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プロダクトマネージャーは「組織の視力」を把握しよう

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  • Hisatsu
  • 2019/01/17 10:31

Hisatsu(@Nunerm)です。

 

今回は「プロダクトマネージャーは『組織の視力』を把握するべきだ」という考えを書きます。

 

今いる環境でPMに何が求められるのか?

 

「プロダクトマネージャーの役割とは何か?」

これはPM界隈では常に問われる疑問です。

 

PMに求められるスキルや考え方は多岐に渡っていて、実際に活躍されているPMの方々が持っている武器も様々です。(エンジニア出身の人、マーケター出身の人、デザイナー出身の人…)

 

また組織やマーケットによっても求められる動きや成果は変わります。

プロダクトマネージャーカンファレンス2018で登壇されたのBaiduのPMのChenさんという方のプレゼンでも「アメリカと中国で求められるPMのスキルが違う」というお話がありました。アメリカはニーズがある程度一様化しているため、そのニーズを技術力で解決できるPMが求められる。中国ではニーズが極端に多様化しているため、解決されていない新たなニーズを探すことができるPMが求められるとのことでした。

つまり。

「プロダクトマネージャーの役割とは何か?」

に対する答えは、いくらでもあると思うのです。

 

大事なのは、自分の武器を認識し、かつ今いる組織でPMに何が求められるのかを理解した上で、目指すべきPMの姿をしっかり定義することです。 

 

では「今いる組織でPMに何が求められるのか?」はどうやって知ることができるのでしょうか?

 

私は「組織の視力」を把握することでヒントを得られると思っています。

 

  

「組織の視力」とは?

まず、プロダクトを成長させるためのタスクや解決すべき問題を抽象化してモデル化してみました。各立方体がタスクや解決すべき問題です。

Content image

各タスクの特性を3つの軸で表しました。

①領域の軸

成長に必要な役割や領域の軸です。図では5つ適当に選択しましたが、業種やビジネスモデル、toB/toCの違いなどによって数や内容も変わります。

 

②時間の軸

成長のロードマップに即して今すべきこと、未来にすべきことの軸です。

 

③解像度の軸

各タスクの解像度、つまりどれだけ詳細化されているかの軸です。例えば分析領域における最上位は「データドリブンで意思決定をする」といったようなビジョンで、下位の方は具体的な分析アルゴリズムや日々のオペレーションに関するタスクです。これも図の5つの分け方が最適というわけではありません。随時カスタマイズしていただければと思います。


 つまりこれらの立方体を一つ一つクリアしていくことで、プロダクトの中長期的な成長に繋がるということです。(もっといい表現があるだろ!というご意見があるかもしれませんが、一旦この考え方でお付き合いください…m(_ _)m)

 

 

ではこれらのタスク・問題を組織の誰がどうアプローチして解決していくのか。どう戦略を立てるべきなのか。PMは何をすべきなのか。

 

それ決めるために「組織の視力」の把握が必要になってきます。「組織の視力」は多くのタスクや解決すべき問題のうち、どこまで目が行き届いていて、どこまで凝視して本質を見極められているか、の能力のことを意味しています。

 

例えば新しい機能をリリースして期待する効果が出ないと普通はその原因を調べますが、調べても考えても原因がわからない、なんていう状況の場合は、何か「目が行き届いていない問題」がある可能性が高いのです。

 

 

「視力」は「視野・視座・視点」の3つに分解されます。

以下では広木大地さんの「エンジニアリング組織論への招待」にあった説明が最もわかりやすかったので引用させていただきます。

 

視野

「視野」とは、あるポイントからその問題を眺めた時に同時に把握できる領域の広さです。ある問題はある大きな問題に包含されていて、さらに大きな問題構造に含まれているといったことを把握できる、広い/狭いで評価するものです。
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視座

 「視座」とはどこから眺めるか。高い/低いで評価されるものです。視野がいかに広くても、視座が低ければさらに次元の高い問題を認識できないし、視座が高すぎても抽象論に終始しミクロな解決策が浮かびません。
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視点

 「視点」とは、どの角度から見るか。鋭さ/凡庸さでとらえるものです。問題の構造を把握して、解決策の筋を刺す時に問題の捉え方によってはシンプルになることがあります。普段は見えない角度から本質をえぐり出すのが「視点」の力です。
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この3つと「凝視度」を組み合わせたものを「視力」と定義しました。


視力 

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色が濃い立方体ほど、凝視して本質を見極められているという意味になります。多くの立方体をカバーでき、かつ濃く見ることができている人ほど「視力」が高いと定義します。


例えばCEOやCTO、デザイナーはこんなイメージ。(もちろん組織によります)

 
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で、組織に属するメンバーのすべての視力をマッピングするとこうなります。

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例えばこの図では、現在の分析業務に対して解像度が高いタスクはカバーできていない、またデザインの中長期的なビジョンが立てられていない、ということに気づけます。

ありがちだなと思うのはこういう図です。

Content image


ビジョンや計画はしっかりして、かつエンジニアやデータサイエンティストなど優秀な人材は揃っているのに、管理(マネジメント)を誰も見ていなくて回らなくなるパターン。拡大期のベンチャーにありがちです。

  

  

では組織の視力がわかったところで、改めて「PMはどういう視力が求められるのか?」を問いたいと思います。これも結局のところ唯一解はありません。

 

組織の視力でカバーできていないところを自らの視力でカバーするのもいいし、自分ではカバーできない部分に関しては新たに採用してカバーしてもらうのもいいと思います。またプロダクト特性やマーケットの状況から色を濃くしないといけない立方体を定義して、濃くするためにリソースを集中投下するなどの戦略をとることも一手です。兎にも角にも現状の組織の視力を可視化することが大事なのです。

また各ステークホルダーと会話するときも、相手がどこをどれくらい見て話しているのかを念頭に置いてコミュニケーションを取ることも重要です。見ている場所がずれていたり解像度が異なったりするといろいろな弊害が生まれます。そんな時はPMが視座・視野・視点を変えて相手に合わせにいったり相手に変えてもらったりすることも必要な動きです。

 

PMは組織やプロダクトの状況に応じて、自分の武器と弱点を加味しながら、組織として目が届いていない部分、もっと凝視しないといけない部分を見つけて打ち手を打っていく。これがPMの一つの役割だと思います。

 

 

終わりに

改めて読んでもちょっとわかりにくく、文章では細かいニュアンスが伝えられていない気もします…(自分の文章力ではこれが限界…)

この話については議論の余地が多分にあると思いますので、もしご意見ある方はコメントをいただけると幸いです。またPM関連のイベントにはよく顔を出していますので、直接議論させていただければなと思います。

 

※この記事は自分自身の別ブログからの転載です。

公開日:2019/01/17
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プロダクトマネージャー/エンジニアリングマネージャー@リクルートテクノロジーズ。「人が活き活き働く社会」を実現させたい。プロダクトマネジメントやサービス、組織論など。

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