煽るタイトルで申し訳ない,書いてみたかっただけである.
2019年の秋頃からわたしは1日3食をやめ,最近は概ね1日1.5食で生きている.
朝ごはんは食べず,昼ごはんにコンビニのホットスナックや味噌汁,納豆などを一品だけ食べ,夜ご飯は食べたいものを好きに食べる,というのが基本だ.
多くの人は疑問を持たずに1日3食食べていると思うが,そもそもなぜ1日3食も食べなければならないのだろうか?
1日3食が苦痛でない人はそのままで構わないが,メニューを考えたり食事に時間やお金を取られるのが嫌で,1日3食が苦痛な人は,食生活を見直すことを推奨する.
筆者の知る限り,1日3食食べることが良いとされる根拠は乏しいと思われる.
例えば,朝食を食べる(すなわち,1日3食食べる)生徒はそうでない生徒に比べて学業成績が良いという主張はよく見られる.しかし,こうした研究は既存のデータを分析した観察研究であり,朝食を食べることと学業成績の相関関係は把握できても,朝食を食べることによる学業成績への因果関係は明らかにできない.実際,朝食を食べることができるほど裕福であるとか生活に余裕があり遅刻せずに通学できているとか,朝食を食べること以外の因子が学業成績に影響を及ぼしている可能性がある.つまり,学業成績に及ぼす要因は朝食の有無,ひいては1日3食食べることとは別である.
加えて,空腹が健康に良く,1日3食は食べ過ぎという主張もある.
1日1食を実践している医師の南雲由則は,著書「空腹」が人を健康にするで,空腹に若返り効果があると述べている.空腹状態に置かれることでサーチュイン遺伝子と呼ばれる遺伝子が活性化し,老化や病気を抑制する効果をもたらすという.
進化という観点から見ると,人類は長い間飢餓と闘っていた.そうした環境への適応の結果,人間の体は飢餓状態で活性化するよう最適化された.一方で,1日3食食べるようになったのはごく最近であり,人間の体は飽食には適応できていないし,飽食に適応するまでには数万年単位かかると思われる.
ここからは筆者の私見であるが,そもそも,1食の定義が曖昧であると感じる.何をどの程度食べれば,あるいは摂取カロリーがどの程度であれば1食にカウントされるのか,軽食やタピオカ,スタバのフラペチーノなどの高カロリー(と思われる)ドリンクは1食にカウントされるべきか,また,1食と1食の間隔は何時間ほど開けるべきか,居酒屋でつまんだ料理とその後に食べる〆のラーメンは1食に数えるべきか,2食とすべきか,など疑問は尽きない.
さらに,1食における量や質の個人差は避けられないと思われる.
ある人は和食の基本である一汁三菜(ご飯に味噌汁,三つのおかず)を1食とし,別の人はカップラーメンやファーストフードを1食とし,食が細い人はおにぎり1つを1食とするかもしれない.三者における1食は質,量とともにばらつきがある.これらをひとまとめに1食とするのは違和感がある.
1日3食がもたらす効果の根拠が乏しい以上,1日の食事回数は個人の価値観や宗教の問題に行き着くと思われる.1日3食食べたい人はそうすればよいし,そうでない人は自分なりの生活スタイルを構築すればよいと思う.
冒頭で,筆者は1日1.5食で生きていると述べたが,重要なのは食事回数ではない.むしろ,食べたいものを食べたいときに食べる,くらいのゆるい心構えである.実際,夕食だけの日もあれば,昼食,夕食,夜食と3食食べることもある.
筆者が最も主張したいのは1日3食をやめるべき,ということではなく,1日3食で心身を消耗するくらいなら,自分にあった食生活を考え直すべき,ということである.