疲れたのは誰のせい?
時々旅に出たくなるんだ。
何かが変わる期待と
何かを見つける期待を。
ただの思い付きが
いつしか大きく膨らむ。
そして空港に急ぐあなた。
地続きのこの世界。
旅に出たってなにも変わりはしない。
自分なんて探してもどこにもなく
見つめるはその空虚な心。
それでも見つめる。
公園前のベンチに座り
通り過ぎる人を見つめる。
随分遠くに来てしまった
自分を気に掛ける者は誰もいない。
ちっぽけな存在。
ちっぽけな環境の
ちっぽけな悩み。
世界の支配者にすら見えたあいつだって
横に座ってみろよ
ここでは無名だ。
広がる世界と自分の世界を
少しばかり正確に対比させ
満足げに立ち上がる。
右に歩くのか左に歩くのか
ここではほら誰も気にしやしない。
そろそろ帰ろうかな。
念のためだけどと一人呟き
やり直せる場所をプロットする。
地図にたまったドットに満足し
さよならを告げる。
旅に出たってなにも変わりはしない。
自分なんて探してもどこにもなく
覗き込むはその空虚な心。
それでも
あなたには旅に出る理由があって
誰もが手を振りそしてただいまを繰り返す。
仕事していると旅に出たくなりませんか?
いや仕事してなくてもなるんだけどね。
せわしない日々に追われる中、ここではないどこかが存在することにすら気付けなくなる瞬間が、誰しもあるんじゃないかなと思うのです。
MALIS