クリプトスペルズディスコードにおいて、dedsyati22さんが、新たなゴールドカードをユーザーで開発し、発行しようという試みを行っています。もうすぐ、カードが最終的に発行されるかどうかのガバナンス投票があります。
私は、この試みを大変応援しています。
公式のカードセールが終了するかもしれない(これも最終的にはガバナンス提案にかけられる予定)という中で、ユーザーが新しいカードを発行し、これを公式の代わりにゲーム内で販売する、とてもわくわくする試みだと思います。公式の立場からすれば、カードを開発したりイラストを確保する工数を減らしつつ売り上げを維持できるため、ゲーム全体にとっての影響も良好です。
事務局側も「カード発行」の工数を明示的に見積もるなど、ガバナンスによるカード発行を否定していないように思われ、このような動きは必然的なものとして受け入れられるように思います。
ただ、少しだけ気になっていることがあります。それは、ガバナンス提案でカードを発行していいのであれば、
ガバナンス提案権がカード発行権の代わりになっちゃわないか?
という疑問です。
これ、実は私も以前から考えていて、以前コミュニティ支援プログラムの報酬改定のたたき台を出したときに、こっそりたたき台の中に自ら疑問を書いていました(気づいた人いるかな・・・笑)。
今回のdedsyati22さんの提案の最中にも、著名な有袋類さんからこんなご意見が。
私も、その意見の根底にある考え方には納得がいきました。
そこでシルバーカード発行権との比較です。
Gitbookのシルバーカード発行権規約が直っていないことに気づいてしまいましたが、昨年シルバーカード発行権の復活としてガバナンス投票にとおった仕様はこちら。
✅公式大会の優勝者の賞品とする。(12月の公式大会から適用。ただし、その他の賞品は変更の可能性あり)
✅新カード発行の開発工数は0.2人月とする
✅イラスト・ボイスは全てユーザーが用意する。
✅SPLのバックは今まで通りとする。
✅能力の決め方は発行者が自由に決めたのち、ガバナンス提案で可決されたものを発行可。ただし、能力は既存の能力の組み合わせに限る。フォーラムは運用事務局が立てる。
✅シルバー発行権は今までと同様にNFTとし、有効期限は無期限とする。
✅カード実装のタイミングは使用後90日以内とする。
✅複数の発行権が同時期に使用された場合は1枚ずつ有効とし、1枚目が実装された日を2枚目の使用のタイミングとする。
✅発行権NFTの発行後90日は使用まで保証するが、それ以降は開発困難な状況に陥った場合には使用まで保証できない。
✅シルバー発行権で発行されたカードは発行者の同意なく能力変更のガバナンス提案を可能とする。
つまり、以前は「運営と相談して発行する」だったものが、能力やイラストを含めてユーザーが準備してガバナンス提案にかけ、承認されたものがカードとして発行されるということになっています。
シルバーカード発行権の特色は、二次流通で売れた場合の手数料の一部がシルバーカード発行権者に入金されるという仕組みであり、これは唯一無二ですので、さすがにガバナンス提案権でのカード発行がシルバーカード発行権の完全上位互換とまではいえません。
しかし、その余の部分は結局ガバナンスを通すというものであり、もしガバナンス提案権を用いて特定のカード発行をすることが許されることとなれば、実質的にシルバーカード発行権に似たようなことができてしまうというという批判は、免れないように思われます。
しかしながら、私自身は、そうであるからといって、カード発行を直接的な内容とするガバナンス提案を一律NGとしてしまうのは、とてももったいないと思います。
事務局側が積極的にカード発行をしなくなった場合、クリスペを変えていくのは我々です。今回の件も、私が以前に提案しようとしたコミュニティイベント報酬もそうですが、我々で環境を変えていかないといけません。ガバナンス提案によるカード発行を、そうであることを理由に一律すべて否定するのは、進歩の足枷となります。
そこで上記のシルバーカード発行権から、SPLのバックを除いた部分も見てみます。そこでは、「イラストやボイスが自由に決められる」「(最終的にはガバナンスを通すけれども)能力も自由に決められる」という要素があります。これはカードゲーマーにとって非常に魅力的であり、シルバーカード発行権もそこに価値を見いだす方も多いのではないでしょうか(私は、だからこそ黒のシルバーカード発行権が欲しいです)。
私は、この部分もがガバナンス提案権者から奪われているような提案であれば、ガバナンス提案によるカード発行を許しても良いのではないかと考えています。
今回のdedsyati22さんのご提案は、Discordによる多数決により追加するカードの色を決め、能力の方向性を決め、能力を決め、イラストが募集され、名前を決めるというものでした。dedsyati22さんは案を何も提案していませんし、多数決にも参加しませんでした。また、私が確認する限り、議論の方向性を特定の方向に誘導するようなご発言もされませんでした。
今回発行を提案されるカードは、ガバナンス提案権者の恣意が全く介在しないものであったため、「今回のガバナンス提案は」シルバーカード発行権の上位互換とはなっていなかったと思います(その限りで、上記のコアラさんの意見とは結論を異にする)。
今後も、同様にカード発行を内容とするガバナンス提案がなされる可能性はあると思います。その場合、個別の提案について、TCGC保有者が賛成・反対の意思を表明することとなります。私も投票に参加することとなりますが、私自身は、上記のようなシルバーカード発行権の上位互換になりかけているような提案は全力で反対し、反対にシルバーカード発行権の魅力を失わせることにはならない提案で魅力的なものには賛成していこうと思っています(必要があれば、ルールメイキングの提案も考えています)。