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ICOとそれに伴う会計処理について考えたの補足

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  • ton
  • 2018/05/05 20:36
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わたしは「かんがえる、かがんでいる人」というブログを書いています。

そちらで私は、「ICOは、スタートアップの法人化されていない組織体が資金調達する手段として非常に有望だ」と書きました。

なぜなら「インフラが整ったことでテレワークが実現でき、また、分業化が進んだことで高度に専門性を確立した多様な分野の専門家が多数出てきた。これからもこの傾向は続き増え続けるであろう。であれば、継続企業を前提としたものでなく、生産を前提としたプロジェクトが行われる可能性は多くあり、それは法人設立を必要としないはず」だと考えたからです。

今でもその思いは変わっていませんが、ICOでこれだけ失敗が多いとその未来は遠いと思います。


ICOとそれに伴う会計処理について考えた」という記事では自社発行の独自トークンにまつわる具体的な会計処理を考えました。

もちろん、現状では仮想通貨を取引の対象としてどうするのかが決まった程度だと認識しています。(売買目的有価証券と同様です。期末に損益を算出されます)ICOはそれ自体が規制の対象でおそらく日本ではこの地合いで実行するところは無いでしょう。

ですので、上記仕訳は今の制度上だとこうなるのかな、という話になります。

ALISでも残しておきたく、解説を加えながら書いていきたいと思います。


上記「ICOとそれに伴う会計処理について考えた」の解説という性質上、元記事を読んでいただきたく。(ALISと元のブログで同じ記事を転載してもいいという公式見解もありましたし、そのようにしている方も見ましたが、せっかくですので補足・追加という記事にしようと思います。)


ブロックチェーンは高価な情報を記録するのに適しています。また、ステークホルダーが複数存在するような、透明性を求められる性質の情報を記録するのに適します。

そこで、対象を不動産企業に絞り、その会社が新サービスを行うのに独自トークンを発行したという設定で話を進めています。

「土地、建物の収益性を評価するサービス」を新規に設立したとお考え下さい。


独自トークンの性質としては

・スマコンを利用し、独自トークン内に、不動産基本情報、利用法別の評価価格、評価をした評価者情報とこれまでの評価履歴および評判を記録する。

・利用者は独自トークンを用いて公正な記録内容を閲覧可能になるだけでなく、評価者の評価を行うことができる。

・独自トークンを用いてサービスを利用できるPoS通貨である。

こんなところでしょうか。


具体的な仕訳の説明に入ります。

まず独自トークンの作成です。

・トークン作成研究開発費 ○○円 /現金 ○○円

借方に費用、貸方は支払い手段。現金でよいでしょう。特に問題はなさそうです。


独自トークン発行時

・独自トークン  ○○円 /トークン作成研究開発費 □□円
             トークン作成広告宣伝費 △△円
             トークン作成人件費   ●●円

ここがかなり迷ったところです。費用のマイナスですので。

費用は棚卸資産の原価になり得ます。例えば自家建設の固定資産などが好例です。

今回の場合ですと、材料が無償提供され、それを加工した場合の棚卸資産に倣いました。

一方で、トークン作成にかかるキャッシュアウトを費用ではなく、繰延資産にすることも考えられます。株式交付費と同じと考えるのですね。ですがその場合、繰延資産の性質として「その効果が将来にわたって発現するものと期待」されている点に注意が必要です。あくまで独自トークンの作成ですので、他の要件は満たしていても発行に至らない可能性があります。その場合、将来にわたって効果が発現するとはいいがたい。であれば保守主義の原則にのっとり費用化するのが適当であろうと考えました。


顧客へのトークン配布時(ICO時)

・有価証券  ○○円 /独自トークン      □□円
           独自トークン払込剰余金 △△円
・現金 ○○円 /有価証券    □□円
        有価証券売却益 △△円

ETHで集めてそれを現金(法定通貨)に換えたところです。

上の仕訳で「独自トークン払込剰余金」となっているのは純資産に乗せるためです。ICOの本質は資金調達にあり、IFRSの優先株における仕訳のように負債の部に乗せるのではなく、通常の株式発行による資金調達と同様、純資産の部に乗せるのが適当だという判断からのこの仕訳です。

上記では売却益が出ていますが、ETHの価格が低下すれば売却損になります。


顧客のサービス利用時

・独自トークン ○○円 /売上 ○○円

ここで「ICOとそれに伴う会計処理について考えた」では価格と価額の面を説明しています。

結論としてはICO時に顧客が支払ったETHの価格をもとに枚数で割って算出しなければなりません。

実務上は顧客ごとに価格を記録しておくというのも現実的ではない気がします。独自トークンが受け渡しされれば、どの独自トークンがいくらの価格かがわからないからです。

ということは、総平均された価格を独自トークン発行会社が記録しておけばそれでOKとなります。

独自トークンに時価が存在するときの対応ですが、金額が変わるだけで仕訳は変わらないとしています。現在の私もその考えです。


評価者が不動産を評価してくれた時

今回のサービスでは、評価者が不動産の時価を評価してその情報をブロックチェーンに乗せるというサービスでした。(マイニングと捉えてよいと思います。)

まさに、評価者が利用法に応じた評価額を算定し、ブロックチェーンに情報を乗せたとします。その時の仕訳です。

結果として

・独自トークン  27500円 /受取手数料 27500円

という仕訳を出しています。

これは二段階の仕訳を合算した結果なのは原文の通りです。

補足するとすればなんでしょう。

・独自トークン  ○○円 /トークンデータ入力未払金 □□円

こちらの仕訳が「不動産評価者が不動産評価データを乗せる事で独自トークンの価値が増した(=枚数は変わらず裏付けの原価が上がった)事を意味します。」

ということがポイントであり、独自トークンの授受が発生したわけではない事くらいでしょうか。

多分そこが勘違いされやすいところで、他は問題ありませんね。


PoSによる独自トークン取得時

原価0円の仕入れとして考えました。それを踏襲し、仕訳無し、保有枚数のみを増やす

としました。

期末には独自トークンであっても時価で評価されますので、枚数が増えればその時点で評価損益が発生します。

時価評価は強制的な利確そのものですので、PoSによって枚数が増えればその分のインパクトが期末に伸びただけです。評価益をいつ計上するのかというタイミングの問題ですね。


トークンをBURNする際

まずは既存の独自トークンを取得しましょう

・独自トークン  ○○円 /現金 ○○円

そしてBURN自体の仕訳は

・独自トークン払込剰余金 ○○円 /独自トークン ○○円

払込剰余金を消すことで対応、としました。

資本金を毀損するわけにもいかず、独自トークンにかかる部分でけりをつけるのが一番良いだろうという判断からです。

もしかすると、この独自トークン払込剰余金に対する措置が後々出てくるかもしれません。

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公開日:2018/05/05
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