人をはじめとする生き物が死ぬとき、その間際の体験を誰かに伝えることはできません。
一説では、死の間際には脳が異常に活発化するというものがあります。
臨死体験から戻ってきた人の話では、周りにいる人の声がよく聞こえたり、自分を俯瞰して見ていたりするなんてことも耳にします。
実際は一体どのような反応が起こっているのか。
今回はそんな私の間際の脳が発する反応についてのお話です。
2023年5月1日にScience slertにて掲載された記事と付随する研究からまとめていきます。
参考記事)
・Mysterious Surge of Activity Detected in The Brains of Dying People(2023.5.2)
参考研究)
・Surge of neurophysiological coupling and connectivity of gamma oscillations in the dying human brain(2023.5.1)
心臓の鼓動が停止した動物は、死ぬまでの間に脳が異常な活発を起こすことが確認されています。
アメリカ ミシガン大学では、人間の心臓の鼓動が停止した際にも同様に脳の活動が活発化したことを検出しました。
その瞬間を捉えることは貴重であり、脳が機能を停止する間に何が起こっているのかはほとんど分かっていません。
科学者が死ぬゆく人の脳波を詳細に記録したのは、2022年にエストニアのタルトゥ大学の研究者が偶然記録したものが代表的です。
2013年以来、神経学者のJimo Borjigin氏と同僚は、進呈しよしたラットで発見されたものと、瀕死の人間の脳の類似点を探してきました。
彼らは、動物の覚醒状態のレベルを遥かに超えて急上昇した脳の活動は人間でも同様に起こり、多くの心停止、生存者によって報告される臨死体験と関連付けられると推論しました。
この考えに基づき、Borjigin氏らは臨床における人工呼吸器のサポートを中止する前後の死にゆく患者の脳の神経活動を調査することにしました。
今回の研究では、生命維持装置から補助を外した4人の患者のうち2人が、一時的に脳内の活動が活発化したことが報告されています。
この反応は、死亡時の発作の後遺症などではなく、患者の意識の一端である可能性が高いことも分かりました。
データから、脳から発せられるガンマ波は、夢を見ている人や幻覚や幽体離脱の経験がある人と同様の活動パターンを示しています。
また、潜在的な意識を司る覚醒領域も反応しており、これは臨死体験中の経験を鮮明に覚えている理由になるかもしれません。
死ぬ間際の脳の後部の特定の領域は、患者の意識処理が高まっていることを示唆していますが、それを裏付ける証拠はありません。
死の瀬戸際で見たり感じたり、経験したかもしれないことを語るために、生き残った患者はいません。
ただ、意識がないと言い切ることもできません。
意識に関係する覚醒領域が反応していたという事実があるだけです。
もしかしたら脳の酸欠に対する心臓の働きや、ストレスと関連した神経学的反応である可能性もあります。
Borjigin氏は、「ガンマ波の急増は、死にゆく段階の生物特有の病理学的プロセスです。しかし、意識的な処理とは無関係である可能性を排除することはできません」と述べています。
また、「この研究は心停止(脳死)の知られざる側面をさらに調査するための基礎を築き、人間の意識のメカニズムを調査するためのモデルとして役立つ可能性がある」と研究者は結論付けています。
・人の死の間際の脳の特定部分から脳波が検出された
・意識を司る領域からの反応もあり、脳死直後も周りに意識が向いているかもしれない
・それを裏付ける証拠はないが、それを否定する証拠もない
以上、生命の最後の脳の反応に関する研究でした。
詳しいメカニズムは分かっていませんが、ヒトや動物園の死に際には不思議な反応が起こることは確かなようですね。
自分がその天寿を全うしたとき、周りの声も少し聞こえているのかもしれません。
その際、周りの人たちが泣いて見送ってくれるような人生を送ることができたら、それは良い人生だったのだと思います。
そうなるように生きていこうと思います!