Mick Tsai
『なぜContentosプロジェクトを始めたのですか?』
私が頻繁に問われるこの質問に答えるため、Contentosの起源について少しだけお話をさせてください。
また、私がこの文章を書いていた時間のように、皆様が楽しく読んでくださることを願っています。
まず皆様に自己紹介と私の経歴を紹介させてください。ソフトウェア業界の開者としての私の経歴は、約10年前に始まりました。私は、世界をリードするセキュリティソフトウェア企業の1つである「Trend Micro」で働き、そこで過ごした年月は、私にとってソフトウェア開発とアルゴリズム設計のスキルを磨く上で非常に良い経験になりました。
確かな経験を積んだ後LiveMeのチームに参加し、LiveMeの米国での発展に大きく寄与しました。LiveMeではRoman Atwood、David DobrikなどのトップYouTuberやインフルエンサー、また、FullscreenやStudio 71などのマルチチャンネルネットワーク(MCN)企業と協力することができました。
ソフトウェアエンジニアとして働き、得た専門知識とインフルエンサー業界内で培った洞察力は、テクノロジーがグローバルコンテンツクリエイターをどのように支援し、何が機能し、何が機能しないかを知るために非常に役に立ちました。
私が独特なリーダーシップを培っていると同時に、私のチームメンバーたちはContentosに参加する前に、一流のモバイルインターネット企業やコンテンツ創作ビジネスで働き、それぞれの専門分野で共通するバックグラウンドを築き上げてきました。その後、私たちはコンテンツクリエイターの利益のために、インフルエンサーエコノミーをどのように改善できるか考え始めました。2017年、ブロックチェーン技術は次の大きな技術躍進として存在感を高め始め、私たちはその事実に共感しました。パズルのピースが集まり始め、ブロックチェーン技術がコンテンツ業界を改善するためのキーになると私たちは確信しました。しかし、ブロックチェーンを導入するというのはEthereumでERC-20トークンを発行し、それを既存のデジタル通貨の代替として使用することを意味するのでしょうか?
もし、このようなユースケースでのみブロックチェーンを使用するのなら、一般のユーザーがApp StoreまたはGoogle Playでユーザーフレンドリーに設計され、使いやすいアプリ内購入(IAP)支払いシステムを使わず、代わりにトークンを使用して決済するメリットは何でしょうか。 私たちはPeter Thielの10倍ルールはこのケースにも適用されると考えます。この定説では、新しいソリューションは既存のソリューションよりも10倍優れていないと、勝つ可能性は非常に小さいと述べています。このルールをブロックチェーン業界に適用すると、ERC-20トークンを発行するだけでは、既存のコンテンツ業界を変えることなどは到底不可能であると分かります。
Contentosチームが2017年後半または2018年前半にICOを行わず、如何なる仮想通貨取引所にも急いで上場しなかったのは、コンテンツビジネスにおけるブロックチェーンの真のニーズが未だに特定されていないと私たちは考えたためです。企業が価値提案を明確に定義できない場合、私はそれを開始すべきではないと考えました。
そこで私たちはコンテンツクリエイターとコンテンツプラットフォームの両方で調査、研究を開始しました。そこで発見したのは「アルゴリズム」の存在です。あなたがFacebookなどのソーシャルメディアのコンテンツクリエーター、またはファングループの管理者である場合、あなたの人生はプラットフォームの「アルゴリズム」によって強くコントロールされています。アルゴリズムが変わるたびに、あなたの世界も変わります。どうしてでしょうか? それは、アルゴリズムが視聴者のコンテンツを見る方法を制御しているからです。たとえば、YouTubeの「あなたへのおすすめ」セクションや、Instagramのフィード間に挿入された広告がそうです。もしあなたが新しいYouTuberとして、アルゴリズムがあなたの動画を好まない場合、あなたの作品は視聴者に見られることすらありません。つまり、視聴者をファン/フォロワー/チャンネル登録者に変える機会を失い、コンテンツを収益化する機会も失われます。多くのコンテンツクリエイターは、それが本当に創りたいコンテンツではない場合でも、紹介される可能性が高い限り、それに合わせることを選びます。
一方、アルゴリズムは視聴者の好みも制限します。なぜコンテンツがおすすめなのか疑問に思ったことはありませんか? プラットフォームがあなたの興味を特定し、視聴体験をパーソナライズしたことが原因である場合もありますが、あなたがプラットフォームの潜在的な顧客になる可能性が高く、プラットフォームにとって収益になる可能性が比較的高いと認識されていることが原因の場合もあります。
アルゴリズムは、コンテンツクリエイター、視聴者の関心、外部世界からコンテンツエコシステムに流れる広告主のお金を、中央集権型コンテンツプラットフォームが集中管理するためのツールです。アルゴリズムをシステムの車と例えるならば、データはすべてを駆動するための燃料です。ユーザーからのデータがなければ、アルゴリズムは効率的に機能しません。
アルゴリズムは、特定の条件下でいつ何を行うかを決定するソースコードのセットです。重要なのは、処理するアルゴリズムのデータ入力であり、それがある特定の結果を導き出します。例えば、ユーザーがFortniteのゲーム実況動画をアップロードすると、最初の100回のオーガニックビューの後、プラットフォームは視聴回数だけでなく、これらの100人の視聴者が費やした平均視聴時間、これら100の視聴の中から生まれた新しいフォロワーの数、いいね、コメント、シェアの数などの様々なデータも同時に記録します。そしてこれらの情報は、全てプラットフォームのカスタムアルゴリズムによって処理されます。このビデオが新しいフォロワーを引き付けるという点に優れている場合、アルゴリズムはこのビデオにより多くの新規視聴者を集めることを決定する可能性があります。同様に、動画で視聴者が長時間視聴する傾向があることを実証した場合、アルゴリズムはそのビデオのトップページへの掲載を決定する場合もあります。一方、コンテンツクリエイターもこれらのデータセットから学習し、良い結果を維持するためにコンテンツ制作ストラテジーを調整することもあります。
コンテンツクリエイターと視聴者がこのような方程式で説明される場合、広告主はどのような役割を果たすでしょうか? 顧客獲得を目的に、あるプラットフォームに広告を掲載する場合、顧客になる可能性が最も高い潜在ユーザーと繋がろうとすることは合理的なビジネス戦略と言えます。現状では、この戦略を最大化する最も効率的な方法は、アルゴリズムを使用してユーザーの行動に関するデータを分析し、プラットフォームによるデータ駆動型のアドバイスに依存することです。これらのデータセットは、広告主がユーザーの獲得戦略をアジャストするためにも使用することができます。たとえば、より魅力的なオーディエンスプロファイルへの変更や、将来の広告作成方法及び戦略の調整です。
世間一般に情報は力だと言われますが、おそらくこれに対するふさわしい考え方は、誰がこのすべての情報によって力を与えられているのか?という問題です。問題はデータのアクセシビリティにあります。プラットフォームはユーザーからデータを収集し、これらの個人データは外部からアクセスされることなく中央集権型システムより保管されます。もし、誰でも自由にデータにアクセスできる場合、競合するプラットフォームが先に人気を得うる話題を検出すると、自社プラットフォームが業界での優位性を失う可能性があります。競合他社は、クリエイターが自社プラットフォームに切り替えた場合、より高いオファーを提供することで、これらのトップクリエイターを確保することができます。無料のアクセスデータは、多くのコンテンツプラットフォームにとって脅威であり、誰もこのリスクを冒そうとはしません。同様に、プラットフォームが広告のデータを公開する場合、広告のパフォーマンスと収益の制御性が低下する可能性があります。 (https://www.theverge.com/2018/10/17/17989712/facebook-inaccurate-video-metrics-inflation-lawsuit)。
よく、「YouTube StudioやFacebook Adダッシュボードなどのパフォーマンス分析ツールを使い、データへのアクセスが可能」と言われますが、これらのデータはすべて「処理済み」であり、これらのデータは未処理の「生」のデータではありません。ユーザー、クリエイター、または広告主として、少なくとも現在の一般的な技術システムでは、未処理のデータにアクセスすることはできません。この情報はいつ記録されたのか、どの程度正確であり、どのように計算されたのか、データは改ざんされていないのか、記録されたときの前提条件は何だったのか、等の不透明性の問題があります。
そのため、ユーザーの行動とエンゲージメントデータを保持するための真に信頼性の高い透過的なデータストレージができるまで、グローバルコンテンツビジネス運営の手助け、及びコンテンツの価値をクリエーターに還元するという課題は引き続き存在します。つまり、コンテンツ業界への信頼を築かなければなりません。
私たちは、ブロックチェーンまたは分散型台帳技術(DLT)が、より健全なコンテンツエコシステムを促進する力を持っていると信じています。中央集中型プラットフォームはすでに事業を確立しているかもしれませんが、その固有の中央集中化は、ブロックチェーンシステムから遠ざかる落とし穴になっています。分散化と透明性を備えたブロックチェーンは、コンテンツプラットフォームにおけるクリエイター、視聴者、広告主など複数の利害関係者との連携に適しています。
それがまさに、私たちがContentosプロジェクトを始動した理由です。ブロックチェーンは単にデジタル通貨を発行する技術ではなく、現在および将来のグローバルコンテンツビジネスに役立つように特別に設計されたテクノロジーであると信じています。また、ユーザーの行動とエンゲージメントデータを安全に保存するシステムは、すべてのユーザーに大きな価値をもたらすと考えています。データの透明性とアクセシビリティは、コンテンツプラットフォームに対するユーザーの信頼を回復し、コンテンツの真の価値を維持保管できると考えています。
これらの信念がまさに、私たちContentosが存在する理由です。
2019年9月25日、Contentosはついに私たちの「信念」を「現実」へと変えます。
以上。
Contentosチーム