あなたは16歳の時に作った歌を
私へのラブ・ソングだという
まだ私が生まれる前に
そのときの彼女のために作ったくせに
違うんだ
時の流れはとても複雑で
逆行したり
ループしたり
交錯したり
弾き合ったりする
僕は毎年
誕生日のたびに若返り
君と同い年になったときに
睦みあい
さらに若返って高校生になったとき
君のために
この歌を作ることになっている
それならと
聞かせてもらったアルペジオ
沁みてくる
とにかくこれは
紛れもなく
私に捧げられた歌だとわかる
壁の古時計が
振り子を振っている
秒針が逆に回っている
私はこの世が信じられなくなる
私たちには子どもはできるの?
一番気になる質問をすると
幼い笑い声が物陰から聞こえた
あわてて駆け寄ると
サンリオの子ども服だけが
脱ぎ捨てられて
床に拡がっている