今回は分散型金融(DeFi)について触れてみたいと思います。
結局、仮想通貨が分散型金融っていっても、仮想通貨のレンディング(貸し出し)による金利収入を分配してるだけでしょ?って思ってたら、各方面で知らない動向があったりと、知識が遅れていきそうな雰囲気を感じたので…これはマズいと思いキャッチアップしたい気持ちで記事を書き始めました。
見切り発車で書き始めたので求めている情報が提供できるか不明です💦
ちょうどNasdaq(アメリカ合衆国にある世界最大の新興/ベンチャー企業向け株式市場)がDeFi関連のインデックス「Defix」を上場させるとのことで、構成銘柄のMakerDao、Augur、Gnosis、Numerai、0x、Amoveoがどんなことをやっているプロジェクトなのかを調べていきたいと思います。
(Coindeskニュース)ナスダック、分散型金融トークンを追跡するインデックスを追加
(ファンド運営元HP)https://defix.fund/
(TradingViewチャート)https://www.tradingview.com/symbols/NASDAQ-DEFX/
運営元のエグザンテ(Exante)はロンドンに拠点を置く証券会社で、2012年にビットコインファンドをいち早く立ち上げて(2013年1月31日~2019年8月11日までのパフォーマンスで60,428%のリターンを計上し)歴史上最も利益率の高いヘッジファンドとしてブルームバーグに認識されるなどの実績を持つようです。
今回はExanteが新たにインデックスを立ち上げ、Nasdaqに上場するとのことで、対象となるDefixの構成銘柄を以下で見ていこうと思います👀
Defix構成銘柄
Augur(REP)20%
Amoveo(VEO)20%
Gnosis(GNO)7%
Numerai(NMR)7%
Maker(MKR)25%
0x(ZRX)20%
P2Pオラクルと予測市場に係わるプラットフォーム。イーサリアムベース。
Augurは「占い師、易者、前兆を示す」、REPは「Reputation:評判」の意。
ユーザーが将来のイベントの結果に対する予測市場を作り、報奨金のインセンティブによる予測の正確性を追求する。胴元がおらず、低コストで自身の予測市場(賭場の意味も含む)を作れ、配当も自動で行われることなどが特徴。
Augurは日本でも知名度のある銘柄なので、どんなことをやっているのか知ってる人も多いのではないでしょうか。政治的な事象に関する予想(例:トランプ大統領は再選するか)、各種イベントに関する予測(例:民間の宇宙船は2018年度中に民間人を宇宙へ送り出すか)など、様々な予測へベット可能となっています。
調べてみたら、ある賭け事に関して、0か1の結果だけが求められるわけではなく、結果への推移を示したポジションをロング・ショートするような仕組みも開発されているようです。
Defixの構成比率20%という大きなポジョションという事もあり、実績のある予測プラットフォームを組み入れてきた感じですかね。
スケーラブルなPoWブロックチェーンで金融商品開発を推進する分散型金融銘柄。
DeFi関連銘柄として、予測市場、投資、保険契約、ステーブルコイン、デリバティブ等の各種金融商品の開発及び運営を行う。利用されるVEOコインは予測市場の内部通貨としてベットする際や賞金受領で利用される。独自のLightningチャネルにより実質的に即時トランザクションと低手数料を実現。2つのオラクル結合により3つの予測結果を出力可能。
Amoveoも予測市場メインといった印象でしょうか。Augur、Gnosis、Bitcoin Hivemindなどが競合とし、改善を加えたとしている公式コメントを見ていると、各銘柄で共通点も多くありそうな印象です。どこも基本的にはオラクル(信頼できる情報源から情報を受信できるようにするメカニズム)の扱いが技術的な焦点となるようですね。
2018年1月からCMCでチャートの掲載がされていますが、ドル建て価格はほぼ下がっておらず、むしろ上昇傾向にあるようです。
公式サイトに各種リンクがありますが、そのなかでもamoveobookというサイトが予測の専用サイトになりますでしょうか。
Defixの構成割合も20%と高く、プロジェクト自体はコンテンツの充実度などをみてもしっかりとしている印象でしょうか。Amoveoの時価総額は866万ドル(2019年9月確認時点)となっているようです。
分散型金融(DeFi)を推進するプロジェクト。予測市場の開発などに取り組む。
2つの独自のトークンGNOとOWL(ドルに固定)があり使い分ける仕組み。
プロダクトとして独自の予測市場インターフェースまたは予測市場トーナメントを展開できるパッケージApolloや、イーサリアムブロックチェーンを使ったDutchX取引プロトコルの開発など。Gnosisエコシステムファンド(GECO)からプロジェクトへ出資実績も。
パートナーにSlow.trade、FAIRDEXなど。
こちらも予測市場の開発を進めるプロジェクトですね。
2018年12月に予測市場2.0(Prediction Markets 2.0)のテザーを公開しこれまで行ってきた開発の成果を強調。単に0か1かの結果だけでなく、AまたはBという条件とCまたはDという条件から、AC、AD、BC、BDという予測結果を出すことを可能にする仕組みを開発するなど予測市場により力を入れているようです。
また、DutchX取引プロトコルでは、イーサリアムブロックチェーンに展開されたスマートコントラクトによって管理され、仲介者を必要とせずに、ダッチオークションメカニズムを適用してユーザー間のピアツーピア取引を可能にするとのこと。
Gnosisとかはじめて調べましたが予測市場関連のDeFiプロジェクトなんですね!DeFix構成割合は7%と低めですが、開発/プロジェクト進捗の実績は長めの印象ですよね~。
AIとデータサイエンティストによる新しいヘッジファンドを作るプロジェクト。
毎週土曜日にデータサイエンスの"予測"パフォーマンスを競うトーナメントが開かれ、トップのパフォーマ―に賞金プールから賞金が払い出される。ヘッジファンドは予測データに最大限の価値を見出し予測者に価値を還元。プロダクトであるエラーシュア「Erasure」は分散型のデータ市場でNMRを使ってデータフィードを買い取ることができる。
一時日本でもかなり期待される声が聞こえていたNumerai。AI関連銘柄と思っていましたが、分散型金融(DeFi)のインデックスに入ってくるとは意外な印象があります。
公式HPを見に行くと、現状ではデータサイエンティスト向けのトーナメントを実施している状態でしょうか。717万ドルを払い出した実績があるとのこと。
直近の動向としてErasureプロトコルがイーサリアムメインネット上で利用可能になったとのことで、内容を見てみるとErasure QuantというアプリケーションがRussell500株式指数の予測関連、ErasureBayはその他予測可能な情報を幅広く売買できるプラットフォームのようです。(参考:The Erasure Protocol Awakens on Ethereum Mainnet)
ICOから価格は大きく落としている印象ですがプロジェクト自体は誰にか強烈に刺さるものを開発し続けている感じですかね。
Defixの構成比率は7%とこちらも若干低めにはなっているようです。
分散型金融(DeFi)関連銘。ステーブルコインのDaiとセットの仮想通貨。
MakerはCollateralized Debt Positions (CDPs)を通してDaiの価値を安定化させるように設計された独自の供給メカニズムをもつスマートコントラクトプラットフォームで、その役割を果たすため価値が変動する。
また、MakerはMaker-Daiシステムで手数料を支払いのためのユーティリティートークンで、ガバナンストークン、および資本増強リソースとして使われる。
Makerは比較的知名度もあり、時価総額的にも確認時点で23位(4.5億ドル)と大きいので知ってる人も多いかと思います。公式ウェブサイト行くと日本語での説明もあるので特にプロジェクト紹介自体は不要でしょうか。
Defix構成銘柄の25%を占める主力選手となっており、特にレンディング関連サービスはツイッターでもよく話題になっている印象です。
MediumでDeFi関連の記事(Introducing Oracles V2 and DeFi Feeds)を見に行くと、MakerDAO Oracleをさらに分散化するための各種取り組みなどが触れられているようです。
ちょっと自分の中でもこの辺の知識が不足していると実感するところがあるので、Makerについてはどんなことをやっているのか改めて取り上げたいと思います。
Daiの価格は1ドル周辺でまあまあ安定しているようですし、Makerの価格もこの下落相場で大して落ちていないことを見るとプロジェクトが上手くいっている気がしないでもないです(笑)
なんとなく関連するツイートも気になるものが多かったり…(゜_゜)
イーサリアムトークン(ERC20, ERC721)を容易に取引できるプラットフォーム。
BTCやETHなどの基軸となる通貨を必要とせずトークン同士をほぼ無料で取引することが可能となる。リレイヤー(仲介者)により取引プロトコルとなるAPIが提供され、リレイヤーには報酬付与あり。分散型取引所の性質。ユースケースにゲーム、予測市場、オーダーブック、分散型ローン、ステーブルトークンなど。
こちらはひたすら分散型取引所(トークンの交換)というところに焦点を当てたプロジェクトという理解になりますでしょうか。
3つのプレーヤー(リレイヤー、マーケットメイカー、リテール顧客)がいて、リレイヤーは取引所を運営することで手数料を収受、マーケットメイカーは市場に流動性を供給することで裁定取引などから利益を得るプレーヤー、リテールはいわゆる市場参加者・投資家という位置づけになるようです。
マーケットメイカーにliquidity(流動性)提供のインセンティブを付与するために考案された、ステークをベースとした新たな改善案のZEIP-31の導入がニュースにもなっていました(参考 CryptoTimesさん:0xが発表した $ZRX トークンエコノミクス改善案『ZEIP-31』とは?)。
コインベース上場済み、バイナンスUSへの上場が期待される等、バックグラウンドはしっかりしている感じですよね。個人で一定の利率を儲けるみたいな話はなかなか聞かない気もします…?上記のZEIP-31の導入でトークンホルダーへ一定のステーキングがなされるようであれば保有メリットも出てきますかね。
Defix構成比率は20%とこちらも高めとなっているようです!
全体を通して感じたのは、特に予測市場などで通貨・コインの取引が行われることから、ある種景気連動型というか、取引量が増えれば増えるほどプラットフォームとしての価値が上がっていくというわかりやすさでしょうか。そのプロジェクトの価値はどこにあるの、と問われたときに予測市場からの収益の現在価値(予測される将来の収益全体を割り引いて現在価値にしたもの)ですよというように金銭換算可能なのが取り上げたプロジェクトの特徴であるような気がしました。
また、全体的にイーサリアム系のプロジェクトが多いですかね。Amoveoを除いては基本的にはイーサリアムトークン(ERC20)を発行しており、イーサリアムのスマートコントラクトに寄り添っているところがあるのかと。まあ予測市場(市場予測)とスマコンは切っても切り離せない性質なのでしょうが…。
これからもDeFiというワードに注目して記事を書けたらと思います٩( ''ω'' )و