4歳の時の夏休み。
当時、俺は埼玉県の三郷団地に住んでいた。
俺は、母親に連れられて買い物に行った。
お店の名前は「ピーコック」。
そこは、三郷団地に外れにあるスーパーマーケット。
ここに来ると俺は必ず、向かう所があった。
そこは、ソーセージの実演販売をしている所。
俺は、いつもその実演販売を剃ている所に走って向った。
1人で毎回そこに走って行くから、顔を覚えられていた。
そしていつも、そこにいるお姉さんが、ソーセージを3本焼いてくれた。
実演販売のソーセージは、家で食べるソーセージより遥かに美味しい。
何故かは解らないが、いつもそう感じていた。
俺はいつも母親より先にそこに到着し、もぐもぐソーセージを食べている。
そうすると母親が後から来て、ここで毎回ソーセージを1袋買ってくれる。
多分、実演販売の人に気を使っているのだろう。
実演販売のお姉さんも、これが狙いだったのだろう。
ある時、実演販売のお姉さんが、とあるチケットをくれた。
それは、「ザ・ウルトラマンショー」のチケットだった。
その時、俺は嬉しくて驚いた。
これは、「ピーコック」主催で行う野外ウルトラマンショーだった。
俺は跳ね上がるほど嬉しく、母親に必ず連れてってくれる様に約束させた。
「ザ・ウルトラマンショー」は1週間後の日曜日だった。
俺はまだ4歳だったが、しっかりとこの日を忘れず覚えていた。
そして、1週間後。
朝から俺は「ザ・ウルトラマンショー」に行くのが楽しみで、騒いでいた。
この日は、真夏日和で外は凄く暑かった。
「ザ・ウルトラマンショー」が始まり、俺は興奮しっぱなしだった。
舞台の最前列に行き、身を乗り出して大騒ぎながらショーを見ていた。
そして、「ザ・ウルトラマン」が無事怪獣を倒して世界を救ってくれた。
帰る時、出口を出たら「ザ・ウルトラマン」がサインをくれる場所がった。
俺はサインが貰いたくて母親の手を引っ張り、その列に並んだ。
そこで、憧れの「ザ・ウルトラマン」のサインをもらう事にした。
でも、そのサインはウルトラ文字で書かれていた。
それを見た母親は、子供のサインだから日本語で書いて!
と、係員に抗議した。
そうしたら係員の人が、とても困った顔をしていたのを覚えている。
係員の返答は、ウルトラマンだからウルトラ文字しか書けないんですよ~。
と返答していた。
それでも母親は食い下がって、本当は日本語もかけるでしょ!
と反論していた。
母親は、ウルトラマンにも、日本語書けるでしょ?
と、問いただしていた。
その質問にウルトラマンは、首を横に振っていた。
どうやらウルトラマンは、日本語もOKなようだ。
でも係員の人も、ウルトラ文字しか書けないから駄目だと言い張っていた。
仕方なく母親が折れて、俺はウルトラ文字のサインをもらった。
でも実は俺、ウルトラ文字の方が良かった。
きっと係員の人も、ウルトラマンも、子供に気を使ったのだろう。
子供のウルトラマンのイメージを、壊したくなかったのだ。
この後俺は、「ザ・ウルトラマン」と握手をして帰った。
本当は握手ではなく、ウルトラマンに抱っこしてもらいたかった…。