私は出来た時から見守っていたラーメン屋があります
今時京都のラーメンはとにかくコッテリコッテリコッテリコッテリ!!!コッテリこそ正義!!!コッテリこそ全て!!!コッテリよ永遠に!!!みたいな店が多い中、私も「はーん?コッテリに在らずんばラーメンに在らずぅ?」みたいな顔をして天一をズルズル啜っていた訳ですが、その店は全く違いました。
先日ちと食べる機会があった尾道ラーメンがまさしく中華そばだったと思うのですが、その店はまさに中華そば系列と言いましょうか。コッテリとは一線を介したアッサリとした中に力強い出汁の味で初めて食べた時、脳天をアミノ酸でひっくり返されたかと思う程の旨味でした。
嗚呼、私はお出汁大好き京都人なのだ……
そう、そのラーメンに認識させられたと言っても過言ではありませんでした
特に私はそこの冷やし中華が大好きでした。冷やし中華と言うか冷やしラーメンと言うか。とにかく去年も並んで食べて汁一滴残さず飲み干して、知り合いに「マジで食ってくれ」って言ってました。冷やしの為、更に濃厚になった出汁の味が脳を直撃し、それでいて天然素材のためか味の素の様なケミカルさはなく、スープに油膜一つ無いのに物凄いパワーを私に見せ付けてくれたのでした。
↑在りし日のお姿
今年、私はまたあの出汁の暴力を受けようと店に赴きました。メニューを見て違和感を覚えました。
前は出汁の色のみ2種だったのが、限定メニューの文字が。何故?何故こんな限定メニュー作った??しかも2種?
とりあえず限定メニューに弱い私は限定メニューを頼みました。
何でお前こんなに繊細な出汁にカボスをそっとかけるだけの冷やし中華にラー油こんなに入れた!?(これ店が勝手に入れてる)
台無しだ!!!台無しだ!!!と私の心が泣きましたが、心のもう1人の私が言いました。
「いや、落ち着くのです。次回はいつもの冷やし中華を頼むのです。さすれば救われん」
確かに変わったメニューで文句を言うのはおかしかった。私も反省して次に備えました。
令和元年七月。私は少し早めに店に向かいました。勿論注文は冷やし中華です。いつもの奴!いつものあの夏の思い出に私を誘ってくれよ大将……
……え?
あれ?滅茶苦茶……脂浮くタイプに君進化した……?へ、へー?何かチャーシュー変えたの?ふーん??そっかぁ、でもさ、アレだよね、食べないとね?うんうん。ね??ね????
冷やし中華でこんな脂浮くスープとか上顎に冷えた脂こびり付きまくってイライラするに決まってるやろがーい!!!!!
心の拠り所のスープをすくうと、レンゲが冷えた脂で白くコーティングされていました。オロオロと私は、見知らぬ土地で不意に親とはぐれたことに気付いた子供の様な、心の芯がジワジワ冷えていく感覚を抱きながら麺を啜りました。麺にも冷えた脂が絡みつき、口の中がどんなにカボスを入れても入れても……嗚呼どうしてこうなった?
黒い箸に前は無かった白い脂が絡みつき、見たくなかったコントラストを示していました
正直これは好みの問題です。天一死ねって人も居るし、天一大好きマンも居ます。
ただ、私はあの夏、クソ暑い中並んで食べた超絶アッサリ出汁ギンギンの冷やし中華はもう食べられないと思い知ったのです。
私の知っている冷やし中華は、とてもアッサリで、よく出汁がきいて、あれで流行りさえのらなければ、いいえ、乗っても、……夏の思い出の……いい子でした