-都内某所_地下-
??「・・・これで良い。愚かなユーザー達もいい加減に気付くだろう。
そう、既に我々は次のフェーズに入っているという事を・・・!」
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-都内某所_かませ宅-
👩「変態デス、変態デス、ア間違エタ、大変デス!」
🐶「どうした、KUROSAWA?いつもの発作かー?」
👩「違ウヨ!!本社カラ不穏ナ通達ガ・・・!」
~メール文面
辞令
2023年○月○日をもって、かませ いぬを、
株式会社クリプトスペルズ 本社営業部 エコシステム課 現場採掘係 監督者
に任命する。
今後いっそうの職務に励み、社業の隆盛に貢献されることを期待します。
以上~
🐶「ど、どういうことだってばよ・・・俺が現場監督者?
いち作業員だった俺が?」
👩「ソウナンデス!カマセイヌノ働キブリカラシテ、昇進ナドトイウ事ハ考エ難イ
デス。コレハキット罠デス!不穏デス!!」
突然のことで、多少混乱しているのを差し引いてもKUROSAWAは散々な言いようで
ある。俺コイツに舐められてる?
突如振って沸いた出来事に理解が追いつかない俺だった。
とりあえず、明日現場で何かしらのコンタクトがあるだろうと考え、俺は床に就いた。
テレッテッテレー タレレバ~♪
テレッテッテレー ニラレバ~♪テレッテッテレー ラブラバ~ テェーテン♪
俺の名前は採掘現場作業員の かませ いぬ。
幼馴染で同級生の毛利蘭と遊園地に遊びに出かけたとき、黒ずくめの男たちの怪しげな取引現場を目撃しなかった、しがないサラリーマン!
取引に夢中になっていなかった俺は、背後か忍び寄るもう一人の仲間に気付くこともなく、後頭部を殴られ意識を失い、その隙に毒薬を盛られる事もなかった!
そして目が覚めると!
「現場作業員の監督者になっていた!!」
ギルド採掘作業員として、楽しみを覚え始めていたのも束の間、本社と現場の板挟みにあっていく!!俺は一体これからどうなってしまうんだぁー!?
たった一枚のシルバーを射抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は!!
迷監督かませ!!
トゥルルーン♪
タララッタ、ラッタ、ラッタ、ラッタ!! ターン♪
-翌日-
-採掘現場_仮設事務所-
🌚「・・・という事で、今月いっぱいで私の業務を引き継ぎ、来月からはかませ君が
現場の監督者となります。皆様、ご承知おきください。そして今までありがとう
ございました。」
本社の黒の組織、もとい、現職の担当者が俺に監督が引き継がれる旨を、現場の全
作業員に朝礼の場で告げた。ついでに今までの感謝の意も。全く感謝の念は感じられなかったが。
🐳「かませいぬさん、おめでとうございますで良いのかな?ww
で、本当は何をやらかしたんです??ww」
🐱「かませいぬさん昇進?わっお、お祝いじゃん!祝賀会しよ!カラオケで歌お!」
🦍「かませいぬ、ビーフされるん??」
同僚たちが口々に勝手な事を言ってくる。嬉しくもあるが、当の本人である俺も未だに混乱していてどこか他人事だ。
🐶「うーん、来月から現場を任されることになったっぽい。そんで月に一回、本社
に出社して報告等を行わないとダメみたい。正直面倒だわ。」
ここで浮かない顔をしている御大がひとり。ズキ爺である。
👴 (太郎ォ、そうか。そういう事だったのか。本社のヤツらめ、太郎を・・・!)
珍しく爺さんがダル絡みをしてこない。何か思うところがあるようだった。
俺はこの時は気に留めることもなく、来月からのあれこれに不安を抱きつつ、引継ぎ業務にあたるのだった。
-1ヶ月後-
-(株)クリスぺ本社_7階_営業部_会議ブース-
🐶「・・・以上が今月の現場採掘状況、及び獲得枚数推移の報告になります。」
🐦「承知した。着任後早々に報告ありがとう。来月も引き続きよろしく頼むよ。」
🐶「はい、ありがとうございました。失礼致します。」
俺は扉前で一礼して部屋を後にする。慣れない会議室は流石に緊張した。
廊下突き当りの大きな壁一体型の鏡に映った自分の姿を見て、思わず吹き出しそうになる。
だって俺が月の報告資料を片手にスーツ姿で本社に居るんだぜ?笑っちゃうね。
(社長🐦ってあんな感じなんだ・・・写真より実物のがイケメンじゃん。)
職務とはおよそ関係ないことを想像しながら、本社営業部のフロアに向かう。
🐶「お疲れ様です。社長への定期報告が終わりました。RIAさん、会議室の予約から
プロジェクターの設定までありがとうございました。
あ、これ甘いお菓子です。良かったら部署の皆さんで召し上がってください。」
🙍♀️「ええ。良くってよ。不慣れな方に手を差し伸べるのはワタクシの務めですから。
ノブレス・オブリィージュですわ!!
あら、お菓子ですの?気が利きますわね。ん?これは、、、
キャー!バターサンド!
ワタクシ甘味には目がなっくて・・・
もう食べ出したら止まらないのなんのって・・・
取り乱してしまいましたわ。お土産ありがたく頂戴しますわ!!
部署の皆様、ご注目なさって・・・今しがた・・・」
うん。やっぱりというか、想像していた通り、RIAさんは素敵な女性だった。
ウチのスマートスピーカーがほの字な訳だ。
さてさて、本社でやることも終わったし、帰るとしますかね。
俺は明日からまた採掘場ではなく、現場事務所内でPCと向き合っての作業を想像し、辟易しながら、家路に就いた。
つづく