初めまして。yoshihiroと言います。こうしてALISで記事を書けることをとても嬉しく思います。
さて、ALISにたどり着いた皆さんなら、ブロックチェーンという言葉を何度も目にしてきたと思いますが、じゃあ具体的にブロックチェーンって何がすごいの?と聞かれると答えに詰まる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、ブロックチェーンのすごいところ3点について、簡単に整理したいと思います。
(既に色々な方がまとめてらっしゃると思いますが、ALISの記事にすることが大事かと思い、僕なりにまとめさせていただきました)
ブロックチェーンのすごいところ3点とは、
改竄不可能性(Immutability)
ビザンチン耐性(Byzantine Fault Tolerance: BFT)
単一障害点(Single Point of Failure: SPOF)の排除
です。ピンと来なかった方は読み進めていただければ幸いです。
ではひとつづつ見ていきましょう。
ブロックチェーン上に記載された情報は、二度と書き換えることができません。より厳密に言うと、時間とともに書き換えられる可能性が限りなく0に近づきます。
ブロックチェーンとは、その名の通り複数のブロックがチェーン状に繋がったデータの集まりです。一つ一つのブロックにはデータが記載されており、ブロック間には時間軸に沿う形で依存関係があります。そのため、ある一つのブロックに記載されたデータを書き換えようとすると、後続のすべてのブロック上のデータも書き換える必要があります。ブロックは時間とともにどんどん増えていくので過去のデータほど書き換えるのが難しくなり、限りなく不可能に近づいていきます。
察しのいい人は、じゃあ出来立てのブロック上ではデータ書き換えられるじゃん!と思うかもしれません。その通りです。出来立てのブロックは弱いのです。そのため、例えばbitFlyerではビットコインを受け取っても約1時間たたないと送金が反映されないようになっているそうです。これは、ブロック上のデータがもう書き換えられない、と統計学的に証明できるまで後続のブロックが作成されるのを待っているからです。
とはいえ、ある程度時間の経ったブロック上のデータを改竄するのは事実上不可能であり、これはブロックチェーンの最も優れた特徴の一つです。
ブロックチェーンでは中央集権的な管理者がおらず、複数のノード(コンピュータのことだと思ってください)が同時にデータ通信を行うことで管理しています。いわゆる非中央集権的な体制をとっています。
複数のノードで管理する際に問題となるのは、悪意を持ったノードの存在です。悪意を持ったノードは、偽のデータを通信するなどするため、システム全体にエラーが出る可能性があります。こういった嘘つきノードがいることによる障害をビザンチン障害と呼び、それに対する耐性がビザンチン耐性です。
ブロックチェーンは、コンセンサスアルゴリズムというものを使うことで、非常に強力なビザンチン耐性を持っています。コンセンサスアルゴリズムとは、複数のノード間での合意形成を行う方法のことで、一番有名なのはビットコインで採用されているProof of Work(PoW)でしょう。これは、非常に難しい計算問題を複数のノードが一斉に解き、一番初めに計算結果を得られたノードがブロック作成の承認権を持つというものです(厳密にはもう少し複雑ですが)。この場合、参加するノードの3分の1が悪意を持った行動を取ったとしても、それを排除することができる仕組みになっているそうです。
ちなみにビザンチンとは、オスマン帝国の将軍たちがビザンチン帝国を包囲し攻め込むときに、将軍の中に反逆者がいたために合意形成で混乱が生じたという問題からきています(ビザンチン将軍問題)。とても面白い問題なので、時間があれば後でまとめたいなと思っています。
単一障害点とは、ある一点が動かないとシステム全体が動かなくなるような点のことです。例えば、家の配電でブレーカーが落ちると家全体の電化製品が使えなくなりますが、この場合ブレーカーが単一障害点となります。一方で、一般的な飛行機にはエンジンが左右に一つずつ計2基ついていますが、その内の一つが壊れたとしても安全に航行できるように設計されています。エンジンを単一障害点でなくすることで、飛行機の安全性を格段に高めているわけです(ちなみに飛行機はエンジンが2基とも故障しても安全に不時着ができるように設計されているそうです)。
ブロックチェーンでは、中央集権的なノードがいないので、どのノードが壊れたとしても、システム全体には支障がありません。ノードごとの役割に差はないので、どのノードも単一障害点とはなり得ません。そのため、自然災害等に対するシステムの耐性がとても強いのです。極端な話ですが、東京で首都直下型の大地震が起きて東京の機能がマヒしたとしても、ビットコインのブロックチェーンに関しては何の問題もなく動き続けるでしょう。
ブロックチェーンって何がすごいのか、お分かりいただけましたでしょうか?ブロックチェーンは、インターネット上に初めて現れた、書き換え不可能なデータベースとも言えます。書き換え不可能であれば、そこに信頼性が生まれ、ブロックチェーン上に数字等を書き記録することでお金のやり取りをすることができるようになります。誰がいくら持っているのか、誰が誰にいくら送金したのか、そういったことを改竄不可能な形で残しておくことができます。それがビットコインです。
これをお金のやり取りだけにしか使わないのはもったいないです。これからどんどん色々な分野に応用されていくと思います。楽しみでしかたないですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。これからも時間を見つけて記事を書いて、ALISを応援していけたらと思います。
yoshihiro