の自分の過ごし方を観察してみた。すると、最も時間を使っていたのは、ぼんやりすることだった。
その日の気分で珈琲か紅茶を飲みながら、何も考えず、ただぼんやりする。何もしていない、きわめて無駄な時間。
みんな、口を揃えて「じゃあ、もう少し寝てれば?」と言う。
そうしたいのはやまやまだけど、起きるのが遅くても結局ぼんやり過ごしてしまうのだから意味がない。実は二度ほどチャレンジしたことがある。遅く起きてみたのだ。見事に二度とも遅刻という結果。もはやどうしようもない。
ぼんやり過ごすモーニングタイム。一見無駄なようで、でももしかすると、私の頭の奥の方では、ものすごい量の情報が整理されているのかもしれないと妄想すると、とても大切な時間のように思える。
言い尽くされたことだけど、忙しいは、心を亡くすと書く。ぼんやりする時間が毎朝あるというのは、忙しいのとは逆で、心が豊かになるのかもしれない。
お気に入りのマグカップとお気に入りの無垢の木のテーブル。肌に触れるものが、今日も心地いい。
気がつくとそろそろ10時になりそうだ。
さて、仕事をはじめよう。