PIVOTの動画を見て購入。私にとってZero to One以来のアツい本だった。
Zero to Oneでは「私には何も思いつかない」という失望を感じた一方、こちらでは「まだ私にもやれることがありそうだ」という希望を感じた。
Zero to Oneと交代で座右の書とした。しばらくは関連書籍を読み漁りたい。
歴史的に大きな運動を生み出したテキストは、目の前に繰り広げられる光景に対する批判が主軸であり、乗り越えた先に実現すべきビジョンはあまり明確でない。例えば聖書、共産党宣言。
どのような社会がやってこないか。ビジョンが否定形になる。理想的でない社会とはどのような社会かというアプローチをとる。
クリティカル・ビジネスによって経済合理性限界曲線の外側にある「大きな社会的問題」と「小さな個人的問題」が「大きな個人的問題」として認識される。こうした変化の中心には「他者へ共感する力」の増加がある
公共性と未来の他者への関心が広がるかがクリティカルビジネスの発生と成長に関わる。
新しい消費のスタイル。資本主義のハック。痩せ我慢ではなく、環境や社会への配慮が、自分の欲求・快楽になっている。(ケイト・ソパー)
「少数派影響理論」:社会変化は少数派によって牽引される。
多動性・常識の相対化:イニシアチブのきっかけとなった体験や学習は全て偶然の出会い。特に旅。心を動かす精神的な多動性を含む。
衝動に根ざす:掲げるアジェンダは自らの実存と繋がっており、アジェンダが自己紹介になる。確信している。エマソン「内心に潜む確信を語れば、それは普遍に通じる」高難度アジェンダ
グローバル視点
手元にあるもので始める:とにかく始める。副業でいい。会社を辞めてコミットする必要はない。莫大な資金も優秀な人材も会社も必要ない。盛り上がった後で会社にしないとどうしようもなくなる。
敵をレバレッジする:権威ある人物や組織から批判を受けるよう挑発的な態度すら求められる。ポジションを明確化し、常に「何を批判しているのか」を明確化している。
同志を集める:価値観や優先順位を明確化し、合わないステークホルダーを排除する。摩擦を避けない。
システム思考:複雑なシステムに関する洞察がなければ問題は悪化する。より大きなシステムを捉える能力、生成的な対話を促す能力(内省と共有)、リアクティブからアクティブへとフォーカスを移す能力(問題の対処から前向きな未来のビジョンへ)。変化が自律的に継続する場を生み出す。
粘り強く、潔く:アジェンダもアプローチも多数派のコンセンサスを取りにくい。イノベーティブなアイデアは優れたアイデアに見えない。多数派になるまで粘り強さが必要。しかし、試して筋の悪かった方法論やアプローチはさっさと諦める。
細部を言行と一致させる:透明性と信頼性の確保、競合との差別化、ステークホルダーとの持続的な関係、誤解や疑念を避ける、影響力の拡大。非意図的なコミュニケーションにも配慮(本社位置、人事など全てが情報)
フォロワーシップの醸成。鍵はファーストフォロワー
情報の拡散と共有。発言=情報がエネルギーを生む。「少数派が、自信を持って、魅力的に、一貫して、ラディカルに主張する」
製品やサービスの利用。消費行動の成熟。選択の責任を訴える。
クリティカルビジネスへの関与、副業
資金提供と投資:クラファン、インパクト投資(株主になる)
教育と学習:公共性・未来の他者への関心を持つ。専門書、講座やワークショップ、カンファレンスやツアー、ケーススタディ。
ネットワーキングとコミュニティ:関連団体やネットワークへの参加。イベントの企画と参加。メンターシップの活用。
開かれた社会を築く:破壊と創造の調和
著者はこの本自体がクリティカル・ビジネスの取り組みだと述べていたが、痛快ですっかり扇動させられた。挙げればキリがないが、特に次の3点に胸が熱くなった。
私は好きなものや理想を描いたり語ったりするのが得意ではない。だからZero to Oneを読んだ時には失望を覚えた。しかし、全面否定で良さそうではないか。
嫌いなものを挙げるのは得意なのだ。
クリティカル・ビジネスは少数派から始めるという性質上リスクが非常に高い。だからこそ、リスクを抑えるためにスモールスタートが良く、安定的な本業を継続するバーベル戦略が良いという。
これは私に(おそらく多くの日本人にも)ぴったりである。できることから始め、洞察を深めたい。
紹介されていたクリティカル・ビジネスの起業家たちの行動はどれもカッコいいと、私にとって憧れを抱かせるものだった。学生の頃から「ビジネス」という言葉に嫌悪感があり、どこか冷めた目を持ち続けていたのだが、印象をガラッと変えられてしまった。
そして、ここで述べられていることは、起業家だけではなく、消費者の行動にも当てはまる概念なのではないか。ビジネスに留まらない、生き様なのではないか。そう思わされた。