この巻はモズVS名無しによる攻城戦の模様に終始している。
オッド姫はいつもみたく城壁に立っているだけ、対するラジンも指示は出せどもなんだかパッとせず、ブブはあるところで横になったきりだし、ジファルも敬語でブブに話しかけて終わりという、メインの話なのにサイドストーリーのようなよそよそしさはなんなのか。
やはりブブやジファルに出張ってもらわないと話が締まらない。
城壁も結構壊されちゃってるし、そろそろ本格的な危機がビジャに迫ってくるはず。
いやこれは自分が悪い。
一方的にハードルを高く設定して、連作短編なのだからラストに凄まじい伏線回収あるいは驚天動地の大トリックが仕掛けてあるのだろうと、そんな気配皆無なのに勝手に思い込んだこちらに非がある。
どう考えても自分向けではないのは百も承知の上で、巷間における圧倒的高評価に微かな期待を抱いて読み進め、淡白な文体は好みだが一度も大波を感じることなく読了。
青春小説といえばまず大槻ケンヂ『新興宗教オモイデ教』が思い浮かぶ自分に、本作が合うわけがないのだ。
逆説的に青春小説の傑作なのだと思い知るばかり。