【帰り道の遊園地】
6歳の時。
三品孝行君という、仲の良い友達がいた。
幼稚園のれんげ組から一緒で、小学校の1年1組でも一緒になれた。
学校帰り、よく一緒に帰っていた。
帰り道、団地の脇に生える背の高い草木の中を迷路の様に潜って行った。
そこは、大人の背の高さ位の草木が生え、手入れをしていない空き地。
後に、公園が出来る場所だった。
その場所を、迷路の様に潜って追いかけっこをしながら帰宅していた。
草木の中を走り回ると目が回り、相手を捕まえるのが難しくなる。
何故か、その事が物凄く楽しく感じた。
そして毎日、疲れるまでこの場所で遊び帰宅していた。
たまに帰りが遅くなると、母親がここに迎えに来た。
母親は、俺が帰る道のりを教えていたので、この場所がすぐ分かった。
そして、三品君と後で遊ぶ約束をして家に帰る。
俺は、宿題を済まして三品君の家に遊びに行った。
この頃は、メンコという遊びを父親から教えてもらい、よく遊んでいた。
俺は、三品君にもメンコの遊び方を教えてあげて、一緒に遊んだ。
最初は、当然俺の方が強かった。
でも、あっという間に三品君に上手さを抜かれてしまった。
お陰で、俺が教わる立場に逆転してしまった。
メンコのルールで、「サバ」というのがある。
これは、相手のメンコの下に自分のメンコを差し込む技。
これをやると、1発で相手のメンコが取れる。
三品君は、この「サバ」が上手かった。
そのせいで、俺は毎回惨敗していた。
【秘儀!必殺技封じ】
でも、俺が得意な技もあった。
それは「トン」という技だった。
「トン」とは、メンコの下を潜らせ、そのままメンコを突き抜けさせる技。
これは、続けて3回成功しないと勝ちにはならない。
非常に効率が悪い技だった。
野球で言うと「フォアボール」見たいなもの。
この、せこい技が俺の得意技だった。
でも、三品君はそれを知っているから、いつも大きなメンコで挑んでくる。
メンコが大きいと、面積が大きい分突き抜けさせずらい。
そのせいで俺は、得意技を封じられてボロ負けしていた。
彼は、なかなかの戦略家である。
「サバ」すれば良いじゃないかと感じてはいた。
でも「サバ」は、力加減が難しく苦手で出来なかった。
ある日、三品君と遊んだ日の事。
三品君は、緑色の自転車を持っていた。
俺も、仮面ライダーアマゾンの自転車があったので自転車で遊びに行った。
そうしたら、この自転車は、もう乗ると壊れるから乗れないという。
父親にそう言われたらしい。
でも見た目には、全く壊れるような状態には見えない。
俺は、なぜ壊れるのか全く分からず信じられなかった。
そこで、自転車で遊びに行く事を嫌がる三品君を強引に説得した。
そして俺達は、自転車で遊びに行く事にした。
しばらく一緒に自転車に乗って遊んでも、壊れないから安心した。
でも、三品君の自転車が突然、真ん中から真っ二つに折れてしまった。
俺は、「あ( ゚Д゚)!」と思ったが時すでに遅し。
この後、三品君にめちゃくちゃ文句を言われてしまった。
俺は、謝ったが許してくれなかったので、メンコを10枚あげた。
そうしたら、ようやく許してくれた。
でも三品君は、翌日俺のより高級な自転車を買って貰っていた。
それは、「仮面ライダーストロンガー」の自転車。
三品君は、嬉しさでニヤニヤしっぱなしだった。
俺は、そんな三品君を見て「メンコ返せよ」と思った。