背割堤の桜を満喫しました。
そのあと、八幡市近辺で、何を食べようかと、検索すると、
ペルシャ料理店が見つかりました。
珍しさだけに吸い寄せられ、グーグルマップ頼りに行ってみました。
すごくしゃれた店を夢想していたのですが、
たどり着いてみると、、、、
意外と地味でした。
テーブルクロスは少し、ネチャネチャしているし、
ランチどきなのに、客はおろか、お店の人も姿がありません。
こんにちは!
と声をかけると、奥の厨房から
「はい、いらっしゃいませ」
と、訛りのある日本語で声がしたものの、
それきり誰も出てきません。
やっとイラン人らしきおにいさんが現れました。
「メニューはどこですか?」
こちらから聞いて初めて、おもむろに一枚のメニューを黙って手渡してくれました。
「これだけですか?」
ケバブだけだなんて、少し少ないと思ったので、尋ねると、
「これもあります」
と2枚目が出てきました。
もしかして、商売気なし?
「外に書いてあったランチセットはどこに載ってますか」
「ランチセットはやめました」
やっぱり、やる気なし?
不満げにしていると
「これもセットですよ」
「なるほど。ライスかナンが付いているんですね」
と私の彼が言いました。
しかたなく、
私は、ゼレシュクポロとナンを頼みました。
「これはないです」
えええ!
マジに、やる気なしなのでしょうか?
「じゃあ、ゲイメとナンを」
「はい」
やっと、注文が通った!
「僕は、ゴルメザブズイとナンを」
彼が言いました。
するとイラン人の店員は
「ゴルメザブズイは、ライスがおいしいです!」
おおお!
初めて、やる気を見せた〜。
ゴルメザブズイには、ナンではなく、ライスにするべきという料理人のこだわり。
「じゃあ、ゴルメザブズイとライスを」
彼が訂正しました。
さて、どんな珍しいこだわりの品が出てくるのでしょうか。
しかし、見ていると、シェフに早変わりした店員は、電子レンジばかり使ってます。
まさかのレトルト?
あらかじめ、仕込んであった料理を温め直しているのなら、まだマシなのですが。
そして、やっと料理が出てきました。
ゲイメ、ライス。
ゴルメザブズイ。
ゲイメ、ナン。
ゲイメは、それほど珍しい味ではなく、おまけにベースもポテトフライも何だか、レトルト感があり、今いちかなと思いました。
ゴルメザブズイは、珍しいハーブがたくさん入っていて、牛肉も柔らかく煮込まれていて、ペルシャ料理とはこういうものだと言われれば、そうなのかなと思える代物だったと思います。
ナンは、注文があってから焼いたものではなく、出来合いのものを温めただけです。
ちゃんとした窯でいちいち焼いていたネパール料理店でバイトしていたので、
その違いはよくわかります。
ライスは、一粒一粒がタイ米以上に長細く、柔らかくておいしかったです。
ただし黄色いのは、サフランではなく、食材コーナーにもあった黄色い合成着色料でしょう。
ちゃんとした料理と出来合いのものがチャンポンで、どう評価していいのやら。
さて、この店のもうひとつの特色は、ペルシャ料理の食材コーナーがあることです。
途中でイラン人らしき若者がふたり入ってくるなり、いきなり大きな冷蔵庫を開けました。
お店の人かと見まごうほどの傍若無人ぶりです。
しかし、確かにお客さんであり、冷蔵庫から適当な食材を取り出すと、店員と何か話し、いくつか買っていきました。
「このあたりは、イランの方が多いんですか?」
私の彼が、店員に尋ねますと、
「ええ。多いですよ」
「どうしてですか?」
「自動車の工場で働いています」
なるほど、ここはそんなイラン人たちのコミュニティの拠点としての役割も果たしているようです。
そのうち、打ち解けてきた店員は、「チャイです」と言って、お茶を二杯持ってきてくれました。
インドのチャイとも、イギリスの紅茶とも、中国のお茶とも違う、変わった味でした。
そして「料理はどうでしたか?」と聞きました。
最初のやる気なさそうな態度から、かなり変わってきたではありませんか。
食事していくだけではなく、自分たちの文化や暮らしに関心を抱いているのが、嬉しかったのでしょうか?
「ゴルメザブズイが美味しかったです」
私達が言うと、店員は満足そうな顔をして
「また来てください」と言いました。
もう来ないと思いますが、今日は勉強になりました。