士郎正宗初読み。
代表作にしてアニメ映画ゲームと縦横無尽の拡がりを見せる超絶スケールのサイバーパンクSFという印象は、そのあまりにマンガ的な無防備さに心地好く裏切られる。
まあマンガなのだから当たり前か。
もっと抽象的な〈絵で説明する〉タイプの作風かと思いきや、過剰な会話文と欄外の補足説明が示す通り、これは情報過多をものともせずにありったけの思想と情熱を叩き込んだ、筋金入りの〈SFマンガ〉だ。
人形使いと融合する終盤辺りで、それまでの情報の氾濫によるカオスからより観念的な世界の萌芽が見えてくる。
以下次巻。
主人公にして超有能問題児、恐らくは偽名の草薙素子少佐を筆頭に、人間臭いバトーやトグサ、何だかんだで攻殻機動隊に手を尽くしてくれるサル部長と、読んでいて楽しい面子が居並ぶ。
少なくともこの第1巻の時点では、エンタメ路線の王道プロットなのだ。
フチコマのAI革命はかなり戯画化されているが、ChatGPTが革命的なインパクトを与えた現代にこそダイレクトに響く内容。