こんにちは、Semapho(セマフォ)です。私は現在、フリーランス広報として働いています。ありがたいことに、広報を初めてそろそろ3年が経過しようとしています。その間、仕事は絶えずありますし、クライアントとの関係も良好です。
私はゲーム業界にいるのですが、私のようなやり方で仕事をしている人を周囲(オンライン含む)にあまりいないため、自分で自分にインタビューしながら、どのようにしてフリーランス広報になったのかなどを述べていきます。
本稿はフリーランス広報の一つのやり方として残した記録です。本稿が一人でも多くの人の役に立つことを願います。
――セマフォさんはフリーランス広報ということですが、なぜこの道を選んだのですか。
元々ライターをやっていたんです。けど、収入面では報われなかったんですよね。そこで、自分が持っていたスキルを活かせる仕事はないかと探していました。そんな時、お世話になっているIGN Japanの今井さんから「セマフォさんってPRエージェントになりたいのでは」と言われたことがありました。その時はPRエージェントが何かも知らなかったんですけど、とりあえず「かもしれませんね」とクールに回答しました。そこからすぐに調べて、じゃあやってみるかと思い立ちました。
――なにそれ!知らなかったのにPRになったんですか。
そのころは自分になにができるかも分からないまま、途方にくれていました。なので、そうしたアドバイスがすんなり入ってきたというか。また、今井さんの人柄的に嫌味を言うタイプではないので、適職を言い当てようとしている感じが伝わってきました。そのアドバイスをもらったのが、2018年12月30日の午後7時ごろ。なので午後10時には営業を始めていましたね。
――クライアントはずっと海外の企業ですか。
そうです。国内の企業の働き方や他者に投げかける言葉の質の低さにうんざりしていたので、どうせなら海外の企業とやるか、みたいな。また、ライター時代に世界中のゲーム開発スタジオに取材していたので、営業先のリストは自動的に仕上がっていました。なので、英語でメールを書いて一人ずつ送っていきました。
――英語はお得意なんですね。
いいえ、ほとんど話せません。
――え!?英語話せないのに海外の企業と仕事しているんですか。
もちろん、英語学習を諦めているわけではありません。実際に相手のメールを読んだだけで9割くらい内容が分かる程度に英語のリーディングはかなり上達してきました。しかし、今はネット上にある優秀な翻訳機が無料で使えますからね。確かに英語を話せるとリアルタイムでやりとりできる強みはあるので、これから私のような仕事をしたい人は絶対習得した方がいいです。しかし、一方で時差もあるので、メールやチャットで仕事の伝達をすることがほとんどです。そう考えると、相手の意図を汲む力の方が重要です。あと、分かりづらい業務内容はもっと簡単な言葉で説明してくれと伝えます。私がよく送るのは「君の意見は最高なので、手順ごとに説明してくれ」です。
――意外です。英語が話せないのに海外のクライアントと契約するなんて。
実はこれにはもう一つ重要なことがあって。クライアントは海外ですが、お客様は日本人なんです。
――あー、と言うことは日本国内のユーザーに向けた広報代理サービスを海外の企業向けに展開したんですか。
そうです。英語は話せないけど、日本語なら話せる。私はそのことに価値があると気づいたんです。ほら、よく海外で働く時、英語が話せるだけじゃだめって言うじゃないですか。プラスで何らかのスキルが必要だよ、とか。よく考えれば我々は日本語ネイティブなんですよ。当たり前ですけど。
――あー、確かに。でも上手くいくものなんですね。
実はそこにも考えがあります。世界的に浸透しつつも、日本の市場がやたら強い産業とか興業ってあるんですよ。例えば漫画、アニメ、ゲーム、あとは家電製品とか。そうした日本製品は海外では非常に強い信頼を得ています。なので、海外のスタートアップなんかは日本製品に影響を受けて、製品をローンチさせるケースもたくさんあるということに行きつきました。彼らからすると、自分たちが強い影響を受けた日本にサービスを展開することに意味があるんです。市場も育っていますし、需要もありますので。しかし、同時にそこにはハードルがある。
――日本語、ですか。
そういうことです。日本語はローカライズ費用もかかるし、毎日SNSで発信なんか普通はできない。けど、絶対やった方がいいんですよ。じゃあ、どうするのかというと、私のような個人で広報をやっている人間の出番です。プレスリリースの執筆・配信、毎日のSNS更新、それに加えてコミュニティマネージメントも提供します。重要なのは相手にこのロジックを説明することなんです。これに失敗すると、営業はほんとに上手くいかないんです。経験上、そもそもこうした広報をすればいいんだ、みたいな発想すらない場合がほとんどなので、なぜ私が必要なのかを説明するための英語力の不足は今後の改善点ですね。
――確かに、海外で働くってことを考えるとついつい日本語をスキルとして認識するってことを忘れてしまいそうです。
実は日本語教師という職業が成り立っていることにもヒントを得ました。例えば、オンライン英会話レッスンとかでもネイティブ英語話者とのレッスンの方が割高なんですよ。第二言語が英語という講師の方がちょっと安い。ということはネイティブスピーカーっていうのは、言葉を話すだけですでに価値があるんです。
――灯台下暗し的な考えですね。
例えば、英語に加えてプログラミングスキルがあればそれは確かに優秀ですし、素敵なことです。しかし、誰もがそこに行き着けるとは思えない。じゃあ、行き着けない人たちは見捨てるのか、というとそれは健全ではない。これからブロックチェーン技術の発達でもっと世界と容易に繋がることでき、仕事をする人も増えるでしょう。だからこそ、私は日本語でどれだけ本を読んだとか、物事について深く考えたのかとか、そういうことが重要だと思っています。
――今日はありがとうございました。また、よろしくお願いします。
はい、もっと面白い話を持って来れるよう精進します。