昼過ぎ、関西国際空港を出発し、台北の桃園空港に着く。MRTを台北駅で乗り換えてホテルに着いたらもう夕方だった。その夜はホテルから一番近い夜市である双城街夜市で夕食を間に合わせることにすることにして行ってみた。
夜市に行ったことのある人からは、「すごく混むよ。車椅子通れるかな?」と聞いていた。案ずるより産むが易し。行ってみると平日だったせいもあってか、それほどの混雑でもない。
だが、問題は注文だ。片言の中国語はできるものの、食べ物には詳しくない。ぶら下がっているお品書きのどの漢字がどの食べ物にあたるのか、よくわからない。第一、その食べ物を見ても、食材すら容易に判明しない。
並んでいる食材が比較的見やすかったこの店でとにかく注文してみることにした。
「這是什麼?」(これは何?)聞いてみるが答がなかなか聞き取れない。今回の台湾旅行の帰り際には一週間でかなり聞き分けられるようになったが、このときはまだずいぶん長い間使ったり聞いたりしてなかった音に耳が付いていかなかった。語学をサボるというのは、恐ろしいものである。
これをひとつと指さしてみた。たぶん「雞腿捲Jītuǐ juǎn」と言ったと思う。
赤い札のメニューの右から三つ目に当たると思う。それを「一個Yīgè」と言った。
量詞は違うかもしれない。「一本」が正しいのかな?とは考えてみたりした。でも僕を日本人だなと思っていちいち訂正しなかった気がする。
頼んでからできあがるまでにずいぶん待った。というのも、バケツのような容れ物に何本も選んで「持ち帰り」する客が注文してから一、二歩下がったところでたくさん待っていたのだ。並んでないから空いていると思ったのは勘違いだった。
ちなみに耳を澄ましていると持ち帰りはWài dài と言っているようだった。たぶん外帯と書くと予想が付いた。これが僕のポリシー?、「実地で学ぶ」である。
アメリカでは、TAKE OUTとは言わず、TO GO と言うのも実地で学んだのだ。(^0^)
しかし、待った甲斐あって頬が落ちそうなほどうまかった。これで三五元。僕が関空で換金したときのレートで考えて一〇〇円しない。豊かな食文化だと思った。
他の店も行ってみることにした。今度はこの店にしてみた。
ここはとりあえず二種類売っているみたいなので指さして、Yīgè yīgè と言ってみた。たぶん片言丸出しだったと思う。(;゜ロ゜) そんなことなら英語で話した方がましだったり、しばしば向こうが片言の日本語を話すときもあるのだけど、とにかく僕は英語帝国主義に反対だし、その国に来たらなるべくその国の言葉を話すのがポリシーである。(だったら、もっと出発前に復習しろという話になるが、机上ではなるべく勉強せず、実地で学ぶというポリシーもあるから、ややこしい。(^0^)
たぶん挟んである方が刈包Yì bāo、串に刺してあるほうが豬血糕 hū xiě gāoだろう。癖を感じる人もいるかもしれないが、僕の口にはとてもマッチした。
というわけで、台北に着いた夜の夜市初体験は、「安くておいしい。この国の食文化いいじゃないか!」で無事終了。
車椅子ひとり旅でも、夜市は楽しめますよ!