今年の初め、仕事でミャンマーに行きました。
近年、急速に経済発展を遂げていると耳にしていましたが、現地に行って実感しました。すでに日本企業もたくさん進出しており、日本企業の工業団地のようなものも出現しているようで、空港などでもチラホラ日本人を見かけます。
現地の知り合いに、ここで暮らす人たちはどんな仕事が人気なのか?を尋ねたところ、やはりオフィスで働ける仕事は人気とのこと。しかし、そんな職にありつける人は本当にごく一部だそう。
ミャンマーでは大学を卒業した人たちの給料は、日本円にすると1.5万円~3万円くらい。大学を出ていない人たちの給料は5,000円~10,000円くらいだそう。地方に行けば、仕事に就けない人たちもたくさんいるため、その多くは隣国に出稼ぎに行くそうです。
特に、東南アジアの中でも経済発展を遂げているタイと陸続きなため、大量のミャンマー人がタイで出稼ぎしており国家間の問題にまで発展。私たちのような島口に住んでいると全く縁のない話ですが、大陸の国々に住んでいる方々にとって、他国で働くという選択肢は決して珍しくない話なのです。
ちなみに、フィリピンは島国ですが国民のほとんどがある程度の英語が話せるために1,000万人以上の海外生活者がいるそうで、その人たちからの海外送金額はGDPの1割近い金額になるそうです。
そこで問題になってくるのが「海外送金の手数料」です。この手数料、実はバカにならない金額なんです。例えば国内大手UFJさんの場合、インターネットバンキング経由でも¥5,000ほど手数料を取られます。SBI Remitさんだと、ぐっと安くなって500~1,500円くらいの手数料で送金可能ですが、それでも一日働いた分の15%~25%ほどもっていかれることになります。
我々、海外で仕事をするという感覚に乏しい日本人にはピンとこないかもしれませんが、この海外送金手数料は世界中の人々にとっては大きな問題です。とは言っても、簡単に安くできるものではありません。実際に送ったお金がちゃんと相手に届くようにしなければいけませんし、相手方の銀行と調整をするためにコストがかかります。銀行は銀行で大変なのだと思います・・・
もともとBitCoinとは、「海外送金をもっと手軽なものにしよう」という、サトシナカモト氏の考えから生まれたもので、こういった国をまたいだ時に必要なコスト(信頼を形成するために必要なものも含む)を削減することが目的でした。最近は投機的なブームの陰に隠れてしまい忘れられつつありますが、本質はこの「海外送金」にあると思います。
日本には、紙に書かれていることで信用を保証するという悪しき習慣があります。大量の書類を用意し、一文字の間違いも許さず、変更があるたびに最初っから印鑑をもらいなおして、何年間も保管する・・・まるでその手間と労力を「信用」と謳うことにしているような。これは、日本と付き合う諸外国から見れば大変な仕事量になり、その分コストが増します。
国と国の間にはいろいろな隔たりがあります。経済的優位性から来る力関係や、地政学的な問題、文化の壁など、約束に対する考え方。本来、外国と何かしらの取引を行う際は、この隔たりを調整する役割が必要で、ここにも多大なコストがかかります。
ブロックチェーンによる分散型台帳の仕組みやスマートコントラクトは、この調整コストや信用の為のコストが抑えられることです。
最近、「それブロックチェーン使う必要があるの?」という胡散臭いプロジェクトをよく見かけます。それっぽいことを並べ立てているだけで、よくよく考えたらブロックチェーンにする必要ないんじゃないのか??というやつです。
ブロックチェーンは、社会に大きな変革をもたらす技術革新だと思います。ただ、万能ではなく技術的な側面や安全性の側面からみたら中央集権的な従来のシステムの方が適しているケースもあります。
これから生き残る仮想通貨は、従来の技術よりブロックチェーンを使った方が効率が良くなる分野のものだけだと思っています。その中で、やはり一番実現が早そうなのが「海外への送金用の通貨」だと思います。銀行の偉い方々やアナリストの方々などで仮想通貨は送金用の通貨としての役割を果たさないと言っている方も多いですが、世界中で進む高齢化と経済格差、仕事内容の変化によって出稼ぎ労働者は今後間違いなく増加すると思います。政府や銀行は必要としていなくても、世界中の人々が必要としている仕組みがこの数年間のうちにきっと出来上がるだろうと思います。
それがBitCoinになるのかEthereumになるのか、全く別の仮想通貨かはわかりませんが・・・