ホッピー博士:ホッピーが大好きな博士。「ホッピーと永久機関」というD論を書いたが普通に通らなかったので正確には博士ではない。好きな酒はホッピーの黒。
トム:日本が大好きな留学生。寺社仏閣巡りが趣味と言っているが東京から出たことはないし週末は結局ハブにいる。好きな酒はジントニック。
ヨウコ:トムと同じ大学に通う学生。バイトで夜職をしている。一番嫌いな客は勘違いしてる上に課金しない大学生。好きな酒はストロングゼロ。
ホッピー博士「諸君!いきなりだがホッピーは飲んでいるかね?」
トム「Hi Ph.D.Hoppy! How is it going!」
ホッピー博士「スマン、話が進まんから日本語で頼む」
トム「ソーリー!ところでホッピーってなんだい博士?」
ヨウコ「ホッピーは麦酒様清涼飲料水のことよ。基本的にはそれを焼酎で割った飲み物のことをホッピーと呼ぶわね」
ホッピー博士「全部言われた」
トム「麦酒(バクシュ)だって?…ってことはイッツライクビールってことかい?」
ヨウコ「味はね」
ホッピー博士「おほん、説明しよう!ホッピーとは1948年に当時高価だったビールの代わりに発明された飲み物で、ビール風味の飲料のことじゃ!」
トム「なぁんだ、つまりビールのフェイクってことか!じゃあ別にミーはビールで良いよ!」
ホッピー博士「バッカモーーーーーン!!!!!!!」
トム「急に大きな声出さないでよ」
ヨウコ「今時珍しいこち亀の部長や銭形と同じ怒り方する人だわ」
ホッピー博士「ホッピーをビールの下位互換と考えているやつは地獄へ落ちるぞ!」
トム「偏見がすごい。分かったよ、じゃあホッピーの魅力を教えてよ博士」
ホッピー博士「うむ。では以下段落に分けて説明するぞい」
ホッピー博士「ホッピーは中(ナカ)と外(ソト)で構成されるんじゃ」
トム「なんだい中と外って?」
ホッピー博士「中は焼酎、外がホッピーじゃ。この2つを混ぜることでいわゆるホッピーが生まれる」
トム「へぇ、カクテルみたいでお洒落だね!」
ヨウコ「ちなみに実際はこんな感じよ」
トム「お洒落さのカケラもない」
ホッピー博士「それがまたイイんじゃよ」
トム「ちなみにこれはどれくらいの割合で混ぜるんだい?1:1?」
ヨウコ「テキトーよ」
トム「WTF!!!???」
ホッピー博士「それがホッピーの奥深いところじゃ。ホッピーの瓶自体はほぼこれしか無いから固定なんじゃが、焼酎は店がテキトーにいれるからいつも味が違う」
トム「ジャパンの人たちはレシピも決まってないミステリーな飲み物を飲んで喜んでいるというのかい博士!?」
ホッピー博士「割合が決まっていないという事は逆を返せば無限に味の幅がある。戦後、日本人はそうやって味のグラデーションを楽しみながら高度経済成長を創り出したんじゃよ」
トム「Why Japanese People...」
ヨウコ「まあぶっちゃけだいたい味同じなんだけどね」
トム「台無し」
ヨウコ「ただし焼酎はキンミヤに限るわ。そこは譲れない」
トム「なんだこのJD」
ホッピー博士「ほほう、ヨウコちゃん通じゃのう」
ホッピー博士「ホッピーには氷が入ってるんじゃ」
トム「氷だって?ロックで楽しむものなのかい?」
ヨウコ「ホッピーをロックで楽しむって斬新な発想だけど違うわ。単純に冷やしてるのよ」
トム「でもビールみたいなものなんだろう?ビールにアイスを入れたら台無しじゃないか」
ホッピー博士「このうつけ者め!!!!!!!!!」
トム「どこに地雷があるかさっぱり分からない」
ヨウコ「うつけ者って信長の周り以外で使ってる人初めて見た」
ホッピー博士「トム、“賭博黙示録カイジ”は読んだことあるかい?」
トム「そりゃああるよ」
ヨウコ「あるのかよ」
ホッピー博士「カイジと言えば、ビールに付く形容詞はなんじゃ?」
トム「ビール?そりゃあ確か……キンキンに冷えたッ…!?」
ホッピー博士「その通り!ビールの味を持ちながらキンキンに冷えた飲み物があったとしたら君はどうするかね…!」
トム「…で、でもミーはジントニックが一番……」
ホッピー博士「フフ…下手だなぁトムくん…欲望の開放のさせ方がへた…へたっぴさ」
トム「…ウゥッ…」
ホッピー博士「七味の乗ったもつ煮込みを創造してごらん…熱々の焼き鳥でもいい…」
トム「…!(ゴクリッ)」
ホッピー博士「口の中でハフハフさせたあとにキンキンに冷えたビール味の液体があったとしたら…」
トム「アァ、流し込ませてくれェェェ!!!!」
ホッピー博士「トム、豪遊!散財!!」
ヨウコ「だが、それでいい!!!」
ざわ… ざわ…
ホッピー博士「ホッピーがある店はだいたい分かってるぞい」
トム「博士、遂に感覚値の話になってるんだけど」
ヨウコ「いえ、ただ的を得ているわね…」
ホッピー博士「トム、今までホッピーを見たことあったかい?」
トム「う〜ん、文字はどこかで見たことある気がするけどミーが行く店には無いと思うなぁ…」
ホッピー博士「そう、つまりその程度の店しか行ってないということじゃ」
トム「唐突なディスり」
ヨウコ「ホッピーは和食や熱々の食べ物と相性がいいから、串カツや焼き鳥屋系列が多いわね。あとチープなイメージがあるから激安居酒屋にも多いかも。赤ちょうちんとかオッサンが多そうなとことかね」
ホッピー博士「チープって言うな怒られるぞ。リーズナブルと言えい。ホッピーがある店はアタリじゃ。英語言えばビンゴじゃ」
トム「主観オブ主観。でもそうか、確かに外国人がたむろする店には置いてないかも。日本式のお店に多いってことかな」
ヨウコ「留学生はホッピーがある店に通い始めたら一人前ってアイクぬわらも言ってた気がするわ」
トム「絶対言ってない」
ホッピー博士「ということで浅草のホッピー横丁にきたぞい」
トム「アメージング、ビニールハウスに人が集まって昼から飲んでる。これが噂に聞くアサクサか」
ヨウコ「店員がなれなれしいのが特徴の義理と人情の町よ」
ホッピー博士「言い方に悪意しか無い。さてさっそく飲んでみようか」
トム「ヘイ、博士。1つ質問があるんだけど」
ホッピー博士「なんだいトム」
トム「最初にホッピーを加えて水量がマックスになったんだけど、どの時点でホッピーを注ぎ足せばいいんだい?」
ホッピー博士「テキトーじゃ」
トム「OMG」
ヨウコ「私の場合は飲むごとに足しているわよ」
トム「なるほど…でもそうなると焼酎がどんどん薄くなっていかないかい?」
ヨウコ「そうよ」
トム「それでいいのかい?」
ヨウコ「酒が薄いなぁと思ったら中ァ!って叫べばいいのよ」
トム「…そうすると今度はホッピーが少なくなっちゃうんじゃないのかい?」
ヨウコ「そしたら外ォ!って叫べばいいのよ」
トム「クレイジー過ぎる」
ホッピー博士「ホッピーは永久機関なんじゃ。無限に終わらないシーソーゲームじゃぞい」
ヨウコ「博士のD論に書いてあった永久機関ってそのことね!さしずめホッピーはアルコール界のウロボロスの蛇だわ」
ホッピー博士「良い着眼点じゃ。焼酎とホッピーは鶏と卵の問題でもある」
トム「何を言ってるのかひとつも分からない」
ホッピー博士「終わるぞい。次は銭湯博士による銭湯コラムを書くかもしれんのう」
〜fin〜