ALISISTAの皆さん、こんにちは!初開催の新カテゴリー総選挙終了から早1か月、本日から新カテゴリー総選挙第二弾をALIS Labratory上で開始します!!
※ALIS Laboratoryは、ALISの実験的な機能を試す場です。詳細はこちら。新しいことを色々試すことを優先し、バグがあっても基本は放置します😉
今回の総選挙は前回の方式とは趣向を変えて、ALISユーザーの『投票』で新カテゴリーを追加します。なお、今回の投票ルールは、先日配信したプレスリリース「ALISとAuction Lab、エコノミクス分野における共同研究を開始。メカニズムデザインの第一人者である坂井豊貴・慶大教授が全面協力」で記載した坂井豊貴・慶應義塾大学教授をアドバイザーとして迎え、『マジョリティー・ジャッジメント』という投票制度で行います(詳細は下部に記載)。
分散型コミュニティの時代において、意思決定の手法の重要性は強調してもしすぎることはない議題ですが、今回の取り組みを通じて皆様と一緒により良い手法を模索できればと思います。
下記の投票方法、ルールを確認の上ご参加ください。こちらの投票結果や分析についてはAuction Labイベントでも共有していきます。
2019年7月26日(火)から2019年8月16日(金)18:00まで
下記にアクセスの上、投票してください。
・投票で第一位となったカテゴリーがalis.toに追加されます
・既存カテゴリーとの入れ替えはありません (9個から10個に増える)
・投票候補のカテゴリーは、事前にALISチーム内で議論を行い、テクノロジー、神仏、音楽、恋愛・出会い、おもしろの計5つとしました
・投票は1アカウントにつき1回までです。一度投票したら、内容の変更はできず、またお問合せいただいても変更にも応じることはしません
※坂井豊貴・慶應義塾大学教授より寄稿いただいた内容を転載したものです。
さまざまな考えをもつ人々がいるなかで、人々の意思を調べるのは、通常思われる以上に難しいことです。たとえば単純な多数決では「票の割れ」が起こるので、人々の意思はよく分かりません。
票の割れとは、似た候補のあいだで有権者の票が割れてしまうことです。有名な例は2000年のアメリカ大統領選挙。当初はゴアがブッシュに優勢していましたが、途中で「第三の候補」ネーダーが参戦してゴアの票を致命的に奪い、最終的にブッシュが勝利をおさめたのでした。ネーダーは勝つ見込みの無い候補でしたが、ゴアの票を割って共倒れしたわけです。
日本の選挙でもこのような票の割れは頻発しています。それを防ごうとして、与党たちは与党たちで、野党たちは野党たちで、候補を一本化しようとします。その調整は成功したり失敗したりします。一本化が成功したときは、有権者によっては真に支持する政党に投票できず、失敗したときは、「第三の候補」が結果を左右しえます。
もちろん世論調査でも同様の問題は起きます。批判の多い法案への世論調査でも、「賛成」「やや反対」「反対」と選択肢を用意すれば、「賛成」を一位にしやすくなります。調査する側の意に沿う結果が出るよう誘導できるわけです。
こうした難点を克服するために、意思集約の研究者Michel Balinski とRida Larakiが考案したのがマジョリティー・ジャッジメント(Majority Judgment)という新方式です。
マジョリティー・ジャッジメントは、それぞれの有権者が、それぞれの選択肢に対して絶対評価をつけます。ここでは絶対評価の言葉を「最高」「かなり良い」「良い」「普通」「悪い」「かなり悪い」「最悪」の7つだとしましょう。
例として、選択肢がネーダー、ゴア、ブッシュだとします。このとき、ある有権者は「ネーダーは良い、ゴアはかなり良い、ブッシュは最悪」と考えているとします。この人はその考えを投票用紙で次のように表明します。
マジョリティー・ジャッジメントは、この人がネーダーには「良い」に一票、ゴアには「かなり良い」に一票、ブッシュには「最悪」に一票を入れたものと扱います。いま有権者は計11人おり、各人はそれぞれの評価を同様のやり方で表明したとしましょう。結果は次の通りだとします。
この結果から、どのように集団としての評価を与えるか。マジョリティー・ジャッジメントは真ん中(median)を選ぶ仕組みになっています。ここでは有権者が11人いるので、真ん中とは「6人目」。真ん中の評価に〇を付けると次のようになります。
よって集団的評価の結果は、ネーダーは「悪い」、ゴアは「かなり良い」、ブッシュは「良い」となります。もしこれが選挙だとすると、順位は上からゴア、ブッシュ、ネーダーとなり、勝利するのはゴアです。
マジョリティー・ジャッジメントだと、有権者は(ただ一つの選択肢に票を入れるのではなく)すべての選択肢を評価するため、票の割れのような問題が起こりません。また、集団的な評価としては、人々の評価の「真ん中」を選ぶので、全体的な納得度の高い結果が得られます。
マジョリティー・ジャッジメントは「わざと極端なことを言って結果を動かす」操作を無効化できます。たとえばゴアを「かなり悪い」と考えている3人が、ゴアを不利にするため「最悪」と表明しても、真ん中は変わらないため結果には影響がありません。
大人の社会には、わざと極端なことを言って落とし所を自分寄りにしようとする人が沢山いますが、そういうズルい嘘を無効化できるわけです。嘘に影響されず、また自分も嘘をつくインセンティブをもたない(もてない)ことは、マジョリティー・ジャッジメントの大きなメリットです。
あまり引き分けが多いと、選択肢に優劣を付けられなくなってしまいます。そこでマジョリティー・ジャッジメントには、引き分けをできるだけ少なくするタイブレークの方法が備わっています。いま投票の結果が、これまでの例と異なり
だとしましょう。真ん中とは6番目なので、ゴアへの評価の真ん中は「良い」、ブッシュへの評価の真ん中も「良い」となり、両者は引き分けです。このときは「良い」以上の評価を付けている人数で比較します。「良い」以上の評価を付けているのは、ゴアは6人(2+4=6)、ブッシュは7人(2+3+2=7)です。よってブッシュがゴアに勝つという結果になります。
私たちは、コミュニティベースでのプロダクト発展には、「それぞれが思いを持つメンバー間での合意形成プロセス及び、全体の意思決定から得られる納得度」が重要であり、Web3.0時代の自律分散型コミュニティの創造にはエコノミクス分野の専門知識が必要不可欠であると感じています。
ALISでは今後も「Web3.0時代の自律分散型コミュニティの創造」を目的として、様々な試みを試していけたらと考えていますので、ご興味ある方はぜひお付き合いいただければ幸いです。
※補足
・ ALIS-officialアカウントが作成した記事にトークンは付与されません
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