こんにちは、yoshihiroです。先日、ALISでも記事を書いてらっしゃる三輪江一さんが脚本・演出を手掛けた公演「ベター半分」を見てきました。
舞台は少し先の未来。AI技術が発達し、脳にAIを搭載して仕事を効率的にこなせるようになった人たちと、AI化を拒む主人公の葛藤を描いた演劇でした。近未来が舞台ということで、AI以外にも自動運転や拡張現実など、これから発展していくであろう技術が登場していてとても興味深かったです。
そんな技術が発展した近未来でも、人々は今と変わらずご飯を食べ、水を飲んでいました。人が生きるために食べ物と水は必須ですし、当然のことですね。でも、それらの生産方法は実は大きく変化しているかもしれません。
例えば食べ物は、野菜だったら植物工場がすでに広がりを見せていますし、お肉も人工肉の研究が進んでいます。そして水も、再生水が使われているかもしれません。今日はその「再生水」についてのお話です。
水不足は、気候変動、テロリズムと並ぶ世界3大問題ともいわれるほど深刻な問題となっています。安全な飲み水が足りないというだけでなく、農業や工業に使用するための水も不足しています。
日本も例外ではなく、気候変動により雨の降らない日が続くと、深刻な水不足になるだろうと言われています。実際、2016年の夏には梅雨時期の異常な降雨不足により東京でも取水制限が行われました。
水不足に対応するために、海水を真水に変える海水淡水化という技術が特に中東などで使われています。海水を特殊な膜に通すことで塩分を除去して、飲める水を確保するという方法です。
しかし、この方法は膨大な量のエネルギーが必要なので、中東のように化石資源のある国でないと現実的ではないです。また、塩分が濃縮された海水が副産物として発生するのですが、これを廃棄することで海洋汚染も発生しています。
そこで近年注目を浴びているのが、再生水です。
再生水とは、下水を処理してきれいにし、再利用できるようにした水のことです。
みなさんがトイレやお風呂で使った水は通常、下水に流れ処理がなされ、河川や海へ放流されます。その放流される水をさらにきれいにして再利用した水を再生水と呼びます。
日本でも再生水を作っている下水処理場は増えてきていて、そういう施設は水再生センターと呼ばれることもあります。例えば東京都港区にある芝浦水再生センターでは、下水の一部を高度に処理して再生水をつくり、近隣のビルに再分配してトイレの洗浄用水などに使っています。
そして、水不足を解消するために、この再生水を飲める水として水道と同じように使おうと考えられ始めているのです。これが「水」に関する時代のアップデートです。
実は一部の国では、すでに再生水が飲料水として用いられています。シンガポールは領土内に水資源がほとんどなく、海水淡水化、マレーシアからの水供給に加えて、再生水を重要な資源と位置づけています。シンガポールの再生水事業はNEWaterと呼ばれ、今後他国でも同様のプロジェクトが始まることでしょう。
再生水を飲んでも安全なのか?という疑問がありますが、再生水に対しては普通の水道水よりも厳しい基準を課されることが多く、実は水道水を飲むより安全と言えるかもしれません。
でも、普通の感覚で考えると、下水から作られた水なんて、飲もうという気にはなりませんよね。いくら安全と言われたとしても、なんとなく飲みたくない気がすると思います。
でも、実はとても安全な水にまで処理できる技術がすでにあるということを、この記事を読んでアップデートしてくれれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。