久津(@Nunerm)です。
ここ半年くらい、人前で話す機会が増えました。
以下のようなプロダクトマネージャー、エンジニアリングマネージャーのミートアップのLT(ライトニングトーク)枠で話させてもらいました。
※「ライトニングトーク」の説明はこちら
また自ら運営している組織内ライトニングトーク大会で2回ほど登壇もしました。
この半年はこれらの活動によって様々な出会いや学びが生まれ、これからも継続していきたいなと思っています。
というわけで、この記事では人前で自分の学びや考えを話すことによって得られるメリットと、それはそんなにハードルは高くないということ、そして最初の一歩の踏み出し方を書きます。
上述しましたが、私は所属している組織内でライトニングトーク大会を運営しており、2ヶ月に1回ぐらいのペースでLT会を行なっています。ファーストペンギンとして初回と2回目に自ら登壇して、それなりに場は盛り上がりました。
しかし、次に発表したいという人がなかなか出てこないのです。1,2回盛り上がれば次々と登壇者が現れるだろうと思っていた自分としては誤算でした。
無理やりお願いして何とかイベントは継続していますが、自発的に発表したいという人が生まれない限り、いずれこのイベントは無くなるという危機感があります。
そこで一度も発表したことがない人にヒアリングをしてみたところ、
・発表したい内容はあるけど忙しくて準備する時間がない
・発表に興味はあるけど何をどう話していいかわからない
という声が多いことに気づきました。ここから
・人前で話すことのメリットを知らない人が多いのではないか
・人前で話すことのハードルを無駄に上げてしまっている人が多いのではないか
という仮説を立てました。
メリットを知っていてそれを享受したいと思ったら、自発的に他のタスクより優先度を上げるはずです。それをやらないということは、メリットを知らないのか、知っているけど享受する必要がないかのどちらかです(後者に無理やり発表してもらう必要はありません)。
ただしメリットは理解していても、人前に出ることのハードルを無駄に高く上げてしまっているが故になかなか最初の一歩が踏み出せない人もそれなりに多いと思います。
よって人前で話すことの「メリットを知らせる」ことと「ハードルを下げる」ことで、もっと気楽に発表ができる人が増え知の共有が活発化するはずだと考え、この記事を書くに至りました。
これから説明するメリットを享受するためには、発表内容が事例報告とか結果報告とかの「事実だけを伝える」発表ではなく、「自分の経験や学びを共有する」「自分の考えを伝える」発表にする必要があります。
前者の場合はそんなに多くのメリットは得られません。誰でもできることなので。
多くの記事で様々なメリットは語られてはいますが、ここでは私が考える最も大きいメリット3つを挙げます。
①自分の学びや考えの解像度を上げられる
人にメッセージを伝える際に漠然とした内容では伝わりません。「なんとなくこう思ってるんですけど…」だと「へぇ…」で終わってしまいます。
そうならないためには、自分の中にある漠然とした考えに対して「なぜそういう考えに至ったのか」を問い続けて解像度を上げる必要があります。その過程の中で、漠然としていた学びや考えからまた新しい学びや考えが生まれる可能性があります。「あ、実はこういう考え方もあるな」みたいな気づきが生まれるのです。
頭の中にある考えって意外と漠然としていて、口に出して初めてまとまっていないことに気づいた、みたいな経験もあるかと思います。この解像度を上げる作業は普段アウトプットしないとなかなか行われません。人前で話す準備をすることで、自らの学びや考えをブラッシュアップすることができるのです。
②発表内容を即時適用可能な状態にできる
人にうまく説明するためには発表内容の推敲やプレゼン練習を繰り返すことが必要です。自分の学びや考えと何度も向き合うことで、すぐに頭から引き出せる状態になります。データがキャッシュに乗るようなイメージです。
その状態になると、今後の経験の中でその学びや考えが必要な場面ですぐに適用可能になります。「あ、これはあの時発表したやつが使えるぞ!」となります。
本を読んだり人の発表を聞くだけだとなかなかこの状態にはなれません。
③すぐにフィードバックをもらえる
ライトニングトークイベントでは終わった後に質疑応答の時間や懇親会の時間が設けられます。そこで聴いてくれた人から意見や質問をもらえます。これによって自分の学びや考えがさらにブラッシュアップされます。
自分の経験の中から出た学びを他人の経験にも当てはめるとどういうことが起こるのか、広い範囲に適用可能なのか否かを知ることもできます。
これは本当に貴重な経験になります。
人前で話すことのハードルを高くしているのは、日本の教育システムによるものなのかなと思っています。義務教育の授業での発表では「正解を答えること」を求められます。よって間違った答えを言ってしまうと「あいつはバカだ」と思われてしまい、それを恐れて人前での発表のハードルを上げてしまっている可能性があります。
しかし「考え」には正解がありません。もちろん考えが合う/合わないはありますが、別に相手が正しいわけでもないので気にする必要はありません。全員に合う考えを発表することなんて不可能です。
また「その考えが未熟ではないか」という恐れを持っている人もいるかと思います。それは正直私も持っています。
でもそれって、やってみないとわからないんですよね。もしかしたら本当に未熟かもしれないですが、「未熟」って相対的なものなのでそれが未熟かどうかを知る方法って人から教えてもらうしかないと思うのです。
よって教えてもらうために人前で発表するのです。でないと、ずっと「自分は未熟だ」と思い込んでしまい、そこから変わることはできません。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」というやつです。
一つだけ具体的なエピソードを。
先日参加したEngineering Manager Meetup #4では、発表後にOST懇親会というものが行われました。これは6人の登壇者が6箇所に分かれ、参加者が発表内容に興味があってもっと話したい人のところで懇親を深めるという形式です。
発表者からしたらドキドキですよw 実際私より圧倒的に面白い発表がいくつもあり、絶対自分のところには1人も来ないだろうと思ってました。
でも実際は5人ほど来ていただけました。全員私以外のプレゼンが面白いということは認めつつも、私と似たような境遇で私の話に共感するポイントが多かったのでここに来たと言っていただいた方ばかりでした。ホッとしました…
人間の考え方は多種多様なので、自分の考えに共感してくれる人は必ずいるはずです。別に全員に共感してもらう必要はなく、1人でも共感してくれる人がいて自分の発表から何かを得てもらえればOK、ぐらいにハードルを下げて良いと思います。
まずはアウトプットの練習としてブログやnoteを書いてみることをオススメします。
ただしブログだと内容が未熟だと読まれませんし、読まれてもあまりフィードバックをもらえない可能性があります(「いいね!」をもらってもあんまり意味ないので…)。
あくまで自分の学びや考えの解像度を上げる練習として活用しましょう。
自分の内容に合っているイベントを探してみましょう。
私はWeb/IT系なのでconnpassで探すことが多いです。他にもEventRegist、Doorkeeperなどもおススメです。あとTwitterでイベント運営している人をフォローしておくと、開催の情報をいち早くキャッチすることができます。
ただしイベントの募集が始まっている時点で登壇枠が予め決まっているイベントも一定数存在します。そういうイベントの場合は一度参加してみて、どうやって登壇者を決めているのかを確認してみるとよいと思います。
もし自分に合ったイベントが無い場合は、自分で開いてみることもアリです。私のようにクローズなコミュニティでやるとハードルは低いです。
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以上、自分の経験から感じた「人前での発表」のメリットと、ハードルはそんなに高くないということを書きました。
この記事が少しでも「人前での発表」を後押しすることに繋がれば幸いです。