教育・子育て

思い出「悪魔の手料理と神のラーメン」

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  • 鈴木穣
  • 2020/09/17 02:42

【魔導士の料理】

4歳の時。

ある日、母親が友達の結婚しに来行くというので出かけて行った。

確か土曜日の夕方からだった。

この日は、母親がいなくなるので父親が夕飯を作ると言う。

母親が用意してくれた食材で、オムライスを作るようだ。

父親の料理なんて初めてだから、凄く心配だった。

でも父親は、結婚前は自炊していたから平気だと言う。

とりあえずご飯を炊く事は、成功していた。

俺は、良い臭いがしたので、おかまを開けてみた。

そしたら、周りにお焦げがたっぷり付いたご飯が炊けていた。

当時使っていた物は、東芝が出した初代の炊飯器。

外釜に水を入れて、内釜をセットしないといけない不思議な物だった。

しかも、たった3合しか炊けない。

それでも食える物になっていたのでホッとした。

そして、父親が切ってないソーセージを炊飯器に入れた。

更に、チャップを大量にぶち込んだ。

俺に向かって、これを混ぜろと言う。

何をしてるのかよく解らなかったが、俺はとりあえず一生懸命に混ぜた。

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【良き友人】

この後、父親が俺が混ぜたご飯を大きな中華鍋に入れて混ぜ始めた。

途中混ぜてみるかと言われ、抱っこされ中華鍋を持つと重たくて持てない。

4歳の俺では、さすがに中華鍋を持つ事が出来なかった。

その後、父親の持つ中華鍋から火柱が綺麗に上がった。

俺は、まるで曲芸を見ているようで凄く嬉しかった。

父親は、火柱に喜んでいる俺を見て、何度も火柱を上げてくれた。

そして、完成した焼ご飯を見たら全体的に茶色になっている。

しかも、真っ黒な部分まである。

どうやら、火柱を上げすぎて焦がしてしまったようだ。

父親にそのご飯を味見させてもらうと、まずくて食べられない。

我々は、完全に夕食を失ってしまった。

その後、しばらくすると父親の友人の「柴沼さん」と言う人が来た。

どうやら今日は、母親が留守で晩酌の相手がいないから呼んだらしい。

その柴沼さんは、毎回ミニカーを買って来てくれた。

俺には、このお土産が凄く嬉しかった。

それより、夕飯もないし、柴沼さんも来ておつまみも無い。

父親は、いったいこれからどうするんだろうと思った。

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【チャルメラ】

俺は、父親にお腹すいたと訴えた。

そうしたら、柴沼さんがみんなでラーメン食べに行こうと提案してくれた。

でも、この当時住んでいた三郷団地には、ラーメン屋なんて無かった。

どこへ行くのか不思議に感じてとりあえず付いていく事にした。

そして到着した場所は、屋台のラーメン屋だった。

俺は、遠目で屋台のラーメン屋を見た事はあったが、来たのは初めてだ。

何だかこのラーメン屋の雰囲気が暖かくて俺は、凄くホッとしていた。

やっと食事にありつける。

この屋台には、お子様ラーメンなんて無いから普通のラーメンを頼んだ。

この時、弟がも一緒にいた。

でも、まだ1歳でラーメンなんて食べられないからミルクを飲んでいた。

俺は、この時まだインスタントラーメンしたか食べた事が無い。

この初めての屋台のラーメンの美味しさに、超感動していた。

そして、むさぼりつく様に食べまくっていた。

でも結局全部食べ切れず残りは、柴沼さんに食べてもらった。

この後、父親達は弟を抱っこしたまま日本酒を飲み明かしている。

俺が、退屈だから家に帰りたいと言いラーメン屋を後にした。

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【青空と草原】

家に到着したら父親達は、母親が用意してくれたおつまみを発見した。

そして更に飲み明かしていた。

俺は、柴沼さんのお土産のミニカーで少し遊んだ後、すぐに寝てしまった。

母親は、結婚式の後、飲み明かしてホテルに泊まる。

帰ってくるのは、明日の午前中になる予定だ。

次の日の朝、俺は母親の「ムギャー!!!」と言う悲鳴で目が覚めた。

昨日大失敗したオムライスのごはんの残骸が、そのまま残っていた。

父親は、片づけずにそのまま柴沼さんと寝てしまったようだ。

この時、真っ黒になっているご飯を見て、母親が父親にマジギレしていた。

「大事な食材を食べられなくした挙句、後片付けもしてない!」

そう怒涛の様に叫んでいる。

そうしたら柴沼さんが気を使ってくれて外に遊びに行こうと誘ってくれた。

俺は、また始まったいつもの喧嘩から逃げられるから凄く嬉しかった。

俺は、そそくさと着替えを済ませ外に出てみたら、真冬で凄く寒い。

周りのお店も営業してなかったから、まだ10時前だったと思う。

今日は日曜日。

誰も外にはいなくて、凄く静かだ。

でも空は澄み渡り、突き抜けるような青空が広がっていた。

その青空の下、俺と柴沼さんは原っぱの公園に向けて走りだした。

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